ニンジャスレイヤーTRPG第二版用シナリオ【抽出】
この記事は「ニンジャスレイヤーTRPG二版」用のシナリオです。
このゲームのシナリオには、「隠された背景」や「マップの構造」など、プレイヤーは読んでいない方が楽しめる要素が含まれているため、基本的には進行役のニンジャマスターだけが読みます。
このシナリオはモータルのアウトロー用に作成されており、普段よりもノワールでピカレスクな設定をお楽しみいただけます。
【ダンゴウ】
◆クライアントからの指示
ダンゴウフェイズで、PCたちはクライアントから呼び出され依頼を受ける。
以下の区切られた文章は地の文だ。セッションの臨場感を向上させる手助けとなれば幸いだ。
◇調査フェイズ
PCは【ニューロン】による『調査判定』をひとりにつき1回まで行うことが出来る。難易度は『NORMAL(4)』である。
判定成功時に与えられる情報:
アタラシイ・ソリューションは素晴らしいホームページの求人情報と、輝かしい未来を宣伝する動画で若者を集め、酷使し、使い捨てる典型的な暗黒企業だ。特に多数のエスイーを集める手腕に長けており、メガコーポのプログラム制作下請けなどを主に行っているらしい。
カイシャは不夜城だが、ほとんどの社員は『タコツボ』と呼ばれる下位のタイピング技術者が集められた部屋で過酷労働に従事しており、外に出てこない。一握りの想像的な上級プログラマーには個室が与えられ、自由が確保されている。だが実際のところ行動は監視されており、軟禁状態にある。
現在、会社にはナコムラを含めた上級プログラマーが3人、下位タイピング技術者が30人ほど詰めている。ナコムラはオフィス奥の個人ブースに降り、位置まで特定されている。
社屋はタナバタ・ストリートにあるオフィスビルの5階部分を借りあげているようだ。エントランスに常駐の警備員はおらず、侵入は容易だ。
警備要員として10人程度のクローンヤクザを配備している。
PCはビルのMAP、監視カメラの位置、大まかな敵の配置、およびナコムラがいる個人ブースのすべて知ることが出来る。また、巡回警備員の存在についても掴むことが可能だ。
【6】成功時の追加情報と報酬
アタラシイ・ソリューションはキリングサメハダ・ヤクザクランと提携関係にあり、最近警備主任を雇い入れた。
主任の『ブルザワ』はヤクザあがりの戦闘狂であり、重サイバネだ。
また、彼が来てから警備が強化されており、上級社員には通報用のブザーが配布されるようになった。
これが押されるとフロア中からクローンヤクザが押し寄せ、また彼が運営する警備企業からの増援が来ることになっている。
少なくともヘリによる迅速な運搬で1d6ターン以内に6人のクローンヤクザが新たに出現し、またヘリ自体も戦闘支援に入るだろう。
◆シナリオ本編
開始時、PCたちは全員「①エントランス」の黄色い初期配置マスに配置される。各フロアを踏破し、ナコムラのいる個室スペースまで辿り着かなければならない。NMは以下のMAPを公開する:
【抽出】MAP - Google スプレッドシート
こちらはGoogleスプレッドシートで作成したMAPだ。敵の配置や監視カメラについてもすべて記載された『ネタバレ』仕様なので、NMは必要に応じて情報を制限すること。このシートをコピーするか、ドライヴにダウンロードすることで自由に使用することが出来る。
なお、戦闘が始まっていない限りPCは1ターンのうちに「脚力」を無視して自由に移動を行うことが出来る。ただし、この際扉を越えることは出来ず、越えた場合はそのターンでの行動が終了したものとみなされる。もちろん、誰かが扉を開いて部屋を『繋げて』この制限を無視することも出来ない。
この移動によって、戦闘が始まらない限りは監視カメラ(後述)を無視することも可能だ。
重点:監視カメラ
色付きの風と化し監視を逃れられるニンジャと違い、モータルにとって監視カメラは大きな脅威となる。幸い、カメラの多くは解像度が低く、画角も狭いため、回避する手段は豊富にある。
監視カメラは『体力:1』『イニシアチブ:1』を持つ。監視カメラはPCの頭上にあるため、同じマスで停止したり、通り抜けて行くことが可能だ。監視カメラの視界である5×5マス以内(MAP上で青く色付けされた範囲)に入ったキャラクター全員はターン終了前に『回避判定:難易度HARD(5)』を行なわなければならない。失敗した場合、ダメージは受けないが直ちに【警報】が発生する。監視カメラを破壊することは可能だが、その場合も直ちに【警報】が発生する。
