ラビリンス〜魔王の迷宮〜アドベンチャーゲームで遊ぶ Vol.5 “STONE WALLS”
ラビリンス冒険TRPG “STOME WALLS”編
《冒険者紹介》
【ポンタ】
種族:人間
持っている物:なし
***
【レディ・ペッパ】
種族:古の騎士
持っている物:白い旗・紙に包まれたラードのブロック・壊れたレンガの塊3つ
BRICK KEEPERS レンガキーパー
井戸を出ると、目の前は広場になっていました。ここも静まり返っています。
広場は真ん中に置いてある舞台のような大きな石とその周囲にある4つの平らな円形の土のエリアを除いて大小様々な敷石で覆われていました。
土のエリアにはそれぞれ、枝にたくさんの鳥の巣をつけた大木が生えていたり、6フィートのゴブリンキングの石像が立っていたり、巨大な亀の甲羅が置かれていたり、1ヶ所はクレーターのように凹んでいて穴の底に黒い金属の剣が地面に刺さったりしているのでした。
そんな広場の一番奥にラビリンスの奥へと続いていくアーチが見えました。
★まずは場面を想像してみましょう!
Let‘s imagine!
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さあ、どうしますか?
「どうしますか?って…普通に奥へ行くよね。ついでに剣を引き抜いて行こうかな。持っていた木製のポールはアンミカにあげちゃったし」
ポンタは広場の敷石へ一歩踏み出しました。
すると、敷石がひっくり返って下から小さなゴブリン達が現れたではありませんか!彼らは何やら怒っています。そして敷石を隆起させてポンタを井戸の方へと押し戻しました。
「何なの?どういうこと?」
この広場の敷石は全て、レンガキーパーという小さなゴブリン達の家の屋根だったのです。突然屋根を踏まれたものだからレンガキーパー達は怒ったのでした。怒ったレンガキーパーは周辺にも呼びかけて侵入者を入り口へと押し戻します。
「えー。厄介!」
さあどうしますか?
「え、普通にお願いできないの?コンコンってやって、すみませんがお宅の屋根を踏ませて下さいって」
「なるほどね!」
くろぽちキング、思いつかなかった…。
普段からゲームをやっているからか、まずはどう戦うかとか謎解きとかを真っ先に考えてしまうので素直に「お願いする」という頭がなかった…。
ゲームをやってない友人だからこその思考だなぁと思ったのに加えてなるべく穏便に済ませようとする発想が実に友人らしいなと思いました。
「待ってね、地図を見てみる」
「石の舞台には乗れるのかな?乗れるなら、縮尺がわからないけど前回の貯水池の地図のボートの大きさとかから考えて、この広場は入り口から石の舞台まで大股で大体4歩くらいとみた。そしてそこから更に4歩でアーチに着くと考えて…」
ポンタ、地図を使いこなし始めた。
「この4歩分の家に頼んでみるってのはどうかな?」
「いいと思う!」
なるほど。くろぽちキングはここでやっとわかりました。
実はこの場面の資料には住民ゴブリンの詳細がデータとしてあるのです。でもみんな地面の下にいるはずだし、彼らが出てくるのって屋根を動かして入り口まで侵入者を戻す時だけだから一体何の為に使うのかな?と思っていたのですが…こうなると突然生きてくるデータです。ゴブリンに直接働きかける場合も想定した本の用意の良さにもポンタの発想にも感心しました。
ではサイコロを振って下さい。
敷石に引っかかるほどの長い耳を持つ紫色のゴブリンが顔を出しました。
「何の用だ」
「すみませんが、そっと踏むのでちょっとだけ屋根を踏ませて下さい」
このゴブリンはなんとなく気弱なタイプだと判断したので許可します。
まずは1歩目。
2歩目のサイコロをお願いします。
ちょうど子供を寝かしつけている途中の途方に暮れた顔のゴブリンが叫びながら顔を出しました。
「あー。こりゃダメだわ」
「もう怒ってるもんね」
入り口へ押し戻されるふたり。
ちなみに、3回入り口まで撤退を強いられるごとに1時間経ちます。
「えー!!」
最初の1歩の時は井戸からすぐの1歩で押し戻しも一瞬だったと思うのでノーカウントにします。だからあと2回押し戻されたら1時間。
「じゃあ、まずさっきの紫のゴブリンの家を踏むでしょ、次の1歩はさっきの親ゴブリンの隣の敷石をノックしてみる」
紫ゴブリンの許可は貰っているので、2歩目の親ゴブリンの隣の家をサイコロで。
太ったゴブリンが腰に巻いたバスタオルを握りしめながら拳を振って顔を出しました。
「えー。どういう状況?」
「あれかな、お風呂の途中だったのかな…」
「あー、そりゃ怒り心頭だわ」
ポンタはお風呂が大好きなので気持ちがよくわかるようです。
入り口へ押し戻されるふたり。
「これさぁ…あっという間に13時間経ちそうよ」
「ゴブリンキングの大ヒントー!」
冒険がここで終わるとゴブリンキングも困るので、救いの手を差し伸べました。
「入り口から土のエリアまでジャンプできるよ。土のエリアから土のエリア、石の舞台にもゴールにもジャンプできるよ」
「ああなるほどね。それ早く言ってよ」
「だけど1回のジャンプの難易度は5となっておりますです」
「5!?つまり5か6が出ないとダメってこと?」
「そう。それ以外だと敷石に落ちて押し戻されますねー」
「3回それ繰り返すのは絶対無理だわ」
