どうすれば「新入社員研修」は楽しくなるのか⁉︎
この春、サンマーク出版には5人の新入社員の方々が入社してくれます。女性が4人、男性が1人。毎年のように中途採用はしていましたが、新卒採用は久しぶりなので、その「あり方」「やり方」をゼロから編集してみようと思い、あれやこれやと考えはじめました。
新人研修と言うと、マナーの勉強をさせられたり、営業の怖いイズムを叩きこまれたり、意味不明なワークをやらされたり、本当に嫌だったなあ・・・という記憶があります(僕が受けたのは、はるか昔ですけれど)。
何が嫌だったかというと「やる気のスイッチ」を無理やり入れさせようとしてきたこと。社会人の自覚とか、社会人の責任とか、社会人の覚悟とか、そういうことを「今日から変わるんだぞ」と押し付けられているようで、言われれば言われるほど、こんな大人になるものかと思ったものです。天邪鬼なんですけどね。
小学生向けのカメラ教室の話
以前、栃木県のサトーカメラの社長さんにこんな話を聞いたことがあります。
そこでは時折、地元の子供たちむけに「カメラ教室」を開くのだそうです。カメラに子供の頃から親しんでもらう試みなのでしょうね。先生役を務めるカメラマンさんは、まず、床の上にカメラや機材を転がしておくんですって。決して、みんなを椅子に座らせて黒板に「カメラとは・・・」なんてやらない。
子供たちは「わあ、本物だー」とか「うう、重い!」とか言いながら触ったり、ファインダーをのぞき込んだりして、興味を持ったところではじめて、カメラの説明や撮り方のお話をされるのだそうです。
「子供たちが興味を持ってくれれば、その後の先生の話も聞いてくれるんですよ」
なるほどーと思いました。「やる気→行動」の順じゃなくて、「興味→行動→やる気」の順で人は動くんだな。これは子供に限らず、大人もまったく一緒。ぼく自身もそうで、つまらなそうな仕事に「やる気のスイッチなんて入りようがない・・・」とずっと思ってきました。
研修とか、キックオフミーティングとか、そういう「コトのはじまり」のときは、やる気や覚悟や責任を促すのではなく、「楽しそう!」と思わせられるかどうかがリーダーの仕事なのだと思います。ましてやぼくの会社のように小さな規模であれば、なおさらそれをやらないといけない。
ということで、出版社の研修ってどうすると楽しいかな?ということを考えはじめました。
はじめの一滴
学生さんが出版社に入ってくる楽しさって、今までの「受け取る側」から「届ける側」に回ることかな、と思いました。「本を買って読む」より「本を作って届ける」ことは何十倍も楽しいし、「好きなゲームをする」より「自分が作ったゲームをみんなが好きになる」ことのほうが100倍楽しい(はず)。
そうやって自分が垂らした「はじめの一滴」で社会を動かしたり、変えたりするって楽しいことなんだ、っていうことを伝えたいと思いました。
だから、こんな研修プログラムを考えたんです。
◎「ゼロからイチ」を生む楽しさについて
→うちの天才編集者が講師
◎『コーヒーが冷めないうちに』が世界に届くまで
→うちの敏腕編集者が講師
◎ワーケーション①「書を捨てて、書店に行こう!」
→うちの敏腕営業マンと書店同行
◎ワーケーション②「街の広告を見に行こう!」
→うちの敏腕宣伝マンと街で広告を探してみる
◎「デザイン」ができるまでを見てみよう!
→デザイナーが店頭ポップをつくるところを全公開
◎涙涙の奮闘記!テレビで本が紹介されるまで
→『世界一受けたい授業』を例に
◎この本、どうやったらTikTokでバズるか会議
◎こんなメールは嫌だ会議
◎絶対売れないタイトルを考えてみよう会議
だんだん大喜利みたいになってきますが、まあ、どれもまだジャストアイデアです。他にも、社外から装丁家さんや著者さん、書店さんをお呼びして、つくる楽しさ、届ける楽しさを伝えられたらいいな。
そして、そこで働いている先輩たちが本当にいきいきしているかどうかを見せることが、最大の研修なのだと思います。
この4月、ひと月かけて新入社員研修を実施します。どんなプログラムになったかは、またいずれ。そう言えば、名刺の出し方とか、ご挨拶の仕方とか、電話の出方とか・・・ああいうマナー系ってどう教えれば楽しくなるんですかねえ・・・。