手番『攻撃フェイズ』に監視カメラに隣接するか同じマスにいる時、【ハッキング】か【ワザマエ】(◉トラップ処理技術の対象となる)判定難易度HARDを行うことが出来る。成功すれば、対象となった監視カメラを破壊し、なおかつ【警報】も発生しない。ただし、合計で3つの監査カメラがこの方法で破壊された場合、警備主任は異常を探知し、【警報】が発生する。
重点:警報
監視カメラに発見される、監視カメラを破壊する、またはプログラマーに警報を鳴らされる、などした場合、【警報】が発生し警備が押し寄せてくる。
これには二段階あり、まず初期から配置されているクローンヤクザと警備主任が【警報】の発生したフロアに集まってくる。戦闘が発生していない限り、警備側は『脚力』を無視し1フロアにつき1ターンで移動することが出来る。戦闘が発生しているフロアに到達したらカチコミ配置される。
次に、【警報】が発生した次のターンの初めにNMは1d6を振り、出目に等しいターンが経過した後『①エントランス』の初期配置マスにチャカガン装備のY-12クローンヤクザが6体配置される。更に、戦闘ヘリが配置される。ヘリは外周部に配置されるため、窓越しにしか射撃を行えない。また、この時エントランスの脱出マスは封鎖によって失われる。新たな脱出口を見つけなければならないだろう。
◆戦闘ヘリ(種別:モータル)
カラテ 6 体力 6/-1
ニューロン 3 精神力 -
ワザマエ 6 脚力 6
ジツ – 万札 6
攻撃/射撃/機先/電脳 6/6/3/6
◇装備や特記事項
ガトリングガン ダメージ1、連射6、バースト4×4
●ダメージ軽減1
●常時飛行
このエネミーは手番中に飛行移動か連続側転移動を
行ったキャラクター以外、近接攻撃の対象に出来ない
クローンヤクザは【警報】を鳴らさない。彼らはあまり複雑な命令を理解出来ないのだ。
重点:巡回警備員
施設内には2人の巡回警備員がおり、定点監視を行っているクローンヤクザと違い能動的な警備を行っている。彼らは堕落しており、あまり真面目に仕事を行っていないが、たまに来る不法侵入者やビルの周りに現れる浮浪者たちを痛めつけることには情熱を注いでいる。
◆巡回警備員 (種別:モータル)
カラテ 2 体力 2
ニューロン 2 精神力 2
ワザマエ 3 脚力 2
ジツ – 万札 1
攻撃/射撃/機先/電脳 2/3/2/2
◇装備や特記事項
ショットガン: 銃器、連射1、ダメージ2
警報装置
自分の手番で『【ワザマエ】NORMAL』で判定し、成功すると【警報】が鳴る
巡回警備員は⑧警備室の前から巡回をスタートし、③通路→①エントランス→②応接室→③通路→④休憩室→⑤個人ブースのルートを移動し、これを繰り返す。戦闘が行われていない場合、巡回警備員は「脚力:6」を持っているものとして扱われて移動する(斜め移動不可)。
PCが視線に入った場合発見され、戦闘が開始される。『柱/カウンター』のマスに隣接しているキャラクターは隠れているものと扱われ、発見されない。戦闘が開始されると、巡回警備員は一人がショットガンで侵入者を攻撃し、もう一人が警報を鳴らそうとする。
クローンヤクザや研究員の死体を発見した場合にも彼らは警報を鳴らそうとする。PCは死体を『運搬』し、柱に隣接する場所に置くことでこれを隠すことが出来る。
なお、彼らもバカではないので、二度訪れた場所で所定の位置にクローンヤクザがいなければそれを探そうとする。その場合、彼らは室内をより詳しく捜索し、『柱/カウンター』マスに死体が隠されていないかを調べ出す。死体を隠したマスに彼らが到達したら、警報を鳴らす。
巡回警備員が倒された場合、NMはd6を振る。その目と同じターンが経過した後、不審に思った警備主任ブルザワが巡回を始める。巡回ルートは巡回警備員と同じだが、彼は最初の行動から不審に気付き、探索を始める。ブルザワの脚力は戦闘時以外8として扱われる。
◇①エントランス
エントランスにはPCが入ってきた入り口があり、何事もなければ脱出口として使用出来る。
◇②応接室
応接室の天井にはメンテナンスハッチがあり、緊急時の脱出に使う事が出来る。ただし、ハッチは狭く1ターンに1人までしか脱出出来ない。
この部屋を詳しく調べたい場合、1ターンをかけて
【ニューロン】U-HARD(6)の判定を行う。成功した場合、『トロ粉末』を獲得する。複数成功者がいた場合、手に入るのは3つまでである。
