3行日記 #210(うっせーわ事件、キリン、祝福の鐘)
八月十二日(月)、くもり
お盆で故郷に帰っている。
父親の話まとめ。台所の壁にメモが貼ってある。ひとつは「うっせーわ事件」。ドラッグストアで買い物をしているときに、人混みが通路を塞いでいたので、どいてと言ったら、二十代の女性に、うっせーわ、と怒鳴り返されたらしい。父は若者が怖くなって違う通路に逃げたらしい。もうひとつは近所とのトラブル。お隣さんが土地の境目近くでプチトマトを育てているのだが、通りがけに、父がトマトの育て方を指摘したら、うちにはうちのやり方があるんです、放っておいてください、と強い口調で返されたらしい。それいらい、黙っているとのこと。
午後、足羽山の自然史博物館へ。ホネ部の展示を見に行く。ナガスクジラを浜辺で解体するようすを記録したタイムラプス映像を見ながら妻の友人の姿を追ったが、コマ送りのスピードが速く、一瞬で過ぎ去ってしまった。スナメリやリュウグウノツカイの骨もあった。いろんな鳥類や哺乳類の頭骨もあったが、想像よりも小さく感じた。
山すそにある笏谷石の採石場跡に行こうとしたが、道路が工事で塞がっていたので、またの機会にすることにして山を降りた。以前も立ち寄った公園に再訪。この公園にある動物のモニュメントは、ほかの公園にあるものよりも大きく、表情がいきいきしている。キリンの模様にまぎれて小さなキリンがいた。一通り声をかけて、いいよ、がんばってね、と労った。左内先生の像に挨拶した。
足羽川をわたって、和菓子屋でかき氷を食べた。妻は看板商品の羽二重餅がのった宇治金時を、私は妻のぶんを少しもらうだけでよかったので、アイスコーヒーを頼むことにした。だが、メニューには氷コーヒーと書いてある。注文するときに、アイスコーヒーで、と私が言うと、店員の男性が、氷コーヒーですね、と言い直した。アイスコーヒーなんですよね? と私が確認すると男性は、はい、と応えた。若干の違和感を抱きつつしばらく待っていると、宇治金時のかき氷とともに、アイスコーヒーがかかったかき氷が届いた。
その後、最近新しくできた駅前の商業施設へ。お盆のイベントで通りにテントが並んでいた。そのなかにあったスマートボールをやってみる。ピンボールのようにバネで球を弾いて、盤にあいた穴をねらう遊びだ。穴の数は、四×四。どこかリーチになれば五百円分、一列そろってビンゴになったら千円分の商品券がもらえるらしい。結果は、みごとリーチ。おめでとうございます! 祝福の鐘が鳴った。もらったばかりの商品券を使って、瓶詰めの鮭フレークをもらった。バスで帰宅。昔は二十分間隔で一本だったが、いつのまにか一時間に一本に便数が減っていた。
夜、中華料理屋へ。私がまだ実家にいるころはたまに行っていた店だが、もう二十年ほど食べていない。両親は先日食べに行ってみたらしいが、代替わりして、餃子の味が変わってしまったという。