ニンジャスレイヤーTRPG第2版用シナリオ【暗殺】
この記事は「ニンジャスレイヤーTRPG二版」用のシナリオです。
このゲームのシナリオには、「隠された背景」や「マップの構造」など、プレイヤーは読んでいない方が楽しめる要素が含まれているため、基本的には進行役のニンジャマスターだけが読みます。
このシナリオはモータルのアウトロー用に作成されており、普段よりもノワールでピカレスクな設定をお楽しみいただけます。
【ダンゴウ】
『笑い爺』から依頼されるのはヤクザ・オヤブンの暗殺だ。
最低限の情報として以上が伝えられる。
【情報収集フェイズ】
以下の情報項目を提示する。
判定はすべて【ニューロン】、難易度はNORMALだ。推奨される知識技能はそれぞれの項目に設定されている。PCは1人につき1回、いずれかの情報項目について情報収集判定を行うことができ、全員が判定を行ったら、メインフェイスに移行する。
もし情報項目1と2で【6】の目を出し、追加情報を得られたなら、対応するサブフェイズに移行することもできる。
情報項目1:ショウヘイ・タカハシについて
情報収集2:デッドフィッシュ・ヤクザクラン
情報項目3:私邸について
【サブフェイズ:料理人の買収】
情報項目2で【6】の目を出した場合、待遇に不満を持つ料理人を見つけることが出来る。彼は通いの料理人で、接触が可能だ。彼を買収することが出来れば、私邸への潜入が容易になるだろう。
料理人を買収しようとする場合、「交渉判定」を行うか、【万札】10を与える必要がある。判定を行う場合、以下の修正が加えられる:
買収に成功した場合、料理人は裏口のカギを開けてPCを中に導いてくれる。初期配置マスに加える。
【サブフェイズ:自動車爆弾】
情報項目1で【6】の目を出した場合、彼のアレルギーを利用して暗殺するアイディアを思いつくことが出来る。
暗殺のアイデアを成功させるには、いくつかのステップを成功させるには必要がある。まずレストランに潜入し、アレルゲンであるナッツをタカハシの食事に混入させること。そして車に爆弾を仕掛けることだ。プレイヤーがより独創的なアイデアを思いついたらNMは取り入れても良い。しかし、それが民間人に被害を及ぼさないか考慮し、あまりに無茶なものは却下しよう。
レストランに潜入する場合、1人が【ワザマエ】難易度NORMALの判定を3回行う。これはレストランに潜入し、ナッツを混入させ、気付かれずに脱出する一連の行為を表している。ひとつでも失敗すれば事が露見し、PCたちはすぐにここから逃げなければならない。
成功した場合、タカハシはアレルギーによって危険な状態に陥る。彼を助けるため、運転手は車から離れなければならず隙が生じる。ここで車に爆弾を仕掛ける余地が生まれる。
空白の時間にPCは【ワザマエ】難易度U-HARD2の判定を行う(《◉トラップ処理技術》を持つPCが参加している場合、難易度-1)。この判定には潜入を行ったPC以外の全員が参加する事ができ、2人目以降が参加する度に難易度が-1される。ただし、参加したPCが1人でも失敗すれば判定全体が失敗となる。
成功した場合、車に爆弾を仕掛けることが出来る。これは指向性があり、周辺に被害を及ぼさない。爆発によりタカハシは2d3ダメージを、中にいるグレーターヤクザと運転手は2ダメージを受ける。すなわち、タカハシには生き延びる余地があるが、他の乗員は即死するということだ。高橋のデータについては後述する「⑩主人の部屋」を参照。
生き残ったタカハシに追い打ちを仕掛けることが出来る。その場合、PCは見付かり辛いポジショニングをしているため攻撃判定の難易度が+1され、射撃攻撃のみを行うことが出来る。タカハシは通常通り回避判定を行える。
暗殺に失敗した場合、タカハシは警戒感を高めるため、メインフェイズで巡回するクローンヤクザの数が増え、タカハシは『体力』をd3回復し臨戦体制で殺し屋を待ち構えるだろう。
【メインフェイズ】
メインフェイズではショウヘイ・タカハシの私邸への潜入を行う。そして、タカハシを仕留め、脱出しなければならない。
NMは以下のMAPを公開する:
【暗殺】MAP - Google スプレッドシート
こちらはGoogleスプレッドシートで作成したMAPだ。敵の配置や監視カメラについてもすべて記載された『ネタバレ』仕様なので、NMは必要に応じて情報を制限すること。このシートをコピーするか、ドライヴにダウンロードすることで自由に使用することが出来る。
