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【随筆/まくらのそうし】 薊(アザミ)

 種の違いか、生育場所によるものか、アザミの葉に白い筋のあるのが立派である。

 まるで大理石のよう、濃い緑に走る白を見れば、何とも雄々しく猛々しい、我こそアザミと、主張するかのようである。

 このアザミ、新芽を調理し、食べるようだが、ここまで立派なものならば、残しておかねばならぬだろう。

 そこら中に生えるものだとしても、なかなか弱げなものが多く、うす黄色に花も小さくあれば、まるで目を惹かぬものである。

 触れるなと言わんばかりの棘に、鋭い切っ先、それにふさわしい赤紫の派手な花、もし、歴史に辣腕を振るう女王があれば、その人の愛した花に違いない。

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黒澤伊織@小説
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