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展覧会の前の炎

9月26日(火) 予感だけで燃やす


突っ走っている。
時空が歪みそう。時を超えてギターの音がダイレクトに響いてくる。言葉が出てくる。頭がショートしそうな煙が出そうな、ああ。居心地がいいようなキリキリマイのような。
ここ数年で一番真剣なくらい家であれやこれや着手している。
劇の打ち合わせをして、終わって「よしOKこの感じで行こう!」となってもまだまだやることがある。詰まっている。濃密だ。全力だ。走り切るしかない。
10月が明けたら少しは楽になるだろうか知らんが、とにかく進んでいる。

ちょうちょう

あれやこれや膨大に行ける方向を考えては探っていたが、もうタイムリミットでやるだけになってしまった。瞬時に選択していく。こっちがいいかどうか予感だけで燃やしている。
手を動かす。形が見えてくる。答えが見えてくる。
道は細い。細いけど正解はある。ここを行けばいい。それをくねり出す時間があるだろうか。

こんな細い線を脳みそをフルマックスに回転させて落っこちないようにただただ進んでいく。集中している。
こんな日があっただろうか。
あった。あの時、あの日。集中を切らさずただただ己のようなものと向き合っていた日があった。苦しいけど生きている感じもする。
逃げ出したいような気持ちもないわけではないが、決めたからには突っ走るしかない。ただただひたすら、ひたすら目の前のものと対峙しては千切っては投げ、それがいいのかどうかももう考える時間もなく予感だけで突っ走っている。目の前の炎を落とし込んでいくだけ。体が壊れちゃうか。

まだできる。行ける。行きます。やります。やれそう。そこにあるもの。
ああ、この風景を勝ち取りたかったんだろ!?そうです。
忙しい。そうか。10月が終わったら少し休むぞ、そこまで、頑張れ!詰まってる!

夜にシャインマスカットを頬張り、ひたすら絵を描く。塗る。大まかに展示する絵はほとんど出来上がった。大きな4枚綴りの絵のテーマが決まった。これはギリギリだ。テーマのようなものは決まったが、「これでいいんだろうか」と思うが、悩んでいる暇はない。やるだけ。描いているうちに「結構好きかも」となって、ホッとしている。

布に絵があるイメージ
公園にいた子どもたち なんかのイメージに残る

9月27日(水) 今日は引き千切れたとしても「う」を作る


「う」のミニチュア製作
ミニチュアの20倍の「う」!

今日は絶対にやることがある。「う」の製作だ。これが終わらないと「重力にあらがう」が完成しない。小道具というか大道具というか、肝と言っていいものだ。硬くて大きな段ボールをもらいに電気屋に行くと、なんと定休日。しょうがないので最終的にニトリで段ボールをいただく。朝から製作。
前回作った「ま」よりは簡単だが、果たしてうまく行くだろうか。なんとか午前中に目処が立つ。

唐揚げを仕込んで夜に作る。
夜は昨日からなんとなく見えた4枚綴りの絵を描く。
気に入らない塗りの部分があったので、完全に上から白で消して描き直す。いけるんだろうか。いや、行けるだろう。

9月28日(木) 脚本が大まかに大まかに完成



だいぶ見えてきた。ほとんど寝てないが寝てる暇はないともいう。
しかしラッキーなことに昨日思ったより「う」が早く完成し余裕ができたと思い、小金井公園に午前中散歩に出かける。あっちやこっちや出掛けてはイメージを振る。頭の中を振り子に入れてるようだ。
帰ってきて「う」に赤い布を貼っていく。お!できた。いい感じ。予想通り。手がボンドまみれ。服にもボンドが。

パツパツの中作っていくが「う」が完成しそうなのは嬉しい。大量のボンド。
この2、3日のイメージを冷凍するかのように入れている


夜はジェットさんと最後のリモート打ち合わせ。最後のオチをなんとなく午前中の散歩で決めておいたので提案する。やりとりして変わったところ、元に戻ったところもあり。まだ全部が決まったわけではないが大枠は決まった。練習すればするほど、キャラが定まりニヤけてしまう。ジェットさんも自分もいけそう。乗っている。いい感じだ。あとはセリフや展開を覚えられるかどうか。
打ち合わせが終了して、変わった脚本部分を熱いうちに変更しておく。照明で関わってくれる角田健太さんにも、わかりやすいように指示書を作っていく。わかってもらえるだろうか?どういう表記がわかりやすいんだろうか試行錯誤とできるだけ丁寧さを持って作っていく。自分でも全貌を把握したいのもあるが、わかりやすいように作るのは礼儀だ。
しかし1日でやれる量、集中できる量は限られていると思う。騙し騙しやるしかない。よく突っ走っているなあと思う。

9月29日(金) 肌でわからないものは清書できない。

家で作業ができる最後の日。「重力にあらがう」お客さんにもわかってもらえるように最後まで微調整していく。「メクリ」の部分、どの言葉がいいんだろう。わかりやすい言葉や、登場人物を設定すればいいんだろうけど、それも野暮なような気もする。イメージが湧く言葉がいい。う〜ん。この辺の調整、メクリの言葉は、やっぱりジェットさんと詰めてから「どれが一番わかりやすいか」「どの言葉が効果的か」を肌でわかってから決めて書こう。肌でわからないものは清書できない。これは10月1日当日につくろう。「メクリ」は諦める。

