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Audible『ケーキの切れない非行少年たち』宮口幸治(2019・新潮新書)

帯のケーキがとにかく目をひく。
謎の三等分。これはいったい・・・・??

最初は「なんらかのメッセージか!?」と思っていた。非行少年たちの心の叫び的な。
が、しかし。違うのである。ホントに切れないらしいのだ。非行少年たちの中には三等分の仕方がわからない子が結構な数いるのだという。

それがどんなふうかっていうと、たとえば・・・・
まずは丸いケーキに縦線をぴーっと1本。で、彼らはこの1本目を入れてからやっと次にどうするかを考える
本来ならば「ケーキを〇等分しよう」とした場合、その等分に応じて必要となる工程を想像し、何手か先まで考えた上で計画的に線をひかなきゃいけない。
しかしケーキを三等分できない子たちには、これがとっても難しいらしいのだ。先のことを考えるのが苦手で一歩ずつしか前に進めないから。

少年院や刑務所に入っておられる方々の中には、認知機能に問題を抱えたひとたちが少なからずいる、というのが先生のお見立てだ。

リベラルを自称する人たちは多くの基本的なことを間違えているがその中でも最も大きな勘違いは『リベラルな政策によって格差や生きづらさを解消できる』だろう。なぜならそのリベラル化によって格差が拡大し、社会が複雑化して生きづらくなっているのだから。

『世界はなぜ地獄になるのか』より

学校って・・・・リベラルな世界だよなあ~~って思う。
不平等・不公平を排除した平等・公平な環境の中で、ただただ個人の資質(学力)のみが問われるトコロ(いえっ、ウソです! 情操教育!)。

認知機能に問題を抱えている子供たちは早くも小2頃からお勉強についてゆけなくなる。そのせいでバカにされ、いじめられ、努力が足りない! 不真面目だ!と怒られ痛めつけられる日々を余儀なくされるのだ(悲)
『ふつう』の輪から弾き出された彼らはそのうち誰にも顧みられぬ忘れられた存在となり、ひきこもって鬱になったり、転職を繰り返して貧困したり、罪を犯して刑務所に入ったりするようになる(例が多くある)。

自由や平等って素晴らしいモノだけど、しかし案外、個々人の格差を浮き彫りにしてしまう残酷なモノでもあるらしい。

できれば子供たちには皆幸せでいてほしい。
個別のサポートってどこまで可能なんでしょうねえ・・・・。


オススメされていた本。
いつか(元気がある時に)読んでみよう。


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