3行日記 #196(ヒトリ、湧き水、落としもの)
六月十二日(水)、晴れ
芒種、腐草為螢、くされたるくさほたるとなる、腐った草からホタルが現れる。
芒種、杜鵑花盛、とけんかさかんなり、サツキは今が盛り。
最近起こったことを詰め合わせで。
いつもの喫茶店で。となりの席に座ったおじさんのTシャツがふと目に入る。某有名家具店のロゴが入ったTシャツを着ている。緑色の背景に白抜きの文字で。だが、なんだか違和感を感じてもう一度見てみると、ニトリではなく「ヒトリ」だった。「ヒ」の左下には体育座りをして落ち込んでいる棒人間がいる。孤独なのだろうか。
昨日のチャックの散歩、まっさきに神社の湧き水に向かいごくごく。最高気温が三十度を超えた日。いよいよ夏がやってきた。
夜、ポトフ、柑橘。チャックの散歩、実家の玄関の奥に玉ねぎが転がっていた。湧き水にむかうと思いきや、左へ。ガード下を抜けて、公園に行くと、隣の大きな広場にピンク色の灯りが見えた。まつりちゃんだ。そちらに向かうと、別の犬がいた。マルチーズのりくちゃん、一歳。まつりちゃんのおばさんがチャックに話しかける。手厚くていいね、お姉さんと、お父さんと。朝はお母さんとやし。ぐるっと回って、最後に神社を抜けて湧き水ごくごく。家に着くと、妻が赤いポシェットをがさごそやっている。うんこ袋、落としたかも。神社の湧き水のあたりまで戻って探したが、見つからなかった。今夜も銀行の前の階段のところに、同じ男が座っていた。灰色のTシャツだった。