◇③通路
エントランス側から入った場合、クローンヤクザから発見されすぐ戦闘が始まる。応接室側から入った場合、近づかなければクローンヤクザをやり過ごせる。
なお、クローンヤクザは公式モブエネミーの「クローンヤクザY-12型」、チャカ・ガン装備を使用する。
7:モブエネミーリスト:ニンジャスレイヤーTRPG2版ルールブック(2023/01/15更新)|ニンジャスレイヤー公式/ダイハードテイルズ (diehardtales.com)
部屋の真ん中にあるテーブルは遮蔽となり、『体力:6』を持つ。テーブル越しに行われた射撃攻撃のダメージを(敵味方関係なく)肩代わりし、体力が0になると粉々に砕けて、MAPから取り除かれる。
◇④休憩室
この部屋は優良プログラマー用の休憩室だ。3体のクローンヤクザがおり、室内に入るとすぐ戦闘になる。
また、この部屋には運悪く休憩に入ったプログラマーがいるかもしれない。NMはd6を振り、そこから3を引き、人数を決定する。プログラマーは自分のブースに戻るように移動しながら【警報】を鳴らす。
◆不運なプログラマー (種別:モータル) カルマ:善
カラテ 1 体力 1
ニューロン 3 精神力 1
ワザマエ 1 脚力 2
ジツ – 万札 2
攻撃/射撃/機先/電脳 1/1/3/3
◇装備や特記事項
警報装置
自分の手番で『【ワザマエ】NORMAL』で判定し、成功すると【警報】が鳴る
ドリンクベンダーの商品はほとんど売り切れているが、『濃縮バリキドリンク』を、2つだけ獲得出来る。
◇⑤個人ブース
ナコムラの居場所を掴んでいない場合、総当たり特定しなければならない。ブースには鍵がかかっており、解除するためには【ワザマエ】難易度HARDの判定を行わなければならない(◉トラップ処理技術の対象になる)。
成功した場合、更にd6+1を振る。結果が5以上ならナコムラを発見出来る。それ以下なら別のプログラマーが作業を行なっている。彼らは作業に没頭しており、侵入者には気付かない。ブースを開くたび、ロールに+1の修正が行われる。休憩室でプログラマーを排除していた場合、ロールには同様に人数分の修正が行われる。
ナコムラを発見し、話しかけたら、以下の反応が返ってくる:
この時、PCは彼女と『交渉判定』を行って落ち着かせるか、力づくで制圧するかを選択出来る。ただし、『交渉判定』を行うことが出来るのは1人までである。
『交渉判定』を行う場合、次の通りになる:
交渉のやり方はなんでも良い。移籍した後の輝かしい未来を騙ったり、「このままではあなたの身が危ない!」と騙したり、単純にデカい銃とカタナで脅してもいい。いずれにせよ、成功した場合、ナコムラは以降あなたたちの指示に従う。ただし、普通のサラリマンであるナコムラは銃を撃った経験もないため、あらゆる攻撃を行うことが出来ない。
クローンヤクザはナコムラを攻撃のターゲットにしない。しかし、警備主任は逃亡を抑制できないと判断した場合彼女を攻撃しうる。
失敗した、または制圧することを選択した場合、通常の戦闘でナコムラを打ち負かす必要がある。NMは「ミネウチ」ルールを提示し、殺さずに確保する手段を提示すること。
倒されたナコムラはオブジェクトとしてMAPに残る。自発的な行動を一切取れないため、誰かが『運搬』しなくてはならない。
◆ナコムラ・ワタナベ (種別:モータル) カルマ:善
カラテ 1 体力 1
ニューロン 4 精神力 4
ワザマエ 2 脚力 2
ジツ – 万札 -
攻撃/射撃/機先/電脳 1/2/5/6
◇装備や特記事項
▶生体LAN端子Lv1
警報装置
自分の手番で『【ワザマエ】NORMAL』で判定し、成功すると【警報】が鳴る
更なる金を得たい場合、UNIXをハッキングし、アタラシイ・ソリューションの重要なデータを盗み出してもよい。【ハッキング判定】難易度U-HARD(6)で、ナコムラを交渉で仲間に引き入れているならダイスが2個増加する。
この判定に失敗した場合、直ちに【警報】が鳴る。
◇⑥警備室
警備室はエントランスを除いて外に出る唯一の出口である非常階段の前にあり、常に監視下にある。ここには警備主任のブルザワと3人のクローンヤクザが常駐しており、警報が鳴れば剣呑な武器を構え対応する。
