#10 第四章「ワタシのワガシで、世界をワカシます!」
黒い診断士:(前回会ってから、しばらく経ったある日)こんにちは~その後、どうしてますか~?
和菓子屋:あ、こんにちは!はい!海外のお客さんに向けての商品開発を、従業員のみんなと考えています!
黒い診断士:へぇ、皆さんで? 素晴らしいですねぇ。今回は、どんなもの考えてるんですか?
和菓子屋:実はですねぇ。和菓子職人の一人が昔から、趣味で、木を削って、それに色を塗って、和菓子の置物を作ってお店に飾ってたんですよ~よくできたものなんかは、みんなで味を考えて商品にしたりしたこともあったんですよ。
黒い診断士:へぇ。お仕事と趣味、どちらも和菓子ですか。本当に和菓子が好きな職人さんなんですねぇ。
和菓子屋:そうなんです! で、最近訪れる外国人のお客様が、木製和菓子を見て写真を撮って行かれるんですよ。時には、売ってくれないか、なんて方もいるんですよぉ。
黒い診断士:確かに、これはよくできていますよね。日本の匠を感じさせますねぇ。
和菓子屋:ありがとうございます! そんな時、テレビのドキュメントで。海外の方が日本の、そうした伝統的な工芸作品をeBayなんかで買うって言う特集をしていたのを見て、ピンときちゃったんです!
黒い診断士:おっ? なんか、とても面白そうなことを思いついたようですね?
和菓子屋:はい! 聞きたいですか? 絶対に、他で言っちゃだめですよぉ
黒い診断士:…もちろんですよ。で、どんなアイディアなんですか?
和菓子屋:落雁って、ご存知ですか?
黒い診断士:ラクガン・・・?
和菓子屋:落雁、です! 型に押して乾燥させた干菓子のことを言うんですけど、これって、外国の人からすると、とてもキレイで食べるのが勿体ないらしいんです。ずっと、とっておきたいなんて言う人もいるんです。だったら、うちの従業員の作っている木製和菓子を、もう少し多く作って、これをECでも販売しようかな、って思ってるんですよ~
黒い診断士:ウググ!
和菓子屋:どうしましたか? のどつかえちゃいましたか?
黒い診断士:いや、感動してるんです! 2代目、ナイスアイディアですよ!
和菓子屋:そう言ってもらえると嬉しいです。 そうなんですよぉ、アイディアはいい感じなんですが…
黒い診断士:どうしました?
和菓子屋:この木製和菓子を、今より多く作る方法がなかなか見つからなくて…
黒い診断士:確かに…。 職人さんに、いつもそればかり作ってもらう訳にいかないですもんねぇ。手作りだと作れる数にも限界あるでしょうし…。
和菓子屋:そうなんです、なので、いろいろ調べてみたんですよ。そしたら、3Dプリンターを使えば、もう少し効率よく作れることがわかったんです。ただ、そのプリンターは、この用途で使うとすると、少し手を入れる必要があるそうで、高額になってしまうんですよ…。
黒い診断士:なるほど、それだったら方法はありそうですよ
和菓子屋:あ~ ニヤリが出ましたね!
黒い診断士:ニヤリ、出ましたねぇ。2代目に、以前、補助金3兄弟の話をしたのを覚えていますか?
和菓子屋:はい! 持続化補助金と、えぇ~っと、IT導入補助金です。…あれ? 3兄弟なのに、2つですね。ひょっとして!?
黒い診断士:その通りです!補助金3兄弟のお兄ちゃん格の補助金が、あるんです。ものづくり補助金です。正確には、とっても長い名前なんですけど、もの補助、で良いです。
和菓子屋:なんか、期待できそうですねぇ ウフフ
黒い診断士:経営力向上のための革新的サービス開発や、試作品開発、そして、生産性プロセスの改善を行う事業者への支援をしてくれるんですよ~
和菓子屋:まさに、ピッタリじゃないですか!? すごいです~!
黒い診断士:補助額は最大で1000万円ですが、小規模型だと500万円ですね。なので、2代目の所だと、500万円までの補助になりそうですね~
和菓子屋:十分です! 補助率はどのくらいなんですか?
黒い診断士:小規模型であれば、2/3ですね。あとは、経営革新計画の認定を受けていれば、採択時の加点要素になりますね。
和菓子屋:じゃあ、経営革新計画立てます!
