橋の下の屋台/超短編小説
江戸時代後期主人が営んでいる屋台が橋の下にあった。
偶然訪れた武家の若者が尋ねた。「主人。つかぬ事を聞くがどうして橋の下に店を構えている?」「慈善事業にちょうど良いからです」「うむ?」
ポツポツと急に天から川に水滴が落ち始めた。「急な雨宿りにぴったりだからですよ」
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江戸時代の某橋の下に屋台があった。
「なぁ。店主?なんでこんなとこに店さ作った?」
「慈善事業だよ。追っ手から逃げる人をかくまうためさ」「ほー?」すると店主は足元から脚立を取り出し橋に立て掛けた。「理由はどうあれ放っちゃおけねーからさ。今宵はどなたがお越しかな」
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夜は屋台をやっている。他の時間は農業と釣りをやっている。自給自足ってやつさ。欲しいものは物々交換で。お金でしか買えないものは屋台の収益でまかなっている。食う分には困らないが裕福という訳ではない。ただ一つ言えることは何でも自己責任でやっていけてるということだけかな。
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知ってるかい?橋の真下ってのは人が集まらない。だから名目は公共物。どうやって許可もらったか?簡単な話さ。お上に直談判したのさ。腹を抱えて笑っていたさ。おかしな奴だと言われたよ。おかげ様で場所代はロハ。たまに役人が客としてくる始末。色々な人がくるが身の上は黙認が鉄則
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ある日の夕暮れ時いつものように橋の下の店番をしていたら一匹の柴犬が匂いにつられてやってきた。
「いらっしゃい」
犬はか細い鳴き声を発した。店主は下茹でしていた温野菜を皿に入れて差し出した。おまちどおさま。柴犬はもぐもぐと食べ切ると遠吠えを発した。今日も接客宜しくな!
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青年は巷で噂の橋の下の屋台に赴いた。
「あなたは自由で羨ましい」
「何を言いますか。私からすればあなた様の方が可能性に満ち溢れているように見えますよ」
「なぜだ?」
「簡単なことですよ。あなたは悩んでいる。その数こそ人生の価値なんですよ。雅なお方こそ
悩み多きこと」
日々文章を書きつつ。どうにか生き延びようと派遣にて働き口を探しつつ転職活動中の身です。金欠中ですが。 noteでは楽しみと人と人との出会いを大切にして いきたいと思っております。