部屋に入った場合、即座に戦闘が始まる。PC全員はカチコミ配置を行う。ブルザワは当初、PCたちを迎撃しようとするが、『体力』が半分以下になるか、クローンヤクザが全滅すると、不利を悟って【警報】を鳴らす。
◆警備主任ブルザワ(種別:モータル/重サイバネ)
カラテ 4 体力 7
ニューロン 3 精神力 3
ワザマエ 6 脚力 3
ジツ – 万札 5
攻撃/射撃/機先/電脳 6/6/4/6
回避/精密/側転/発動 8/6/-/-
◇装備や特記事項
●ボス級モータル 回避難易度+1で回避判定を行うことが出来る
▶生体LAN端子Lv1、▸▸テッコLv2、▷▷アーク放電ライフル、▸クロームハートLv1
◉重サイバネ化
カタナ 近接武器、攻撃HARD、ダメージ2(基本1+痛打1)
アーク放電ライフル 射撃武器、攻撃HARD、連射2、バースト3x3、ダメージ2(基本1+電磁1)
室内にはガンロッカーが2つあり、手番『攻撃フェイズ』を使うことで中を改め、アイテムを獲得することが出来る。
◆ガンロッカーの中身
d6の出目
1~2.チャカ・ガン
3~4.ショットガン
5~6.マシンガン
◇⑦非常階段
非常階段は脱出マスである。ただし、封鎖されており、鍵はブルザワが持っている。特殊な鍵であり、PCには開錠することが出来ない。
非常階段には2つの使い道がある。
1つは通常の脱出マスとして使用すること。エントランスが応援のヘリとクローンヤクザによって封鎖されるまで(【警報】が鳴ってからd6ターンが経過するまで)このマスから脱出することが出来る。
もう1つはエントランスが封鎖された後、PCは屋上まで登り、別のビルへと飛び移って脱出することが出来る。これは極めて危険であり、【ワザマエ】HARDの判定に失敗するとストリートに落下し、3ダメージを受ける。ナコムラにこの判定を行わせる場合、自動的に成功する。
◇⑧タイピング奴隷たちの部屋
タイピング奴隷たちはPCたちが侵入しても一切気にせず、労働を続ける。ただし、直接的な攻撃を一度でも行われればパニックになり、一斉に入口へと殺到し逃げ出そうとする。これは追いかけてくる警備チームを撒くため役に立つだろう。逃げ出そうとする奴隷タイピストたちは壁となり、2d6ターンの間警備チームの侵入を防いでくれる。
また、この部屋の奥にはメンテナンスハッチがあり、緊急用の脱出口として使うことが出来る。ただし、ハッチは狭く、1ターンにつき1人しか脱出することは出来ない。
◆エンディング
エンディングにはいくつかパターンがある:
①ナコムラを確保し、無事ビルを脱出した
②ナコムラの確保に失敗し、PCだけが脱出した
③脱出することが出来なかった
①ナコムラを確保し、無事ビルを脱出した:
PCたちは首尾よく脱出し、NSPDの警備網を潜り抜け、クライアントから指定された港湾地区へと到着した。放棄された「は-14」番倉庫には依頼人が待っており、あなたたちが到着すると手を叩き歓迎した。
なお、研究員が一人も死亡していない場合、クライアントはあなたたちの手腕とプロ意識に敬意を表し、全員に【万札】5をボーナスとして与える。
②ナコムラの確保に失敗し、PCだけが脱出した:
クライアントに電話をかけても応答がない。指定された場所に向かってももぬけの殻だ。仕事は失敗、君たちと依頼人との繋がりはすべてが消されている。とにかく姿を隠さなければ……
③脱出することが出来なかった:
あなたたちは警備チームによって殺害され、死体は処分された。
望むなら、セッション終了後に「アンセレクテッド・リザレクション現象」を起こしてもよい。その際、ニンジャとなって蘇ることに成功したなら、ふわふわローンの一切は減免される。死んだ人間からは金を取れないからだ。
◆評価と報酬
【ナコムラを確保し、無事ビルから脱出。かつ研究員が一人も死んでいない】
万札プール+30、それぞれのPCに万札+5、『名声』+1
【ナコムラを確保し、無事ビルを脱出した】
万札プール+30、『名声』+1
【ナコムラの確保に失敗し、PCだけが脱出した】
万札プール+0
クローンヤクザの殺害、探索による【万札】は通常通り獲得出来る
【謝辞】
本シナリオのMAPはネヤ=サンが作成したテンプレートを使用しています。
【NJRPG-2ND/プレイエイド】ネヤ式カスタムキャラクターシートV2ND-1.2.0|ネヤ (note.com)
こちらのキャラクターシートにデータを入力し、MAPの右側にある「キャラシURL」の欄にURLを入力すると自動的にデータを入力してくれます。