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映画「罪の声」グリコ森永事件の無線交信を読み解く

 映画「罪の声」が公開されました。この中でトラック運転手が犯行グループの無線交信を傍受するシーンが描かれていますが、実際の事件では北海道のアマチュア無線家がこの元となる通信を傍受しており、私も数年前にこの交信記録テープを入手しました。

 ある所から入手した「警察庁指定第114号事件」(通称グリコ・森永事件)の犯行グループと思われる無線交信記録テープ、当時全国のアマチュア無線関係に配布されたもので、1984年12月4日午後2時過ぎに北海道のアマチュア無線家が傍受し、警察に届けたものです。文面は新聞などで公開されていますが、実際にテープを聞いてその内容を読み解いてみました。

「了解、まったくそのとおり(です)。いちにぃいちろく(1216)、ただしねえ、R6に行った際には(ね)、日帰りで戻ってくるように。往復券が確実に取れてRの6に行く場合には必ず足が付かないうちに戻ってくるように。えーと、それから7のほうは現在ね、また別のコマンドが探りを入れてますけども、7、8は比較的えーあれなんでね、厳重に警戒してるんで現在のところ6あるいはRの6が一番有望との情報が入っています。21面相、こちら玉三郎」

「了解、ところで不二家のほうはどうなっとんのや?ほなら不二家のほうでは金払わんちゅーとんのけ?」

「やあ、だったらもう不二家、あきらめたほうがええわなこりゃ」

「とにかくひとふたひとろく(1216)に6、飛行機取れればRの6、これはあのう確実にやっとけというあれだから」

「21面相、こちら玉三郎」

「よーう、きかれとるな。あのう、向こうのバンドに移るぞ」

「えらいこっちゃ、XXX(聞き取れず)、移るぞ」

 この交信記録はアマチュア無線に割り当てられている7MHz(バンド)から少し外れた(オフバンド)の7.110MHzでの無線交信で、通常はSSBと呼ばれるAMラジオの音質からさらに劣化した方式で行われています。この音声自体も非常にノイズが多く、交信相手は傍受されていませんでした。それではこの内容を読み解いてみましょう。

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