笑えて泣ける、女の子たちの物語
この記事は二章終了時点で書いた物です。
最近、エルデンリングを始めたのと同時期、ヘブンバーンズレッドを始めた。
『AIR』『リトルバスターズ』『CLANNAD』などを発売したビジュアルアーツのゲームブランドkeyとスマートホン向けゲームを開発しているライトフライヤースタジオからリリースされたアプリゲームであり、ゲームシナリオを麻枝准氏が約15年ぶりに新規シナリオを担当したゲームと話題を呼んだ。
キャッチコピーは「最上の、切なさを。」
隕石と共に飛来した謎の生命体「キャンサー」に襲撃され、人類がミサイルや銃器などの今までに開発した兵器による攻撃が一切効かず、抵抗することも碌に出来ずに敗退を繰り返し、土地の大半を放棄せざるを得ず人類は絶滅の危機に瀕していた。
そんな時に「セラフ」と呼ばれるキャンサーに攻撃が通じる決戦兵器が開発された。
セラフは何かしら特化した才能を持った少女たちにしか扱うことができない。そんな少女たちを集め、人類最後の希望とした「セラフ部隊」か結成された。
そんな才能とクセの強い女の子たちが最後の希望を託され世界を救うために戦いに身を投じる物語。
あらすじとしては結構王道で、登場するのが女性キャラのみという点も、男性に焦点を当てたゲームなのかな?と思う方もいるかもしれないがそんなことはない。
AIRやCLANNAD、リトルバスターズを知ってる方ならもう分かると思うが、濃いキャラクター性と重く泣ける話しがメインの物語、女性しかいないセラフ部隊という設定もスマホゲームならよくあるのだがこれも嫌な予感をさせる。一つのストーリーを終えた後の感想は「あぁ……」というやるせない感じになる。
しかしだからと言って、終始重苦しい空気の中物語が進むのかと言われればそんなことはない。
ここもいつもの麻枝氏のノリで、濃いキャラクター同士が生み出す掛け合いは面白く、笑ってしまうこと請け合いまである。
主人公の言動をプレイヤーが選択肢から選ぶことができるのだが、どの選択肢にも大分ぶっ飛んだ選択肢がほとんど存在する。こちらの選択肢一つで主人公を狂った奴にもまともな人にもできる。そして私たちプレイヤーは大体狂った選択肢を取らせる。
むしろギャグとシリアスの落差が酷く、「それはただのギャグだったじゃん……」というギャグの中に含まれた何気ない伏線などもあり落差があればあるほどシリアスの時の反動が大きくなる。
濃いキャラクターというのはそれだけ魅力あるキャラクターということでもあり、登場するセラフ部隊は今現在で全8部隊、1部隊に6名在籍しており、教官など名前のある登場人物は纏めて51名だ。全員違う個性を持った女の子で誰かしらお気に入りのキャラクターが出てくるだろう。
メインで話が進むのは、やはりというか当然主人公である茅森 月歌(かやもり るか)で、全キャラクターと絡みがあるのも彼女のみだ。
基本的に月歌の言動はこちらの選択肢次第なところもあるのだが、元々の性格からして自由奔放なので、基本的には彼女に振り回される人達という構図になり、その時のやり取りも面白い。
そしてこの茅森月歌、元ロックバンドのギター&
ボーカルを務めており作詞作曲もこなし、伝説的なロックバンドとして有名だった。ひたすらに音楽が好きで、セラフ部隊に入隊してから、彼女の所属する部隊5名と再びバンドを結成してしまう。
そしてこのバンド、ただの設定などではなく劇中でしっかり仲間と共に作詞作曲を行い、ライブも開催している。
そして劇中歌だけでなく、戦闘時のbgmなどにも使用されている。どれもクオリティが高く、音楽部分も魅力の一つと言って差し支えない。
ゲーム性としては中々に難易度が高く、キャラクター毎に「スタイル」と呼ばれるキャラクター毎のレベルは共通でスキルやパラメーター強化は別途おこなえるレア度別のものが存在し、そのスタイルをガチャで引き当てる。
レア度はA、S、SSの3種類存在し、例えばAランクのスタイルを引き当て、そのキャラクターのレベルを上げて育てておけば、後にSSランクを引き当てたとき、スタイルだけ取り替えることでそのSSスタイルのキャラを即戦力として投入できる。
当然、レア度が高い方が強いのだが、だからと言って低い方を蔑ろにしていいというわけではない。
パラメータ強化にはそのスタイルだけでなくキャラクター全体に及ぶものも存在する。それだけでなくスタイル毎に使える技(スキル)も異なり、一人のキャラクターに手に入れたスキルを三つまで付けることができる。使い勝手の良いスキル、取り回しは悪いけど大技なスキルなど様々あり、レア度の高いスキルは高コストで強力なスキル、低いレア度のスキルはコストは少ないけど効果は控えめな傾向にあり、出来るだけ多くのスタイルを手に入れておいて損はない。
高ランクのスタイルがいればもちろん攻略が楽になるが、低レア度のスタイルにもしっかり価値があり課金して手に入れるだけじゃない良いシステムだと感じた。
課金して高ランクのスタイルを手に入れてゴリ押す、というアプリゲーム特有の戦法が効かず、しっかり育成して戦略を考えて戦闘をこなさなければならない為、最初に言ったように難易度は高い、高いけど話しの続きが気になってしまい頑張って勝とうとする。
そして個人的に一番驚きだったのが、完全フルボイスの仕様だ。
恋愛シミュレーションゲーム、もといノベルゲームのノウハウを全力で活かしたのか、選択肢の取り方によってルートが複数あるらしい。これは友人と話していて微妙に話が噛み合わなかったときがあり、その時に知ったのだが。そしてその微妙に変わるルート全てに声が当てられてるの勿論、マップを移動する場面があり、歩いてると背景に様々なキャラクターが日常を過ごしているのだが、そのキャラクターも一部喋る。
そしてこんな行動誰が取るんだよ、と言いたくなるような細かな行動にも全て声が当てられてるのは驚いたし、キャラクター毎にストーリーが存在し、そのストーリーを読んで親密度の様なものが高いか否かで月歌のキャラクターに対する接し方、呼び方が変わることもあった。
昨今、コロナの影響もありコンシューマーゲームでさえフルボイスが実現できてない中、全てに声が当てられてるというは素晴らしいの一言に尽きない。
音楽、ゲーム性、シナリオ。どれを取っても高水準で、正直アプリじゃなくて普通のコンシューマーゲームでもよかったと思える出来栄えなので是非やって欲しい。
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