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スカイとマルコ(18)・心配

「どれだけ掻き毟ったんだろうな。前足の爪、全部、折れて、ドアも血だらけだったらしいよ。一生懸命、外に知らせようとしていたんだろうな。」

「でも、隣の人が、管理人さんに犬がずっと吠えておかしいって連絡したのって、倒れて、二日ぐらい後だったんだよね。もっと、早く気づいてあげられたら、助かったのかしらね。」

「どうかしらね。旦那さんも他界されていたし、身内って言っても、旦那さん側の甥ごさんぐらいしかいないみたいだし、半身不随とかで助かっても、生活するの大変だったんじゃないかしら。さすがに、忠犬でも、人間のお世話は出来ないもの。」

マルコは、アパートの管理事務所で、そんな人間たちの会話を聞いていた。

時枝さんのアパートは、その甥ごさんというおじさんが、お葬式の後、業者を呼んで、さっさと家具やらなんやらを処分したけど、さすがに、僕の処分には困ったらしく、一時的に、アパートの管理事務所にお金を払うからと言って、預かってもらう形になった。

というのも、時枝さんは、弁護士さんに、”犬の面倒を一生見てくれることを条件に、財産をその人物に譲る。”みたいな遺言状をお願いしていたみたいで、甥ごさんは、犬を飼うことを家族に説得する為、自宅へ戻ったのだ。

僕は、これからどうなるんだろう?
という気持ちより、時枝さんが今、どうしているのかの方が気になっていた。時枝さんが倒れた後、なぜか、ピーターもサスケも現れなかった。きっと、自分たちが引き寄せてしまうのを避けたんだろう。
今は、一緒にいてくれているだろうか? ピーター、サスケ、頼むよ。あ、そうか、旦那さんとも会えているかな。

僕は、そればかり考えていた。
食欲は全くなく、水を少しだけ飲めた。


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