名刺がわりの小説10選

というタグを少し前にTwitterの方で見かけた。

そう聞かれたら、私は何をあげるだろうか……とふと思って書き出してみた。

思い入れ順でもオススメ順でも、読んだ順でもなく、ただ思いついた順だ。リンクは貼っていませんので、必要に応じてググってください。

・大草原の小さな家(シリーズ)/ローラ・インガルス・ウィルダー

母親が絵本好きで、小さな頃から「物語」には慣れ親しんでいたけれど、この作品が「読書」の始まりだったと記憶している。活字で紡がれる見たことも行ったこともない世界が、目の前に映像として鮮やかに広がった初めての体験だった。

・瞳の輝き/折原みと

当時流行っていた、いわゆる「ティーンズ小説」だ。実はこれ、初めて目にしたのは確か国語の教科書だった。そこからハタチくらいまでの間、折原みとさんの作品はほぼすべて購入して読んでいた。天使シリーズとかも好きでした。私も小説を書いてみたい、書けるかも知れないと思ってしまったのが、確かここからだったと思う。

・アルジャーノンに花束を/ダニエル・キイス

バイブル。「賢さ」とは何か。「頭が良い」事は「幸せ」なのか。

普段はどんなに面白かった小説でも、基本的に何度も読み返すという事をしない方なのだけど、これだけは中学生の頃から何度も何度も読んでいる。だけど実は数年前に先輩に貸したまま返って来ていない……

・ハリーポッターと賢者の石/J.K.ローリング

これはもうとにかく衝撃的だった。学校で上手くいかなくて、家もつらくて、居場所がなさ過ぎて絶望していた中学時代に、図書館で手にした。現実逃避として読書を選んだ最初の記憶。誰も見たこともない有り得ないだろう世界が細部まで具体的に描かれていて、「物語を創る」とはこういう事なのかと思い知った。

・シーラという子(シリーズ)/トリイ・ヘイデン

よその子、檻のなかの子、愛されない子、幽霊のような子、タイガーと呼ばれた子……正直、読んでいて苦しかった、というような記憶はなくて、当時はこれがノンフィクションだとは知らずに読んでいた。障害も虐待もなかったけれど、私も息苦しかったのだ。

・生きてるだけで、愛。/本谷有希子

エキ子ほどエキセントリックではないけれど笑、私もなかなかだった時期に自分を重ねて読んでいた。当時お付き合いしていた人が、作中の彼氏にちょっと近い人だったのもある。「あたしと同じだけあたしに疲れてほしい」というフレーズに首がちぎれるくらい共感した若き日の私。(今はそんなヒリヒリするような感性?感覚?薄れてしまった)これもまた珍しく何度も何度も読み返している。

・どんどん橋、落ちた/綾辻行人

高校時代にお友達が貸してくれた一冊。小学生の頃に江戸川乱歩をいくつか読んでいた程度で、そこまでミステリというジャンルに深い関心がなかったのだけれど、この作品を読んで、ミステリというジャンルの「小説」を超えた面白さを知った。ミステリって右脳が動くよね。

・みんな邪魔/真梨幸子

真梨さんの作品で最初に読んだのは「殺人鬼フジコの衝動」で、イヤミスなるものもそれが初めてだった。そこから真梨さんの作品を読み漁る訳なのですが、この「女ともだち」の「女同士」ならではのざわざわする感じがもう醜くて苦しくてたまらなかった。「女」を描きたいと思ったきっかけになっているのがこの作品かも知れない。当初は「更年期少女」というタイトルだったそう。正直そっちの方がグッとくるけど、世相的にリスキーだったのかな。

・ゆび/柴田よしき

どうしてこれを手にとったのか、まったく思い出せないし、今はもう手元にもないのだけれど、人生で一番怖かった小説。読んだの高校生くらいの頃なのに今だに恐怖。読後はこの本が自分の部屋の本棚に並んでいるだけで不気味な空気を放ちまくっていて、怖くて後ろの方に隠していた覚えがある。えぐい描写はそこまでないのだけれど、とにかく不気味で気持ちが悪い。「得体が知れない」という事が「恐怖」の根源だと思い知った最恐のホラー小説だと思っている。

・変身/カフカ

小学校を卒業した年の春休み中に読み始めて、中学一年生の入学式ごろまで読んでいた。正直、本当の意味はよく分からずに活字を追っていた。中学一年生の国語の初回授業で一人一人自己紹介をさせられた時に、趣味が読書とか何とか言ったのだろうか、今何を読んでいるのかと先生に質問をされ、この本を答えて何とも言えない空気がクラス中に漂ったのを覚えている。(そのくらいの年齢でカフカの変身はあんまり読まないし知らないよね)

・おーいでてこーい(ボッコちゃん収録)/星新一

この作品は、中学の英語の教科書に英語で載っていた一作。なので、初めて読んだのはボッコちゃんの中の一作としてではなくて、星新一という作家も知らなかった。だけど当時の英語の先生が、星新一さんの他の作品も教えてくださったおかげでショートショートの魅力に出会えたという訳です。(変わった先生で、なぜか英語の授業でファーストガンダムのアニメ見た記憶がある。それぞれの正義とか、争いの悲しさとか、語学を通して学ばせたかったのかな)

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