【映画メモ】梅切らぬバカ【#18】
少し前に知ったのですが、ちょっと重そうなところがあって、見る機会がないまま過ぎていました。今回、良い機会を得たので見てみました。
解説は映画.comさんから
まず塚地さんの演技が素晴らしかったです。とても自然というか、演じている感じがしないところがすごいです。そういう細部って、こういうシビアというか、微妙な問題を扱っている映画では気になるところですが、加賀まりこは当たり前に上手いのですが、塚地さんの演技が素晴らしいのでストーリーに自然に入り込むことができました。
グループホームが出てきます。自閉症と知的障害とが上手くやっていけるのか。とか、専門的な知識はないので、そういうことは置いておいて、こういう施設が自分たちの住んでいる近くにできた時にどうするのか。自閉症や知的障害の子供が持つ親は、自分が死んだ後に子供がどうやって生きていけるのか心配します。その一つの出口として、映画に出てくるようなグループホームは絶対に必要です。でも、自分たちのそばにはあって欲しくない。遠くでやっている分には応援するけど、自分たちの生活圏内に入ってきたら断固反対します。そういう、いわゆる人手なしな行為をNIMBY(ニンビー)と呼ぶそうです。その点を、様々な角度から考えさせられます。
Wikipediaを見てみると
日本はこういう人は多いんじゃないでしょうか。良い人ぶってるけど、自分が関与しないからであって、自分に関係してくるとさっさと逃げるか、こっそり反対する人。忌避施設や迷惑施設と呼ばれるものに何があるというかという事例を見ると、同じくWikipediaから
パチンコ屋とか公営ギャンブル、風俗店などは分かりますが、学校や幼稚園、児童相談所なんかが入っているのはちょっと理解できないです。反対している人たちの子供は幼稚園にも学校にも行かないのでしょうか。児童相談所に反対しているということは、虐待とかで殺されている子供は仕方ないよね〜って程度の認識なのでしょうか。
確かに迷惑はかかると思いますが、耐えられないほどであれば、動ける方が動けば良いと思いますし、日中にうるさいとかであれば少し出かけたり、図書館に行ったり、どうとでもできると思います。自分だけ良ければ良いという人が増えてるんでしょうね。
この映画にも、同じような人たちが出てきます。加賀まりこが、グループホームに反対している乗馬クラブのオーナーに、あんたのとこの馬も逃げ出すよね。お互い様だよ。って言うシーンがあるのですが、今の日本人は忘れてしまっていると思います。
どこかのネットミームとして聞いたのですが、日本では子供に、他人に迷惑かけないようにと教育しますが、インドでは互い迷惑かけるんだから怒らないように、お互い様だよって教えるんだそうです。出来過ぎた話なので、ホントかどうかは分かりませんが、そういうことですよね。お互い様。
結局、人は一人では生きていけません。一人で生きていると思っている人でも、水も飲めば電気も使う、何処かで誰かが作ってくれたご飯やお菓子も食べますし、誰かが建ててくれた家にも住んでいます。誰にも迷惑かけないとか、迷惑かけられたくない、人と関わりたくない、ということよりも、そういう直接目の前にいるのではない人のことが見えなくなっている、想像できなくなってるのが、現代の病理なのではないでしょうか。
映画の終わり方は、さらっとしています。別に問題が解決することもなく、大きな変化があるわけでもなく、ただ淡々と日常生活が続いていきます。多少の凸凹はあっても、日々の生活ってそんなにスペクタクルでもなければ、事件も起きないし、たまにビックリするようなことは起きますが、そのうち日常に戻ります。そんな終わり方がとても好ましく感じられました。
おわり
頂いたサポートは、とてもモチベーションになっています。新しい記事を作る資料費として、感謝しながら有意義に使わせていただきます。 気功・太極拳を中心とした健康と、読んだ本について書いています。どちらも楽しんでいただけると嬉しいです。 サポートしてくれたあなたに幸せが訪れますように!