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『先住民から見た世界史 コロンブスの「新大陸発見」』山本紀夫(2023・角川ソフィア文庫)

コロンブスが15世紀に持ち帰った中南米原産のトウモロコシや、その後に伝わったジャガイモは、ヨーロッパの人口増加に大きく貢献した。他方、アメリカ大陸へ持ち込まれた疫病は、先住民の急激な人口減少を引き起こす。世界の食卓を豊かにした作物の伝播は、のちに「コロンブスの交換」と呼ばれるが、先住民にとっては略奪や侵略に他ならなかった。南米アンデスをフィールドに農学と人類学を研究する著者が描く、もう一つの世界史。

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↑ この太字の部分がそのまんま主旨かと思う。
山本先生は白人サン側が使う『交換』という言葉を許せない。交換じゃない、侵略って言え!・・・的なコトだ(おそらく)。

新大陸からもたらされたトウモロコシやジャガイモ、トウガラシは外の世界を豊かに潤したけれど、かわりに入ってきたサトウキビは奴隷制度とセットで原住民をおおいに苦しめた。同じく旧大陸からもちこまれた馬や牛は素晴らしい家畜だったけれども、結果的に新大陸に暮らす人々の生活を破壊することに一役買ってしまった、と。

それから感染症。
これに関しては「仕方がなかった」と言うほかないよーな気もするけれど。
だけど、それでも。
(旧→新)天然痘、はしか、インフルエンザ、チフス、ジフテリア、マラリア、百日咳、おたふく風邪、ペスト、結核、黄熱病
(新→旧)梅毒
被ったダメージの度合いを考えると、これで『交換』とか言われちゃたまらないよねえ・・・(悲)

交換と侵略。

実態とかけ離れた名前をつけちゃうと、現場を知らない第三者にはモノゴトが正しく伝わりにくくなる。
山本先生の指摘ごもっとも。


117/200 2024.5.6.

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