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過去の様式をぶっ壊した建築 ~母の家~

買い物の帰りに、手さげかばんが自転車の前輪に引っかかって、横断歩道で豪快にひっくり返ったくろにいだ。

車道に散らばったサバ缶を拾ってくださったお兄さん、ありがとうございました。

肩から落ちて、肩を痛めたので、その後整形外科に行ってきました。レントゲンを見ながらお医者さんに、強そうな骨だねって褒められた。

今日は、1964年にアメリカのフィラデルフィアで建設された住宅、「母の家」についてお話しします。設計者はロバート・ヴェンチューリ。
「母の家」はヴェンチューリのお母さんの家です。この住宅は、一見普通の住宅そうに見えますが、世界的に評価されている住宅です。

それでは、普通の住宅に見える「母の家」の何が凄いのかを見ていきましょう。


1. 母の家

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正面 母の家/米国 フィラデルフィア/1964/ロバート・ヴェンチューリ
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エントランス
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居間

ヴェンチューリは、「建築の多様性と対立性」と「ラスベガス」という本でも有名です。

初めて「母の家」を見た方は、「少しだけ変わった造形だな~」とか、「玄関はどうなっているんだろう」とか、「違う形状の窓がそれぞれ付いてる」等、思われたかもしれません。

僕も大学2年生の時に初めてこの建築を見ましたが、どこにでもありそうなこの住宅が、何故、世界的に評価されているのか全然分かりませんでした。

2. 分からないときは素直に人に聞こう

しかし、何かしらの理由があるはずなので、授業が終わった後に先生に質問しに行ったのを覚えています。

先生は言いました。「屋根に着目しろ。」

へ?

しばらく考えて、なんとなく屋根のどこの部分を言っているのか分かってきました。なんか変だな~と思ってはいたのですが、、まさかここが凄いポイントだったとは。

そう。屋根の真ん中が切れているのです。屋根に、1本の切れ目がはいっているんです。

しかし、これの何が凄いのでしょう?

3. 伝統的な建築物を否定する

資料_母の家


これまでの住宅は、伝統的な切妻屋根が一般的でした。

ベンチューリは、どうすれば、新しい建築を表現できるか考えました。

そこで思いついたのが、切妻屋根(雨や雪を効率よく地面に落とすために△の形をした一般的な屋根のこと)に縦方向の切れ目を入れることでした。

ここで重要なのは、何故そのような表現を行ったかです。

ここからが、『母の家』が芸術のレベルへと昇華された核心の部分となります。

ベンチューリは、新しい建築を表現するためには、過去の建物を否定すれば良いと考えました。そこで、どのような造形的操作行えば、過去の建物を否定することができるか考えました。その表現こそが、切妻屋根という伝統的な屋根形状に、1本の切れ目を入れることだったのです。まさに伝統を冒涜する行為でした。

切妻屋根に1本の切れ目が入ることで、切妻屋根の三角の形が真ん中で分断され、切妻屋根が切妻屋根ではなくなってしまいます。ベンチューリは、実にシンプルな方法で、伝統的な屋根形状を否定したのでした。


芸術とは、既成概念を壊すことである。


「切妻屋根(古い建物の象徴)を~、ぶっ壊す!」 をやってしまったのが、ベンチューリさんなのでした。


以上です。


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