これまでサイコロで小さい数しか出してないポンタは早々に諦めモード。
貯水池でも潜るの全部失敗したし先に進むサイコロも1とか3とかでした。
サイコロに頼ると痛い目を見ると考えたポンタ。真剣に考えております。
「…交渉する」
「交渉?」
「またさっきの入浴中のゴブリンをノックするでしょ」
「でも怒ってるよ。湯冷めするって」
「ペッパ、壊れたレンガ持ってたよね?」
持ってた持ってた。地下の貯水槽で3つの壊れたレンガを拾いました。
「敷石が屋根の家なら、何かとレンガは有用だと思うのよね。どこかの修理にも使えるだろうしただ置いて机とか家具として使ってもいいし」
「なーるほど。これすごく良いレンガですよーって言おうか」
「そうそう、これひとつあげるから、通して下さいって」
「いいね!やってみよう!レンガは3つあるから、3件は交渉できるよ!」
紫のゴブリンの屋根を経て(きっと“ちょっとって言ったのにまた踏んでやがる”と思っているでしょう)入浴中のゴブリンの屋根をノックしました。
太ったゴブリンが腰に巻いたバスタオルを握りしめながら拳を振って顔を出しました。
「お忙しいところ恐れ入ります。すみません。一瞬で済むのでお宅の屋根を踏ませて下さい。お礼にこちらのレンガを差し上げますから」
「これすごくいいレンガだよ」
お風呂ゴブリンはもう1秒でもゆっくりとお風呂に浸かりたいのでしつこい営業マンを早く追い返したいと思いました。それに何かくれるって言っています。
「ああいいよ。それ置いてもうさっさと行ってくれ」と許可してくれました。
「やったー」
2歩目、クリアです。
「でもこれさ、石の舞台に着いてもそこからまた4歩やるんでしょ?つら」
確かに、ここまで来るだけでもたーいへーん。げんなりするポンタ。
まだたった2歩です。先は長いですね。
さあ3件目です。サイコロをどうぞ。
「なんだお前」
敷石に引っかかるほどの長い耳を持つ紫色のゴブリンが顔を出しました。
「あれ?さっきもお会いしましたよね?」
サイコロなので当然同じゴブリンにも当たります。さっきの紫ゴブリンの親族かもしれませんね。とりあえず彼らなら許可してくれますので3歩目はクリアです。緊張の4歩目のサイコロをどうぞ。
その敷石の下には身長1インチのレンガキーパーが何千人も住んでおり、彼らが一斉に顔を出しました。
「こわっ」
「1インチは2.54センチだって」
「ちっさ!」
「すみませんが一瞬だけ屋根を踏ませてくれませんか?」
彼らは大人数なので、きっと多数決で物事を決めるでしょう。サイコロを振って1〜3ならNO、4〜6ならYESでどうでしょうか。
さあサイコロをどうぞ。
4!
「通っていいよって奴ら〜」「はーい!」大合唱です。
って事で、YESが多数でした。
見事に4歩目クリアです!
「やったー!!石の舞台に到着!!」
ポンタとレディペッパはわーい!と石の舞台に飛び乗りました。
その時です。
石の舞台が勢いよく跳ね上げられました!
ポンタとレディペッパの体が宙を舞います。
そこは、巨大なブロックキーパーの家だったのです。
「えーー!」
宙を待った体がどこに着地したのか、すぐにサイコロを振ってもらいます。
着地した所は……石の舞台でした!
「え、なに跳ね上げられてそのまままたそこに着地したの?」
そういう事のようですね。
「トランポリンみたいだね」
もう一度跳ね飛ばされるので、またサイコロをどうぞ。
着地した所は……なんと出口である広場の奥でした!
「え、やったー!ラッキー!」
「わーい!」
途中の剣は取れませんでしたが無事広場を超える事が出来ましたね。
「え?なに剣って?」
忘れてるし…。
最初に途中の剣を引き抜いてから出口のアーチに行こうって言ってましたよね?
「ああもういいや。やっとで脱出出来たんだから」
「大変だったね」
こうしてふたりは無事にレンガキーパーたちの町を通り抜ける事が出来ました。
サイコロを振り、次に進む道を決めましょう。
つづく
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ゴブリンキングの日記
今回はポンタの選択により、これなんだろう必要ないよねと思っていたレンガキーパーの個人データが思い切り役に立つと気がついて、ゴブリンキングとして楽しい場面だった。選択次第では丸っ切り使わないかもしれないけれど、あれがなかったら困ったと思う。その場合はゴブリンキングがひとりひとり考えてあげないといけないんだろうし、今後そういう場面も出てくる可能性もあるんだろうな。
ところでここまでの冒険でリアルな時間では数時間かかっているのにゲーム内では時間経過していないのが地味に気になる…。ゴブリンキングの裁量で経過させるべきなんだろうかと考えたけれど、場面内の試練に失敗したら簡単に1時間経ってしまうので相談して時間経過は本の指示があった場合と試練に失敗した場合のみにする事に決まった。まあラビリンスは異世界だし映画内でも現実世界の時間とリンクしてなかったしそれでいいのかと思う。
ストーリーテラーとは言えもうほぼ冒険者の立場。変なゴブリンが出てきたら「何それどういう状況?」とああじゃない?こうじゃない?と想像するのがものすごく楽しい。バスタオルを腰に巻いて拳を振り上げてるゴブリンとかね。データを伝えながら「なにそれ変態?」って思ったもんね。