【旅メモ 熊野古道をゆく】中辺路1日目 紀伊田辺駅~近露
人生初の熊野古道は、昔最も多くの人々が歩いたという王道、中辺路ルートを選択。都合により3泊4日でルートを作成してもらったが、1日目の朝は意外にゆっくり。駅前で10時過ぎのバスに乗って「来栖川」バス停を目指せばいい。バスの時間まで紀伊田辺駅の観光案内所を覗いてみる。ここで衝撃の事実判明。見るからに熊野古道案内のプロの雰囲気を漂わせているおばさま方。どこから歩くの?と聞かれ、「しおり」に記載されたルートを説明すると「えーっ、そんなところから歩かせるんだ~」と若干驚きの反応。「えーっ、あなた方がそう思うルートで私大丈夫!?」と心の中で思ったことに間違いはない。
バスに乗り込み、しばし窓から景色観光。出発時の天気は雨。既に着込んだレインウェアに加え、この日のために購入した靴カバーも着用。
予定より少し遅れて来栖川に到着し、待っていた奥ジャパン手配の荷物ドライバーさんと会う。荷物を預けると、ドライバーさんが「頑張ってね」と手作りの竹のキーホルダーをくれた。小さな白いパールがちょこんと付いていて可愛い。なんだか幸先がいいじゃあないですか!おじさん、ありがとう!この時点で11時。
道路を渡り、民家の間を抜けて富源橋を渡る。橋から景色を見渡すと、桜が咲いている~♪ そうだ、今回の熊野古道は桜の開花に合わせて楽しみを増やしたんだった。初日はあいにくの雨で桜も濡れていたけどさ。
橋を渡りきると左手の山に舗装された小径が現れた。あ、ここだ~、ここから私の熊野古道が始まるんだ!普段雨なら絶対に登山には行かない派だけど、熊野古道だけは「雨も楽しむ」お遍路なのだと本で読み、なるほど、この雰囲気なら確かに雨で濡れた小径は情緒があるわ~とすっかりその気(笑) ここから高原熊野神社を目指す。
小径を上りきって右に曲がり、数分で高原熊野神社だった。ここは熊野九十九王子には入っていないが、熊野古道沿いでは現存最古の神社。樹齢1000年を超える大楠が立つ。熊野古道沿い、初めてのお参りを済ませて次に向かうは大門王子。民家の脇の旧旅籠通りを進む。この時点で12時。実はここからが結構きつかった、という話(笑)
旧旅籠通りからしばらくはまあまあ平坦な道。眺めのいいカフェもあり、道も舗装されているからお散歩気分~、が徐々に山中(笑) 気が付けば、結構な雨の中(3mmくらい)、薄暗い山の中でこれまた結構な斜度の山道を登る自分にふと気付く。これがお遍路?!いや、これ普通に登山じゃーん!!どこかでお遍路は平坦な道だと思っていた。しかも誰もいない。一人もいなーい!この道合ってるの~??とりあえずしおり確認。うん、合ってる。
1.9キロ、約45分、汗だくで大門王子到着。うっ、薄暗い・・・。まずは王子にお参り。なんと中にはお雛様。薄暗さと雨が手伝ってなんだか怖い、早々にその場を出発。もともと人形は苦手なのよ。あっ、押印はばっちり!
次は十丈王子へ。約30分で到着。ここで13時30分。ここから更に次の大阪本王子までは1時間ちょい。本日最終の近露王子へは、途中の道の駅に寄っても16時頃までに着きたい。まずは大阪本王子へ向かう。お参りを済ませたら道の駅熊野古道中辺路へ進む。だって奥ジャパンの特典で、奥ジャパンの通行手形を見せると、一定金額以下のお土産の中から好きなものを選んで貰える♪ ここで私が選んだのは「じゃばら飴」。和歌山県北山村でしか採れない「じゃばら」 みかん。みなさん、これはとにかく試してみて(笑)
道の駅を出発して中辺路のシンボルである牛馬童子像へ向かうと、やっと人影がちらほら見え始めた。もちろん外国人もいる。約10分で到着。
この後、初日最終の近露王子へ向かうわけですが、まさかここで初日一番の難関が待ち受けていようとは〜。そう、本来は美しい、熊野古道の代名詞とも言える石畳。近露に降りていく山道に、それはもう美しい石畳があったのですが、そう、今日は結構な雨だった。だから石畳も美しく光って、ぴかっぴかのつるっつる(笑) しかも道幅めいいっぱいに広がる美しい石畳。避けようがない。泣けた~。で、1回転んだ(笑) 坂を下るのに精いっぱいで、石畳の写真は撮り忘れました・・・。それでも道沿いに桜やコケモモなどの花々がパァ〜と広がってきて、人の生活圏に入ったことがなんとな~くわかった。
本日最後の近露王子にお参り。
そこからほどないお宿の「近露そら」さんに着いたのは16時ちょっと過ぎでした。出発が11時頃で16時過ぎにお宿に到着ということは、お参りと休憩時間を入れて約5時間の道のり。歩くだけで4時間とのことなのでいいペースだったのでは。
ちなみにそらさんでは7人中4人が外国人、3人が日本人。全員が食堂に集まって一緒にご飯を食べました。確かオーストラリアとイギリスからだったかな。奥様が英語が堪能で、食卓のコミュニケーションを円滑にしてくれました。私もそれに乗っかり、ちゃっかり日本語だけで済ませました。
本来は1年以上前から予約必須の宿に、1カ月前で予約が取れたのは奥ジャパンさんのおかげ。通常は予備としている部屋を空けてくれたのだとか。宿がなくて困ったら電話してみて、とおじさんが言ってくれました。
さあ、初日は無事終了。翌日の天気の話で盛り上がり、そらさんでは一番悲観的だと思うウェザーニュースをいつも確認しているそうな。結構な雨予報に、「はーっ、これまた雨か、3つの峠越えが待っていて、しかも美しい石畳だぜぇ…」とは心の声。 初日にすっ転んでいる私はすっかりおよび腰。これは無理せず、少し先の道湯川橋バス停まではもうバスに乗ろう!と決めた。明日の目玉はあくまでも熊野本宮大社だから、また次の機会にゆっくり歩こう。そうしていくつもの王子をすっ飛ばすことに決めた夜(笑)