PCは『初』と表記された初期配置マス(AC26〜AD27)に配置する。料理人を買収していた場合は、開かれた裏門の初期配置マスにも配置出来る(Z2〜AC3)。
「クローンヤクザ」と「グレーターヤクザ」のデータは以下を使用する:
7:モブエネミーリスト:ニンジャスレイヤーTRPG2版ルールブック(2023/01/15更新)|ニンジャスレイヤー公式/ダイハードテイルズ (diehardtales.com)
通常のクローンヤクザはチャカ・ガンを装備しているが、巡回のクローンヤクザはマシンガンを装備している。
なお、戦闘が始まっていない限りPCは1ターンのうちに「脚力」の2倍のマス、または6マスのいずれか多い方で移動を行うことが出来る。ただし、この際扉を越えることは出来ず、越えた場合はその次のマスで移動を終了し、このターンでの行動が終了したものとみなされる。もちろん、誰かが扉を開いて部屋を『繋げて』この制限を無視することも出来ない。
重点:監視カメラ
色付きの風と化し監視を逃れられるニンジャと違い、モータルにとって監視カメラは大きな脅威となる。幸い、カメラの多くは解像度が低く、画角も狭いため、回避する手段は豊富にある。
監視カメラは『体力:1』『イニシアチブ:1』を持つ。監視カメラはPCの頭上にあるため、同じマスで停止したり、通り抜けて行くことが可能だ。監視カメラの視界である5×5マス以内(MAP上で青く色付けされた範囲)に入ったキャラクター全員はターン終了前に『回避判定:難易度HARD(5)』を行なわなければならない。失敗した場合、ダメージは受けないが直ちに【警報】が発生する。監視カメラを破壊することは可能だが、その場合も直ちに【警報】が発生する。
手番『攻撃フェイズ』に監視カメラに隣接するか同じマスにいる時、【ハッキング】か【ワザマエ】(◉トラップ処理技術の対象となる)判定難易度HARDを行うことが出来る。成功すれば、対象となった監視カメラを破壊し、なおかつ【警報】も発生しない。ただし、合計で3つの監査カメラがこの方法で破壊された場合、警備主任は異常を探知し、【警報】が発生する。
【警報】が発生した場合、タカハシを守っているクローンヤクザを除いてすべてのクローンヤクザが【警報】の発生したエリアに集まって来る。この際、「脚力」は6として扱う。
更に1d6ターン後、ターン開始時に正門に2台のヤクザベンツ(『体力:6』『ダメージ軽減1』『脚力:14』『轢殺攻撃2』)が現れる。これらは侵入者への最短距離を移動する。侵入者を轢殺するか5マス以内に近付いた場合、手番『終了フェイズ』にベンツを中心として4体のクローンヤクザ・チームが現れる。
ベンツには乗員がいなくなるため、以降移動を行うことなくその場に残り続ける。望むなら、PCは車を奪ってもよい。その場合、『ビークル操縦』のルールに従い以下のビークルを使用出来る:
ヤクザベンツ
脚力:14
轢殺攻撃2、射撃攻撃に対する『ダメージ軽減1』、4人搭乗可能
重点:クローンヤクザの視界
当初、敵はまたPCを発見していないため、攻撃を行ってくることはない。巡回クローンヤクザは「脚力6」で黄色い表示の巡回ルートを反時計回りに移動し(直線の場合は始点から終点までを往復する)、手番『終了フェイズ』に自身を中心とした7×7マス以内にいるキャラクターを自動的な発見する(壁によって遮られる)。移動途中の視界を考慮する必要はなく、あくまで移動が終わってからの範囲を参照する。
開始地点に戻るか通り過ぎるかしたタイミングで巡回クローンヤクザは警備主任に「異常なし」の報告を行う。この報告が行われなかった場合、即座に【警報】が発動する。
視界内に敵がいた場合、即座に【警報】が発生する。以降、すべての敵がPCに攻撃をおこなうようになる。
通常のクローンヤクザは移動を行わないが、同じように視界を持つ。グレーターヤクザとタカハシは同じ部屋にいるPCを無条件で発見出来るが、【警報】は発生させない。
重点:警戒体制
サブフェイズでの暗殺に失敗している場合、巡回クローンヤクザの数が増加する。MAP上の表記では『追』で表される。
「②私邸庭園」に3体、私邸内に1体が出現する。
①正門