黒い診断士:…立てる、って…、立て方知ってますか?
和菓子屋:いいえ!
黒い診断士:…経営革新計画は、新事業活動に取り組む計画を出すんですが、その計画で相当程度の経営指標の伸びを達成できるという計画にしないといけないんです。
和菓子屋:ふむふむ。
黒い診断士:そして、これが通れば、もの補助申請時に、加点要素になったり、融資などでの優遇があったりするわけです。下のページに、簡単なポイントはまとめてありますよ。
和菓子屋:わーー! すごい! やります、やります!
黒い診断士:…そうですね、やりましょう。実は、僕、最近気づいたんですけど、経営継続力計画というのがあるんですね ニヤリ
和菓子屋:来ましたね、ニヤリウフフ
黒い診断士:比較でもわかるように、来年どうなるかわからないのですが、もし、このままであれば、ものづくり補助金採択と言う点ではこっちが断然お得ですよ~ 申請の難易度が違います!
和菓子屋:ですね! 最近台風とかも多いので、保険に入ろうかなんて話もしていたので、そういう計画に沿って書くのも大事ですね!
黒い診断士:そうなんです。大事なのは、ちゃんと意味を知ってその上で、何をやるかですね。では、2代目の所は、来年に向けて、まず継続力計画を立てて、その上で来年、もの補助の公示が出たところで、ものづくり補助金にチャレンジしましょう!
和菓子屋:はい!
黒い診断士:そうなると、次は、マーケティング戦略ですね。
和菓子屋:ま、ま、マーケティング?? なんか難しそうですね…
黒い診断士:売るモノを作ったら、次は、どう売るかですよね?それを考えましょ、って言ってるだけですよ。例えば、海外での販路開拓や、Webサイトの外国語化なども必要ですよね?そういったことへの支援もあるんですよ。
和菓子屋:えーー! そうなんですか!
黒い診断士:来年あるかはまだ、わかりませんが、注意深くチェックしておきますので、来年もあるようだったら検討しましょうか~
和菓子屋:はい! マーケティングまでやっちゃうんですねぇ、私 ウフフ
黒い診断士:2代目のように、やる気に満ちた方とのお話は楽しいですよ。
和菓子屋:そう言ってもらえると嬉しいですね。あ、そういえば、従業員のケア、ということを仰ってましたけど、それはどういうことなんですか?
黒い診断士:あ、そうだ、話が楽しくて、すっかり忘れてました。こちらは、僕は直接お手伝いができることではないので、詳しいことは社労士さんにお願いすると良いんですが、例えば、社員のみなさんの健康診断をして、来年もみなさんがお元気で働いているようであれば、それで、38万円の助成金がもらえますよ。
和菓子屋:え??
黒い診断士:補助金と違って、これは助成金と言うんですが、労働保険をきちんと払っているところであれば、一定の手続きをすれば、必ずもらえるんです。税金と同じように、払うだけではもったいないので、取り戻しちゃいましょう!
和菓子屋:そうですね! 一度、社労士さんに相談してみたいと思います!
黒い診断士:事業主の権利ですから、もらえるものはもらっちゃいましょう~2代目の会社が、ハッピーになってくれればニヤリです。
(第4章 終わり)
ここでおさらい
アイディア豊富で新しいビジネスにも前向きな和菓子屋2代目は、いよいよ海外を視野に入れた商品開発と、マーケティングを始めていきました。
決して、外の力を頼るのではなく、自分の会社に今ある人財や資源を活用して新たなビジネスを考えていくというのは、とても素晴らしいことですね。
商品開発にあたっては、補助金3兄弟の長男格でもある、ものづくり補助金を活用していきます。更に、その優先採択を受けるためにも、経営革新計画や事業継続力計画を立てることにしました。
特に、事業継続力計画は、新しい制度で、今、提出するのが、絶好のタイミングと思われます。
そして、商品開発の次にはマーケティング調査や、海外向けにウェブサイトを改良していくことも忘れずにやっていきます。
こうした様々なお仕事を一緒にやってもらう従業員の方へのフォローやケアも忘れずにやっていくのは、事業の健康的な持続のためには大事ですね。
2代目の会社がこの先、世界に羽ばたくお手伝いを、これからもしていきたいと気持ちを新たにしたところで、和菓子屋2代目のお話は一旦ここまでとなります~
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