いろいろ配置を変えたりしたが、答えは自ずと出てくるもの


紙で描いた作品を額装していく。随分と前に描いた絵も取り出して「ああ〜最初はこんな感じでイメージしてたよな」と色鉛筆でひたすら塗に徹した絵を懐かしがる。ここまで来れば方向性も決まったも同然であるが、ここまでくるのに紆余曲折あった。あっちを伸ばそうか?こっちを伸ばそうか?迷ったものだ。迷ったけど、全部試せて良かった。購入した額と、家にあった額をほとんど出動させ、ハメてみる。絵のバックの部分が無機質で気に入らなかったのもあり、大きな白い紙を後ろに噛ませて色をつける。かなりいい感じだ。今まで見えていなかった具体的なイメージが実際の展示と近づく。(そりゃそうだ)自分でもいい感じだと思う。一安心で22時頃寝落ちしてしまう。

青、赤の色鉛筆を大量に買った。
最初はこのタイプの絵をひたすら描いていた。飽きてやめた。

9月30日(土) 配置を変えながら心の正解に寄り添っていく


(昨日寝てしまったこともあり)朝の4時に起きて、最後の微調整。実際に、ブラジルコーヒーの壁面サイズと、今自分が製作している作品のミニチュアをつくり、どこにどの作品を置くのがベストか想像していく。実際に行ってみて、変更になるかもしれないが、それはそれでいい。まずはイメージをするところが大切だ。会場であたふたするよりよっぽどいい。
朝ご飯を食べて、9時にレンタカーを借りに家を出発。小雨が降り始めた。名古屋までの道中は何度も行ったが、全部助手席だった。自分で運転する名古屋一人旅は初めてだ。その辺も心配なのでよく寝て万全の体調で向かうつもりだったが、自分の準備不足でギリギリまで準備が終わらず、早朝から起きる始末だ。まあ、でも寝たから大丈夫か。3時にジェットさんの家近くに到着。ジェットさんと顔を合わせ、そのままブラジルコーヒーに。
30日のライブのリハーサルをしている16時から18時の間に絵の搬入をさせていただく。ジェットさんも快く手伝っていただく。かなり助かる。というかすごい助かった。私はメインの200枚のカラーコーンの写真を正確に一枚一枚貼っていく。「文字が薄かったかな?」と思ったが、「これ、なんだろうかって近づく人もいるからいいんじゃない?」とジェットさんに言っていただく。
壁面がスッキリ見えるように調整する。とにかくジェットさんがかなり心強く、釘では心もとないところはネジで補強してくれたりと、ありがたいとしか言えなかった。なんとか、オープン前に、どうにかこうにか展示終了。

220枚、どれがどこがいいか、配置を変えながら心の正解に寄り添っていく
本当にジェットさんにはお世話になったのです
200枚が220枚になった。この他にも200枚くらいあります。おおとさん、ムルヒがいい感じで話してくれてます。

この日のライブは、THE PYRAMID→THE RATEL→PANIC SMILE。暗闇の中しょうが焼き定食を食べる。真っ暗なので何を食べているかわからないけど、美味しい。
ライブを観ながら、明日の「重力にあらがう」どうしようかね。なんて話をジェットさんとする。暗さや、明るさ。暗転の仕方。お客さんの見え方、全部を話せて良かった。前日にイメージできて良かった。今から思うとこの辺もギリギリだった。(前日のイメージがないと、本番もう少しわかりにくかっただろうな)

イベントが終わって23時過ぎに帰宅。(ちょっとマックでカラーコーンの表を作っていたけど)ジェットさんと夜に台本の読み合わせ。ブラジルコーヒーで実際に感じたことを話しながら、織り込んでいく。2時頃寝る。

10月1日(日) やるべきことをやるだけ、いや、やるしか暇がない

ジェットさんのお宅で8時頃起床。午前中、台本通りに練習。リモートではなく実際にやるとなんだか見えてくる。実際の動きを確認しながら、細かいところを納得できるように落としていく。
「メクリ」の文字を迷ったが、お客さんがわかりやすい言葉で決めていく。自分がいつもお客さんになって決まっていくので、この答えしかないと思っている。ようやくわかること。
同時に、昨日の展示でつけられなかったキャプションも作って持っていく。
ジェットさんの家では大変お世話になった、感謝してもしつくせない。楽しい時間を過ごさせていただいた。台本をもう一度練り直し、練習してギリギリになる。

最後まで詰めていた脚本とめくり
「めくり」が決まって時間ギリギリだけど
書いているときは
流石にアドレナリンが出た
なぐぁさんに運んでもらう

会場について、「う」を運ぶ。リハーサル。角田健太氏に照明をしてもらうため打ち合わせ。細かいところまでチェックする時間はないが、見せ方のやりとりをした。照明も客席とステージで切り返してやってくださり、本当にありがたい。シンプルだけど、バッチリだ。この辺は、もう慣れているとかではない、気持ちなのだ。と思いながら準備を進める。あっという間に本番になる。さあ!やってきたこと、全部出せるかどうかわからないけど、さあ!行くわよ!


余談ですが、ここから展覧会は始まったと言っても過言ではない。2月からか!


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