正門にはまず5人のクローンヤクザがいる。門の裏には詰め所が2つあり、戦闘が始まるとそこからそれぞれ6体、つまり12体のクローンヤクザが現れる。
②私邸庭園
庭園には岩、木々など隠れられるものが多くある。MAP上では一律に黒の配置物として表現されている。これに隣接している場合、例え視界に入っていても発見されない。
③物置小屋
小屋には様々な物品があるが、使えるものを選定するのには【ワザマエ】難易度HARDの判定を行わなければならない。成功すると、「カタナ」を手に入れられる。
この判定に【6,6】で成功したなら、隠されていたクランの金を見つけることが出来る。【万札プール】に10を加える。
この判定は何人でも行える。ただし1ターンを消費し、各自シナリオ中に一度しか行うことが出来ない。
④玄関/廊下
この部屋は庭と屋敷を繋ぐ接点だ。施錠されているが、手番『攻撃フェイズ』に『その他の行動』を使い【ワザマエ】難易度NORMALの判定を行うことで開錠出来る。そうした場合、PCたちは内部に入ることが出来るようになる。応接スペースには高価そうな装飾品がいくつもあるが、その価値は計りかねる。この部屋から持って行けるアイテムは全体で1つまでである。NMは秘密裏にd6を振り、価値を決定する。《◉知識:伝統的アート》を持つキャラクターがいたなら、その出目に+1する。
⑤バスルーム
この部屋には注目に値するものは何もない。
⑥食堂
ダイニングルームには銀製の食器が並べられており、部屋全体のものを集めれば【万札】2の価値がある。キッチンには料理人が一人おり、食事の片づけをしている。
キッチンから外へと向かう扉(AB10)には鍵がかかっており、【ワザマエ】難易度HARDの判定を行うことで開錠出来る。料理人は一切抵抗することなくホールドアップしている。
キッチンには真空タッパーに収められた『オーガニック・マグロスシ』がある。鮮度がよく、日持ちするため、ブラックマーケットで売却可能だ。モータルはスシによる回復を行えないので、これは完全な換金用アイテムになる。真空タッパーに入っている限り腐ったりすることはないので、もしそのことを気にするPCがいるなら教えてあげよう。
料理人を買収している場合、更に『オーガニック・スシ』を得られる。買収していない場合でも、侵入者に対して抵抗するような真似はしない。殺害したなら、彼から【万札】2を奪うことも可能だ。金で買収している場合、それも回収出来る。
⑦~⑨ゲストルーム
ゲストルームにあるアメニティは【万札】1の価値がある。
⑩主人の寝室
この部屋にはターゲットであるショウヘイ・タカハシがいる。PCが警報を作動させていない場合、彼は安らぎのフートンに包まれて眠っている。最初のターン、タカハシはあらゆる行動を行うことが出来ず、また如何なる装備を身に着けてもいない。
警報を作動させている場合、タカハシは臨戦態勢でPCを待ち構えている。
◆ショウヘイ・タカハシ/デッドフィッシュ・ヤクザクランのオヤブン(モータル)
カラテ 5 体力 7
ニューロン 3 精神力 4
ワザマエ 7 脚力 4
攻撃/射撃/精密/機先/電脳 5/7/7/3/3
◇装備や特記事項
●連射2
◉◉タツジン:イアイドー、◉頑強なる肉体、◉不屈の精神
※以下の装備は臨戦態勢でなければ使用出来ない
近代的防具(『体力』+2、『射撃ダイス』+2)
ショットガン(ミハル・ドットサイトを装備しており、【6,6】で痛打+1)
⑪コレクションルーム
タカハシのコレクションルームには多数のレリックが収められている。あまりにも大きく、ビッグニンジャでもなければ持ち運びは不可能だ。
奥に飾られた「ホネキリ」は例外だが、これを守るため非道トラップが仕掛けられている。これを奪おうとするキャラクターは【ニューロン】難易度HARDの判定を行わなければならない。失敗した場合、以下のトラップに気付くことが出来ず、作動させてしまう
「毒ガストラップルーム」
発動した段階で部屋は封鎖され、毒ガスが噴出される。
この部屋にいるすべてのキャラクターは毎ターン終了時に【カラテ】難易度U-HARDを行い、
失敗した場合1ダメージを受ける。
(軽減不可。《◉頑強なる肉体》や毒に対するダメージ軽減などは適用可能)。
封鎖された扉を開くには、【ワザマエ】難易度U-HARDに成功しなければならない。
