3行日記(双子、須田剋太、河内音頭)
九月十日(日)、くもりのち雷雨
午後、夜に八尾の河内音頭盆踊りに行くので、早めに近づいた。布施という駅で降りる。まず向かったのは、双子の女性がやっている喫茶店。静かで、ひとりで本を読みたいときにはとても良い店だった。客が帰ると、ありがとうごさいました、ありがとうございました。同じ声音が少しずれて響いた。
そこから歩くこと三十分くらい。こんどは美術館も兼ねた喫茶店へ。須田剋太という洋画家の作品を集めたところ。「こどもで/げんきで/ものになりきる/下手で/かみさまで/いますぐ/やってのける」。かなり衝撃的な体験だった。また日にちを変えて詳しく書きたい。
長瀬という駅から電車に乗る。お姉さん、お姉さん! 電車のドアのところで男性が上半身を乗りだして叫んでいる。どうやら、降りたばかりの女性が忘れ物をして、そのことを伝えようとしているようだ。しかし、相手の女性はイヤホンでもしているのか、気づかずにすたすたと行ってしまう。お姉さん、お姉さん! 声がさらに大きくなる。そこへ、救世主が現れた。状況を察した別の女性が忘れ物を受け取ると、その女性のところに駆け寄り渡していた。優しさの連鎖。
近鉄八尾で降りると、ものすごい豪雨になっていて外に出られない。しかたなくガード下を歩いていると、ファミリーロードという雰囲気の良い商店街にでた。
夜、妻と合流し、友人たちと盆踊りの会場の大信寺へ。ときおり強い雨が降ったが、それもまた気分を盛りあげる。一番むずかしい振りの踊りも、寅さんのような帽子をかぶったおじさんに、基本のステップを根気強く教えてもらい、なんとか踊れるように。終わりに近づくころには、心のおもむくままに跳ねながら踊れるようになった。焼き鳥を食べて帰宅。