3行日記 #227(舐める、ぷくちゃん、網棚)
十月三十日(水)、晴れ
霜降、霎時施、こさめときどきふる、小雨がしとしと降るようになる。
霜降、楓帯猩紅、かえでしょうこうをおびる、イロハモミジが真っ赤。
ここ何日かの出来事を詰め合わせで。
先日の月曜日の昼、妻の実家のソファで寝そべっていると、お気に入りの青いゴムボールを追いかけて興奮気味のチャックが、ソファのうえに飛び乗ってきて、私の身体を踏んづけて豪快にかき分けながら顔の近くまでやってきたかと思ったら、何を思ったのか、咥えていた唾液まみれのボールを私の顔面に落とし、首筋を舐めあげようとしてきた。
その午後、前を通るたび気になっていた金魚屋へ行った。思っていたよりも広く、1階には金魚や水草、2階には蛇や亀などの爬虫類、文鳥までいた。ひと通り見た後に、一匹飼おうという話にまとまり、ベタ、という赤から青のグラデーションの色合いの鰭みたいなものがフサフサ揺れている豪華な金魚か、福だるま、といういわゆるべたな金魚か、どちらかにしようということになり、福だるまを連れて帰った。餌はごまみたいなちいさな粒状のもので、朝に三粒、夜に三粒でいいですよ、と言われていたが、妻は食いしん坊だと決めつけて、たくさん食べさせていた。チャックもそうだが、妻の家系は、たくさん食べるのを良しとするところがある。名前は、ぷくちゃん、に決まった。
昨日、帰宅時に特急から普通に乗り換えたときに、特急の網棚に荷物を忘れてしまい、荷物だけが猛スピードで離れていった。私は駅員さんに状況を伝えたのち、後の特急に乗り込んで、荷物を追いかけた。なんとか救出したが、行って、帰って、往復二時間の旅となった。読書が捗った。『くっすん大黒』を読んだ。帰りの乗り換えのとき、ホームのベンチに座って待っていると、下に爪切りの残骸が散らばっていた。薄汚れた爪だった。
きょうの昼、職場の近くの公園の、藤棚のしたのベンチに座って、『くっすん大黒』を読んだ。立ち上がって歩きだすと、臀部に違和感がある。まさぐるとパンツが湿っている。ベンチが雨で濡れていたようだ。
夜、鍋、枝豆。枝豆は丹波のものらしく、粒が大きく味もしっかりして、とびきりうまかった。