データが導けるのって「正解」というよりもむしろ「ありえそうな解」というのが私の感覚
データの世紀のご意見募集第3弾。
仕事でデータを使っていますし、私のこれまでのキャリアを省みるとデータとは切っても切れない関係があるので、自分の考えを書くことにしました。
さて、企画の内容の確認から。
・データの分析が導く「正解」は、どのような場面や分野で人間の判断よりも勝ると思いますか。逆に「この場面・分野は、データ分析ではなく人間の判断が優先されるべきだ」というケースは、どういう場合でしょうか。
ご意見をお聞かせください。
まず、話を進める前に「データ」と「正解」を辞書で調べてみました。
<データ>
① 判断や立論のもとになる資料・情報・事実。
② コンピューターの処理の対象となる事実。状態・条件などを表す数値・文字・記号。
<正解>
① 正しい解答や解釈。
② 結果的によかったと思われること。
辞書で改めて調べてみると、なるほどと思います。
データで正解を導く=情報を基にして、正しい解釈を導く
これがデータで正解を導く意味だと私は考えて毎日仕事をしています。
さて今回のお題に対しての私の意見はというと、本当に当たり前過ぎてあれなんですが、「判断の重大さに比例して人間の判断の必要性が増す」と思っていて、データで行きつけるのは「ありえそうな解(解釈)」という選択肢の提示までで、それを選ぶために人間の判断が必要だと思っています。
2012年12月に製薬企業での研究職を辞めてからこれまでの6年間は、データに基づくレポート作成とかそんなことをしているのですが、当たり前といったら当たり前なのですが、仕事を進める中で大切にしている考えが私にはあります。
1)どのような”問い”に対して正しい判断をしようとしているのか?
2)”問い”への正しい判断にどのようなデータが必要か?
3)使用するデータの信頼性とカバーする範囲は?
私は製薬企業向けのデータベース(医薬品の売上の将来予測が強み)を扱っている会社のカスタムサービス部門に所属しています。業務内容は、お客様の課題(問い)についてヒアリングし、その問いに答えるためのデータの精度・種類や分析方法について議論し、提案し、受注し、レポートとデータを納品すると言うのが私の業務フローの簡単な説明になります。
こうしたデータを基にしたレポートは、当たり前ながらデータから読み取れることを主軸にした内容となります。そのため、基本的にはいわゆる一般的な意味での正解と言うもはほとんどないと考えています。
事実は1つ、解釈は無限
この言葉が示すように事実(ファクト)に対する解釈は多く存在します。
でこの解釈は何のためにするかと言うと、当たり前なのですがファクトを知った後にそれに基づいて何らかの行動に結びつけることになります。
行動に移るための「ありえそうな解(施策)」が選択肢として浮かび上がります。この選択肢のどれを実際に行動に移すか、そこに人の判断が要ります。
特に製薬企業での研究開発の場合は、決定してから結果が出るまでにかなりの時間(10年以上)と費用(数千億円)を有するだけでなく、国家による医薬品への規制上の問題、新しいサイエンスやテクノロジーを取り入れているため将来判断の困難性、競合他社の動向、などなど多くの観点からビジネスでの成功を目指すため、あくまでデータ分析は人間が判断するための材料に過ぎないというのが仕事上の感想です。
ビジネスでは色々なファクターが絡まり合っているため、それぞれの関連性についての知見を得るためには、データ分析は必要不可欠だと思っています。その上でどうする?っていうのは、いくらAIがいくつかのリコメンデーションをしてくれたとしても、成功を保証するものでもなく、結果人間が決める必要があるのだと思います。
『これからはAIがなんでも決めてくれるんだろ?』
と結構偉い方に言われたことがあって、
その時にはその方の同席者や私たちの間で色々な議論になったのですが、
『あなたが決めないなら、あなたは会社から即刻お払い箱になりますよ?』とバッサリと同席者の方が切り捨てた場面を鮮明に覚えています。
やはり決めるのってのはかなりガッツがいることで、かなりのプレッシャーがあることだとは重々承知していますが、最後にはきちんと決めることはやはりまだ人間に求められている領域だと私は思っていますし、データが導いた正解があったとしても、一度その「正解」をきちんと吟味するスタンスを持っていようと心に決めています。
最後に雑誌「Nature」電子版2019年10月30日発行に面白い論文があったので紹介して終わります。
サイエンス、起業、テロリズムの3つの分野でビックデータ解析をした結果、失敗の数が成功に重要であることが示されています。
過去の失敗からどれだけ学び、その知識を前進させていくかによって、
将来の成功のレベルが決まるとのこと。
「正解を選び続けることは正解ではない」ということを示唆していて、
これについては感覚的にも非常に納得感があります。
失敗から学ぶと言うことは、子育てにおいても、仕事においても、何においてもこれは大切な考えであると言えると思います。
何冊も本を読んで、熱くなったフライパンを触ると火傷すると知っても、それを本当に理解するには多少は火傷をする経験をしないと、真の意味で火傷を理解できないのと同じだと思います。
安全に失敗から学ぶことも教育であることを忘れてはいけないし、正解だと突きつけられたことが本当に正解かと疑うことは健全な思考であるだけでなく、これからの世界ではさらに大切なスタンスになるのだろうと、この記事を書いている最後の最後で思い至りました。
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