俳句 自撰(夏至〜大暑)
声だけが飛び交う夜店灯のほのか
梅雨闇の葉裏に隠る生きるもの
ガラス瓶梅のまんまる浮遊する
実山椒水に放てば玻璃みどり
午前二時の部屋甘き香や桃一果
約束の墓参の後の冷酒かな
蓮花の朝の芳撮らんとし
芳(かんばせ)
空蝉の眼のまだ乾ききらず在り
その話呑めぬ水羊羹するり
風鈴の一斉に鳴る海風よ
ボリュームを競うラジオと蝉時雨
蝉時雨るふいに無音の数秒間
朝涼し下駄の木目の足裏に
滝の音背を迫りくる振り返る
夕立の去りて水溜まりの暮色
キッチンの床はひんやり一夜酒
ひとよざけ(甘酒)
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