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【放送大学/まとめノート】哲学・思想を今考えるー歴史の中でー(’23)第2回 人類史の概観と根源思想の成立と展開 / 魚住孝至教授
キーワード
枢軸時代 孔子 老子 ブッダ 予言者 自然哲学者 文明圏の展開
目標&ポイント
1.ヤスパースの図式を手掛かりに人類の精神史を捉える
2.根源思想の概観
3.近代文明の成立と、非西欧文化圏
1.ヤスパースの「世界史の図式」
ヤスパースの『歴史の起源と目標』を手掛かりに人類の精神史を考える。
1932年『哲学』3巻 実存哲学
ヤスパースによれば、人類はひとつの起源から始まったが、その後人類の精神史は4つの段階を画期として捉えられるという。
第一段階
先史時代。
言葉の発生、道具の発生、火の使用など。
第二段階
紀元前5000~3000年古代文明時代。
メソポタミア、エジプト、インダス、黄河。
第三段階
紀元前500年を中心とする前800~前200年に至る間。
中国/諸子百家(孔子・老子等)、インド/思想家(釈迦・六師)、パレスチナ/予言者(『聖書』)、ギリシア/自然哲学者
ほぼ同時にそれぞれ独立して現れる。彼らが基になり、儒教・道教・仏教・ユダヤ教(→キリスト・イスラム教)・哲学などが展開。
その後、中国においてもインドにおいてもヨーロッパにおいても、この時代の思想に意識的に復帰しようとすることによって新たな文明が展開され、現代に至っている。そう考えれば、この時代に、人類のそれまでの文化が集約されて新たな精神基盤が作られたのであり、それが周辺地域に広がって、世界宗教・思想となって、以降の世界史の展開を決定的に規定するようになったとみることができるので、ヤスパースは世界史の軸となったとして「枢軸時代」(Achsenzeit)と名づけたのである。
第四段階
科学技術時代スタート。
17世紀「科学革命」。18世紀末~世界中に展開。
科学技術はその仕組みにいやおうなく人間を巻き込み、精神的荒廃や破局に至る危険をもたらした!哲学によって精神の真の展開が目指されねばならない!人間存在の最高の可能性達するためには、形式的には人類の統一が求められる!(by.ヤスパース)
・・・真の展開とは?人類の形式的統一とは??謎。
2.先史時代と古代文明についての最新科学の知見
ヤスパースの「人類一つの起源から発祥」説。現代ではDNA解析によって、これが「科学的に正しい」ことが解明されている。
→人種や文化の相違による差別を否定する論拠に。
第二段階までは、ふつうに人類学でやるような人類史。
3.「枢軸時代」論の背景と内容の考察。
ヤスパースの「枢軸時代」。背景にマックス・ウェーバーの『宗教社会学』の影響(ウェーバーを熱烈リスペクト!)。
ヤスパースは紀元前5世紀を中心とした時代に世界各地にさまざまな思想を持つ自由思想家がほぼ同時に誕生したことを指摘する。
いったいなぜ?
ヤスパースは、それ以前の数千年の古代高度文明が崩れて、個人としての生き方が問題になるようになったからだという。「人間が存在全体を、自己自身と自己の限界を、意識するようになったこと」、人間は世界の恐るべきことと、自己自身の無力さとを知り、「徹底的に疑い、深淵に臨んで開放と救済を渇望するようになった」と言っている。これは、我々の論にひきつけて言えば、「何ゆえに」の問いがこの時代に深く徹底されて、人間を超えるものを見ながら、新たな生き方が問われ始まったことになるが、実際どうであったか、それぞれの内容を見るとともに、それらの思想が受け継がれ、広まる過程を考えなければならないであろう。
ヤスパースは大きな指摘は残しているが、細かいことにはあまり触れてない。
4.枢軸時代の根源思想の内容の概観
枢軸時代に展開した4つの領域。主な思想の概観。
中国 / 孔子と老子とその後
インド / ブッダとその後
パレスチナ / 『聖書』の予言者たち
ギリシア / 自然哲学者たち
荘子読んでみたい。胡蝶の夢。
5.根源思想のその後の展開と各文明圏の成立
枢軸時代の根源的思想が基盤となって、数世紀以上かけて、東アジア、南アジア、西アジア、地中海世界でそれぞれの文明圏が形成されていった。
北アフリカ、南北アメリカ大陸などでも文明が展開し、16世紀に西欧の近代文明の侵略を受けるまで栄えた。
6.近代文明と現代の科学技術の問題ー本科目の構成の予示
人類の精神史が新たな段階に立つのは、西欧の近代文明が他の文明圏へ侵略を開始し始めたことによる。(ヤスパースの第四段階)
第五段階 現代
この後は今後の講義の流れについての予示。