ランナーの話:「OKちゃん」前編
マラソンは年2回、ボストンとニューヨークで勝負します。
私がOKちゃんの存在を知った2009年当時、OKちゃんはジョグノートの自分の紹介欄に、こんな感じの言葉を書いていた。
そう、OKちゃんは、私からすると、正統派シリアスランナー。練習も、勝負レースに向けて、理に適ったメニューがあり、それを着実にこなす。何年もニューヨークのレーシングチームに所属し、練習会もサボらず、そして、レースでも、淡々と結果を出す。もちろん、サブスリーランナー。それも走り始めて、最短でサブスリーを取ったと聞いている。予定ペースも、コースに合わせ、秒単位で決めているに違いない。そして、それを記憶できる脳を持っている。もちろん、ウルトラやトレイルなどに無駄に手を出さない。
そう、OKちゃんは、なんでもが王道なのだ。
性格は非常に穏やか。怒り狂ったり、悔しがったり、号泣する姿は見たこともないし、想像も出来ない。
だけど、その実、きっと誰よりも負けず嫌いなんじゃないかと思っている。
そして、穏やかなルックスと裏腹に、レース中、心はボウボウに燃えていると思っている。つまり、頭はクールに、心は熱くのタイプである。
そうじゃなきゃ、あんなに何年も何年も、ロードレースで結果を残せない。そして、ライバル達と渡り合えない。
そんなOKちゃんのクールな闘志は、カメラマンの目に止まるらしく、手ぬぐい巻いて走る姿が、良くメディアに掲載されていた。(もしかしたら、手ぬぐい姿が目に止まっているのかもしれないが。笑)
OKちゃんのそんなランニング生活がずっと続くものだと思っていた。だって、そこには正しさしかなかったから。変える必要はまるでない。
だけど、変わってしまったのだ。本人の意志とは関係なく。
(つづく)