ジョブ型への転換は、一日して成らず
今、ジョブ型への移行が色々と取り沙汰されるようになってきていますが、はっきりいうと移行は大変な作業になるだろうと私は思っています。
そんな取り組みを3年前から進めているという三菱ケミカルの取り組みが特集されていたのでご紹介します。色々とヒントがありそうです。
この記事は以下のように始まります。
三菱ケミカルは2020年10月、全管理職を対象としたジョブ型の人事制度を刷新した。社内公募による異動の仕組みを採り入れるとともに、各職務の内容を一段と明確にした。3年前に職務に基づく処遇体系をいち早く導入、様々な課題が見つかり、解決策を講じた。テレワークの導入に伴い人事制度の見直しを検討する企業にとっては格好の事例であり、参考にしたいところだ。
この記事でまず最初に出てくる、ジョブ型への移行における課題点が日本らしい。そう、年齢の壁です。
ジョブ型制度の導入により一定の成果は得られたが、同時に課題も見えてきた。最たる例が人事異動だ。現場の部長などが部下の登用を決める際、「年次の概念がどうしてもつきまとう状況になった」(中田取締役)。
会社としては年齢や経験ではなく、職務に応じた実力を備えているかによって人材の配置を決める考えだった。ところが新制度を運用してみると、なかなか運用が難しかった。
結構この年次の壁は分厚いと思います。これまで日本はこの年次という概念で長年やってきているわけですから、DNAに刷り込まれているレベルのような気がしています。
でも取り払うことは可能だと私は思っています。
私も内資にいたときには、この年次の壁は厳然としてありましたが、外資に移ってからはこれがなくなりました。前職で年下の上司というのを初めて体験しましたが、私にとっては全く違和感ありませんでした。仕事ができる人でしたし、更に言うとマネジメントが上手な方でついて来たいなと思えるような方で私は幸せだったなぁと思います。
今のイギリス人の上司もそういえば年下です。しかもいいい人!
現職においても、私には職務記述書があり、私の職務の範囲が定められていますので、それを評価の尺度として、見てもらえますし、職務をしっかりと遂行している限りにおいては、他の仕事もさせて貰えます。
ちなみにしっかりと昨年は仕事をしたと評価を受けました(汗)。
三菱ケミカルに話を戻すと、そんな年次の壁を乗り越えるべく、今年2020年10月に制度を刷新し、すべての管理職の職務記述書を作成し、職務ごとのスキルも明確化することから手を付けたとのこと。
異動の透明性を確保する狙いもあった。社内にどんな職務があり、それぞれどのような能力が求められるのかを明確にした上で、応募するチャンスを担保した。公募は3カ月ごとに実施。公募の対象職務については順次拡大していく。
募集時点で職務や職責はもちろん処遇も分かるようにしている。処遇が見えないと公募に応募しにくい面があるからだ。ジョブ型制度の刷新に伴い、給与の全体原資は増やすという。管理職以外の一般社員については、21年4月にジョブ型の人事制度を適用する方向で労使協議中である。
制度を新しくしたとしても、それだけで上手くいくわけではないのは当たり前で、日本企業に長らく定着してきた年功や経験を重視する風土が根強く残っとっていて、「抜擢」と言う言葉がそれを如実に表していると言う箇所がとても面白い。
その象徴が「抜擢(ばってき)人事」という言葉に表れていると、中田取締役はみる。日本では年次の低い人を大胆に登用する際に抜擢と表現することが多い。つまり年功序列をベースにした考え方だ。
年次や学歴、性別などにとらわれた抜擢ではなく、実力を見てポジションにふさわしい人を選んでいく。ここが三菱ケミカルの目指す人事改革の本質といえる。
私個人の考えとしてですが、この流れはとても良いと思うので、是非うまくいって欲しい制度だと思っています。
私はジョブ型で働いてもう7〜8年経ちますが、その際に学んだことを以下のnoteで書いています。
私の持論ですが、ジョブ型の働き方では、「チームワーク」がキーポイントになると考えています。自分の仕事とのバランスはしっかりと考える必要はあるが、チームメンバーが忙しかったら、助けたいし、手伝いたい。
状況に応じて臨機応変に対応するのがジョブ型の真骨頂だと私は思っている。この助け合いは、チームとしての活動を円滑にするし、自分が忙しかったら助けても貰える。
GIVE AND TAKE は忘れてはいけない。
TAKEよりもGIVEがなぜ先にあるのか?よく考える必要がある。
制度としてのジョブ型があった上で、チームとしての最高のパフォーマンスを発揮することがこの制度導入の先にあると私は思っています。
以下は日経新聞にまとめられていた三菱ケミカルの人事制度刷新の狙いです。日本企業では特に「透明性のある処遇・報酬」と言うのが大切で、そのためにはやはり全ての職種の職務記述書の作成と社員への周知が必須だと思います。
最後にこの人事制度の刷新が管理職から始まっていることに日本企業がジョブ型へ移行することのもう一つの大きな壁を感じずにはいられません。
それは、労働組合です。
管理職ではない社員の処遇等は労働組合との協議が必要となると思うので、ジョブ型へ移行した際に雇用が守られない人が出ることが想定される場合には議論が白熱しそうです。
ただ、この流れが企業として今後も生存していくために必要であると言うことが労使ともに共通言語として話されるようになれば、力強くこのジョブ型改革が推進されていくとになりそうですね。
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