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小説「走る、繋ぐ、生きる」第13話
【歩子・メアリー・ジム@family reunion, Manhattan】
メダルとポンチョを受け取り、応援者との待ち合わせ場所へと向かった。
急いで行こうとするのだが、歩子の脚はさっぱり言う事を聞いてくれず、ギクシャクと操り人形のようにしか進めない。
待っていてくれるだろうか。
あそこで見たブラウン夫妻は幻だったんじゃないか。
そんな心配は待ち合わせ場所で彼らを見つけた途端、吹き飛んだ。
二人は、今度は、“Congratulation! Ayuko & John (おめでとう、歩子&ジョン)”という看板を掲げて待っていてくれた。
歩子を見つけた二人は、パッと笑顔になり、看板を脇に置き、両手を大きく広げた。
涙で霞む二人の姿に向かい、歩子は一歩、一歩近づき、漸く、彼らの腕の中にたどり着いた。
「おめでとう、アユゥコ、素晴らしい走りだった。」
「本当におめでとう。あなたは、本当に強いわ。」
二人は歩子の初マラソン完走を賞賛し、そして、言った。
「ありがとう、私たちに逢いに来てくれて。」と。
歩子は、二人の胸の中でむせび泣いた。