本の紹介 「地球温暖化 そのメカニズムと不確実性」 日本気象学会編
この本は、ある程度のことは知っているが更に詳しく知りたい、勉強したいと思っている人向けの参考書です。
本の前書きに「地球温暖化現象の最新の知見と不確実性、解決すべき課題をわかりやすく社会に説明するために本書の出版を企画した。」とありますが、一般(専門外)の人には少し難しいと思います。
日本気象学会(地球環境問題委員会)の編集に加え、各章の執筆者も各分野の第一人者で、必要な事項がしっかり盛り込まれていることもあり、本書は地球温暖化問題を知るためのバイブル的な図書と感じます。
初版は2014年12月であり、IPCC第五次評価報告書の内容を踏まえた内容となっています。
表題にも「メカニズムと不確実性」とあるように、不確かな事項が明記されており、客観的で偏りのない事実と見通しと不確実性が記されています。また、キーワード、専門用語等の索引や各章毎の参考文献の記載もあり、参考書として活用しやすくなっています。
もし、一般の方が勉強用の本をお探しの場合は本書ではなく、江守正多著の「地球温暖化の予測は正しいか?」をお勧めします。
付)後書きに「本書の構成は、当初に計画したやさしい啓蒙的な内容から、大学院レベルの内容も含めた教科書的なものに様相を変えていきました。」と記されていました。本書は、地球温暖化問題を勉強する人向けの教科書または参考書です。
【目次】
1.はじめに:問題の背景と本書の目的
2.地球温暖化に関する観測事実
3.温室効果と放射強制力
4.産業革命以降の気候変動の検出と要因分析
5.予測とその不確実性
6.気温・降水・大気大循環の変化
7.日本周辺の気候の変化
8.温暖化で起こる地球表層の変化
9.海面水位上昇
10.長い時間スケールの気候変化