見出し画像

短歌 自撰(九月〜十月)

 横たわる銀河よあれは青春の
       月日まぼろしかも知れないね ※


 あの日子に投げ返された言の葉を
       持ち歩いているポケットの隅

 
 白いリコリスほしいと小さきゆびの先
       うすいピンクねあなたのゆびも


 ぐるぐると堂々めぐり足元の
      “ヘブンリーブルー”空仰ぎ見る ※

 
 おじぎ草月夜を眠る葉の間
      花二つ三つはぜる花火よ   ※

 
 夕暮れる空立ちどまる気配せし
         彼方の夏へ風の一瞥

 
 おみなえし確かに在りし人の世の
         更地の隅の九十度哀し ※

 
 幾千の曼珠沙華眼に満ち満ちる
     こぼれないよう瞼を閉じる

 
 あしぶみす秋待ちかねる夏蔦の
      横へ横へと延びるいつまで  ※

 
 届かない最上段の背表紙よ
      紙魚はやすやす潜む図書館  ※

 
 読みかけの本伏す紅茶ぬるくなり
        本の時間は延びて縮んで

 
 もも色の花さんざめく空の青
       葉陰にのぞく空の深さよ  ※

 
 蕭条と雨は松打つ松の根の
      苔むす上も秋深まりぬ

 “一瞬の永遠”を観し庭園の
     あなたなる山ふるさとに似し  ※

 
 大観の一幅ずしり絡め取る
        その“永遠の一瞬”の果


 ※は  皆様に特にスキをいただきコングラボ              
     ードをいただいた短歌です
    まことに ありがとうございます
   

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?