『Audible 言ってはいけない残酷すぎる真実』
こわい本だ。
キーワードはたぶん進化と遺伝子。
タイトル通り、口にするとマズそうなことばかりが取り上げられている。
人種間の知能の格差、美醜、進化論?から考えるレイプの意味に、人類元々乱婚説(男女共に)。
全部面白かったけど、個人的に一番ダメージが大きかったのはやはり『努力は遺伝に勝てない』件でしょうか。
個人の人生はゲノム次第。
環境も子育ても実はさして影響がないという非常〜にガッカリな真実が語られておった気がするのですが・・・あれって私の聞き間違い?
現状、『遺伝』にまつわる諸々は「社会的に受け入れられる内容であるかどうか」で扱いがわかれており・・・・
「〇〇くん、背え高くなったねえ。お父さんに似たんだね」とか、「〇〇ちゃんって美人ね、お母さんにそっくり!」みたいなのは許されてる。口に出してもさして害がないからだ。
しかし。
「△△くん、また0点!? (・・・・そういや△△くんのお母さんは中卒、お父さんは◇◇高校(有名底辺高)・・・・そら無理もないわ)」
これはいけません。絶っっ対に許されないやつです。社会から抹殺されます。
「親が賢ければ子も賢い(傾向がある)」という判定には「親がバカなら子もバカ(な傾向がある)」という判定が含まれているという事実に我々は密かに気がついているが、決して口には出さない。
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イギリスで1994年から3年間に生まれた5000組の双子を対象に反社会的傾向の遺伝率調査が行われ、その調査において「教師などから矯正不可能と評された極めて高い反社会性を持つ子供」だけを抽出した結果、犯罪心理学でサイコパスに分類されるような子供の場合、その遺伝率が81%であったことが判明したという。
長崎佐世保女子高生殺害事件。
佐世保女子のご両親は(最終的には「お父さん」となるのでしょうが)、結果的に、彼女の反社会的傾向を抑え込むことができなかった。
しかしそのことを「彼女の異常性(ゲノムの特性)を教育によって矯正することが難しかった」と受け止めるというよりは、「親が子育てをどう誤ったか」を追求してしまうのが現代社会の風潮だったりする。
「努力は遺伝に勝てない」という現実にはふたつの側面があって、そのひとつが「それなら何してもムダじゃないか!」と人を絶望させる側面だ。私も真っ先にこれを考えた。というかこれしか考えなかった。
だって「将来キミが刑務所に入る確率85%、若ハゲする確率は96%、知能はこれっぽっち」などと解析されてしまったら、いったい何をどう頑張って生きていけばよいのかわからなくなる。あまりにも希望がない。ゼツボーしかない。
みんなが目を背けていたいのはとにもかくにもこれがイヤだからだ。
しかし実はもうひとつ、この不都合な真実には我々が見落としがちなとっても重要な側面がある。
それがなんらかのムリゲーから人を解放してくれる救いの側面だ。「あなたの責任じゃないよ」と言ってもらえる赦しの側面である。
だって努力だけでは越えられない壁もある。どーしたって無理なのに、それでも「本人のせい」「子育てのせい」「努力が足りないからだ!」「やり方を間違えたんだ!」と言われ追い詰められる絶望。
たとえば佐世保女子のお父さんなどがそう。サイコパスに生まれついてしまった我が子に「人を殺してみたい」と真顔で打ち明けられたり、小学生のうちから猫を殺して解剖する姿を見せられたりしたら、いったい親はどーすればいいのか。
私なら気絶したまま一生目覚めたくなくなる。何をどうすればいいのかわからないし、矯正してあげられる自信もないし・・・・
・・・・そもそも、こういう事態における教育的正解を知る人なんているのだろーか。誰にもわかんなくない?
先生が注目するのは後半の側面で、どんな特徴を持って生まれてきてもいい。本当に必要な理解やサポートの下、みんなが幸せに生きてゆけるような社会を目指すべきではありませんか? ・・・的なコトを言っておられるのだと思う(たぶん)。
行動遺伝学って面白い(難しいけど)
こちらも橘先生のご著書で、対談からのスタートですが、まだ少ししか聴けてないので全体像は不明。
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なんだろうーーースゴイ時代だ。
127/200 2024.5.13.