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2024年10月の二日間 day1


10月19日、名古屋鶴舞K.Dハポン&daytripで開催された「つぶろっく」。
10月20日、松井文と他人とのツーマンライブ「せっせせっせ」。


黒岡カルテット

カルテットの演奏として2024年の集大成を見せようと準備して向かった。
終わってから思うのは二日間あるとバンドとしての結束力もグッと強みを増す。純粋に同じ音楽に没入できるからだろうが。メンバー同士がどんなことを考えているかもわかる。

10月19日朝、楽器を詰め込んで名古屋まで。持ち寄ったCDを聴きながら、あれこれ音について、主にブラジルに想いを馳せながら車を走らせる。途中、ライブ中に挟む芝居の練習をしたり、全く関係のない架空の物語のキャッチボールをしながら想像力を四方八方に巡らせて。

「あの雲の名前は?」「繭です」

名古屋に到着。すぐにモモジさんとあい、daytripのリハーサル。音を決めたあとは、照明について出来るだけ細かいところまで詰めた。リハーサルの甲斐もあって照明の転換もうまくいったと思う。daytripのスタッフの皆さんありがとう。


ライブ。集中した体と興奮した頭。メンバーそれぞれが、どこにボールが来ても拾えるように意識を張り巡らせ一気に解放する。こうきたら、こうしよう。とにかく来たるべくボールにそれぞれが手を伸ばしている。尚且つ自分のプレイにも集中。時にわざと放置、時に協力のスタイルでそれぞれが決め、結果的に自分たちの形になる。判断の連続。緊張と弛緩の繰り返し。ヘトヘトになるけど、終わった後は、すこぶる心地よい。不思議なことが起こる。それが僕たちのライブだ。僕らは音を通じてコミュニケーションしている。ライブ中は次の出す音をイメージしているから、過去のことは覚えてないけど。

黒岡カルテット daytrip

ライブが終わって、あらためてモモジさん、スティーブジャクソンの皆さん、ケバブ、細田さん、マッチ、なぐぁさん、沢山の友だち、見ていただいた人と話をする。永見さんに「ずっとふざけてるんだけど、本当のことしか歌ってない」と言ってもらえた。嬉しくなり「本当のことじゃないと届かないんです」と生意気なことを言った。

沢山の人に嬉しい感想をいただいた。マッチに「芝居、やばいっすね」と褒めてもらう。黒岡カルテットの芝居(寸劇?コント?)の位置付けは、音楽をさらに濃密にギュウギュウにする装置だと考えている。脳みそを彼方に飛ばすための、旅行のような体験にしたいから。まるで映画を見た後のエンディング曲と音楽が、意味をさらに持って美しく聞こえるかのよう。音楽がグングン入り込めるように芝居は1装置として捉えているつもりだ。

とか言うこともできるけど、自分が勝手に面白いからやりたいからやっているだけのこともある。ライブ中のハプニングは、どっちに転ぶかわからないので、なんとなく「何か起こる(かもしれない)時間」を改めて用意しているのだ。これはメンバーの皆んなが、多才から可能なだけで、このメンバーじゃないと不可能だ。

僕にとって地図だけ描いて後は好きに歩いて歩いたり走ったりしてもらうという時間なのだ。歌でも、日常でも「これから起こることは好きにやっていい。ただやってはいけないことを踏まないように」ということで、NGのことだけ事細かに決めてある。お客さんが嫌な感じにならないためにも、話の進行に予期しないハテナマークが出ないためにも、やってはいけないこと、やってはいけない方向だけ決めている。そのやってはいけないことは、時を過ごすことによって共有できていると思っている。もちろんそれぞれが得意、不得意、いろいろあるので、気持ちよく自由でいられる場所を作りたいという気持ちなのである。

なんとも面白い集合体だと思う。とはいうものの、練習では、黒岡が描いた地図を実際に歩いてみて、この道が良さそうだとか、ここはまだうまく歩けないとか随分試す。僕の地図に間違いがあるかもしれないし、フィットしてない時も出てくる。イメージに自分の実力が足りてないことも多々ある。これは全部に言える。ただ、不可能なことは出来るだけ可能に寄せていって、一番フレッシュに歩ける場所を探す。ドラクエでいうと、レベルを完全に上げてから向かう洞窟ではなくて、ギリギリのレベルでやりたいことを試す。そのあたりの出来る出来ないは織物のようにチグハグに用意しているが、、。プレッシャーにならない挑戦を用意しておく。
その場所を提案できるかどうか、場所を作れるか、みんなとフィットできるかが非常に大切なところである。

いろいろ間違えたりしたところもあったが、ライブは終わった。ヘトヘトになった。「ここでビール!」と行きたいところだけど、帰りの運転のためにハポンのタコセンを食べた。

ブラジルコーヒーの前で

名古屋は名残惜しいが、お別れする。帰宅前に、金山ブラジルコーヒーに顔を出す。角田健太と握手して帰る。やっぱり一瞬でも会いたい人には会いたい。欲を言えば各務(紙コップス)にも会いたかったけどまた会いましょう。どの場所にも会いたい人はいる。生存確認してるかのように会う。「元気?」なんて話をしながら。顔を合わせる。元気じゃなくても良い。会うのがいい。

帰りは厚海義朗さんのDJで、ジャズからポップスまで幅広く聴きながら、夜の高速道路をまるで一体の生き物のよう走る。後部座席の人は体を休め、前列の人は音楽を聴きながら、今日のライブの話をしたり、好きな音について話をする。昼間にできる話と夜にする話はなんだか温度が違う。両方とも面白い。

朝の4時前にみんなを送り届けて家に到着。4時間ほど寝て起床。

公園に行ったり、昨日のライブを思い出す。出来なかったことも含めてセットリストを練り直そうと決める。昨日良かった部分と、新たに挑戦したい部分を織り交ぜることにした。フレッシュな部分と、まだ突っ込める部分を入れていく。

そしてそそくさと電車で向かう。名古屋で録音した音源を聴きながら試聴室に向かう。MCはいつになっても素人くさいけど、曲はよくなっていると感じた。同時にライブの途中に挟んだ芝居の部分が長すぎるような気がして、試聴室では短くしようと心に決めて向かった。(続く)


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