天気予報と異常気象の話/記事紹介のお礼
※写真は今年撮ったアジサイです。
都会に住む人にとって天気予報は、①傘を持って行くかどうか、②旅行、ゴルフ、野外行事等の日は晴れるか雨か、③洗濯をすべきかどうか、④着ていく服装をどうするか(寒暖)等を知るための情報と思います。
しかし、天気予報の本来の目的はそういうことではありません。気象予報には「気象業務法」という法律があり、その第一章第一条に目的が書かれています(下記)。
気象業務法第一章第一条 目的
災害の予防、交通の安全の確保、産業の興隆等公共の福祉の増進に寄与するとともに、気象業務に関する国際的協力を行うことを目的とする。
災害の予防とは大雨による洪水・土砂崩れ、暴風による建造物の損壊等を予防すること。交通安全の確保とは、暴風や大雨の情報を事前に予報し、船舶、航空機、電車、車等の安全を確保すること。
産業の興隆とは主に漁業と農業のことで、両方とも天候と密接に関連した産業です。漁業では風や波、霧等、安全な操業に天気予報が不可欠です。農業では、雨、気温の基本事項に加え早霜、遅霜等の予報も重要です。昔から伝わってきた観天望気は、漁業と農業のためですね。
最近は、治水対策に加え気象観測・予報技術の進歩等により気象災害の犠牲者は少なくなってきました。一昔前、昭和34年(1959年)の伊勢湾台風は、死者・行方不明者が5,000名という大災害でした。これを契機に富士山の頂上に気象レーダーが設置されることになりました。防災の原点は正しい現状把握だからです。今は宇宙から衛星で観測しています。
しかし、地球温暖化の影響で異常気象の頻度や程度(風の強さ、雨の多さ、台風の強さ)が増すのではないか、ということが心配されています。気象庁の異常気象の定義では、「ある地域、ある時期において30年に1回以下で発生する現象」とされています。従って、これまでの異常気象も頻度が増すと異常ではなくなってしまいます。
ということで、めぐまつさんが下記の記事「異常気象が通常気象になっている気がする」を投稿しました。その記事の中で私の記事「たぶん分かり易い!気候変動に関する政府間パネルIPCC第五次評価報告書超要約版(10)将来予測(気候の極端現象)」を紹介してくれました。
めぐまつさんは、「健康」、「経済・金融」、「より良い人生」等を考えつつ自己研鑽に励む人(CFP資格試験受験中)で、私の「たぶん分かり易いシリーズ」を(1)〜(12)まで完読された希少かつ奇特な方です。めぐまつさん、ありがとうございました。
皆さんもこれを機会に自分の家、家族の防災について考えてみてはいかがでしょうか。気象庁のHPで雨の情報(どこでどれくらい雨が降っていて、今後どうなるか)や警報等を見られるようにしておくと安心です。
(補足)地球温暖化は過度に心配せずに自分のできることをしましょう。
気候変動については、最新のIPCC評価報告書が最も信用できる情報とされています。しかし、それでも不確実な部分が残っていたり、IPCCの報告書に対して疑いをもつ学者や専門家もいます。
強い台風が接近、上陸すると「地球温暖化の影響で・・・」とコメントするキャスターも多くいます。しかし、本州、四国、九州に上陸した台風のうち上陸時の中心気圧が低い台風=強力な台風は、1位が第2室戸台風、2位が伊勢湾台風で両方とも昭和30年代というのが事実です。
気候変動の要因には二酸化炭素以外に自然起因の部分もありますし、温暖化の程度についても精度に不確実性があると思います。あまり過度に心配する必要はないかもしれません。それでも、人間の都合で大気の組成(二酸化炭素濃度)を勝手に変えることは良くないことと思います。気象や気候の変化を冷静に注視しつつ、リスクを低減するために一人一人ができる範囲でできること(省エネ、省資源、防災等)をするのが良いと思います。