破壊する場合、扉は『体力:6』、『あらゆる攻撃に対するダメージ軽減1』を持つ。
このトラップに気付いたキャラクターは、解除を試みられる。難易度は【ワザマエ】難易度U-HARDだ(《◉トラップ処理技術》の対象になる)。
『ホネキリ』は「*業物のカタナ*」として扱われ、この武器を使用して行う近接攻撃のダイスは+1される。余暇で更なる強化を行うことも可能だ。
暗殺後
暗殺を行った、あるいは達成を諦め逃亡する場合、『脱』マスからPCは脱出することが出来る。料理人を買収していない場合、裏口の門は閉まっており、【ワザマエ】難易度HARDの判定に成功しない限り通過することが出来ない。この門は手番『攻撃フェイズ』に1行動を消費することで行える。何度でも行えるが、1ターンに挑戦出来るのは1人までだ。
【エンディング】
エンディングにはいくつかパターンが存在する:
①タカハシを殺害し脱出した
②暗殺に失敗し、逃走した
③逃走に失敗した
それぞれの結末は以下の通りである。
①タカハシを殺害し脱出した
②暗殺に失敗し、逃走した
③脱出することが出来なかった:
あなたたちはヤクザによって殺害され、死体はスマキにされタマ・リバーに放り込まれた。そのうちラッコの腹に収まるだろう。
望むなら、セッション終了後に「アンセレクテッド・リザレクション現象」を起こしてもよい。その際、ニンジャとなって蘇ることに成功したなら、ふわふわローンの一切は減免される。死んだ人間からは金を取れないからだ。
【評価と報酬】
【自動車爆弾、ないしはその他の手段で私邸に侵入せずタカハシを殺害した】
万札プール+40、『名声』+1
【タカハシを殺害し脱出した】
万札プール+30、『名声』+1
【暗殺に失敗し、逃走した】
万札プール+0 クローンヤクザの殺害、探索による【万札】は通常通り獲得出来る
また、『ホネキリ』を所持しているPCが逃走に成功したなら、全員の『名声』+1
【隠された背景】
デッドフィッシュ・ヤクザクランは急成長を遂げた半面、多くの敵を作っていた。また、クラン内部からもタカハシの治世に対する不満が渦巻いていた。これをうまく突いたのが西のザイバツ・シャドーギルドだ。彼らはニンジャ戦力を用いることなくして内紛を起こさせ、ソウカイヤの勢力を削り取った。主を失ったデッドフィッシュは血を血で洗う熾烈な権力闘争の時代を迎え、連鎖的に火は広がっていくだろう。
……ここまでが、ザイバツの下級構成員が把握している情報だ。ワイルドハントとアンバサダー、そして恐るべきグランドマスターが真に関心を持っているのはコレクションルームの棺である。
棺は古代ニンジャ文明の遺物であり、中には本物のニンジャミイラが納められている。タカハシはその価値と危険性を理解していないが、一度手に入れたものを手放すこともない。ザイバツはこうしたニンジャレリックを回収、ないしは破壊し、来るべき千年帝国の礎にしようとしている。
棺に納められているのは『ゴグウ・ニンジャ』。現在は力の枯渇によって眠りについているが、なんらかのアクシデントによって目覚めてしまったなら、その場にいる全員に速やかな破滅をもたらすだろう。
ゴグウ・ニンジャが覚醒した場合、すべてのニンジャは難易度HARD、モータルは難易度U-HARDのNRS判定を行う。ゴグウ・ニンジャは次のターンから行動を開始し、一番最初に手番を得る。ゴグウ・ニンジャは壁や移動距離を無視して一番多くのキャラがいる部屋(または庭)に移動して、同じ部屋にいるすべてのキャラに自動的に『火炎属性ダメージ1』『装甲貫通2』を与える。これはジツによる射撃として扱い、射線を無視して隣接状態のキャラにもダメージを与える。
ゴグウ・ニンジャはあらゆる射撃攻撃を自動的に回避する。もし無謀にも近接攻撃を仕掛けたなら、ゴグウ・ニンジャはあまりのいじらしさに回避を行わない。通常通りダメージを受けるが、ゴグウ・ニンジャの肉体は燃え盛るカトンの炉そのものであり、攻撃を行ったキャラは自動的に『火炎属性ダメージ1』『装甲貫通2』を受ける。加えて、毎手番開始時に『体力』を1回復する。
ゴグウ・ニンジャに対して単なるモータルやサンシタニンジャが出来ることは何もない。少なくとも『成長の壁』を2つ以上越えたキャラでなければ、ゴグウ・ニンジャに回避判定を行わせる(=攻撃を命中させられる)ことは出来ない。
【謝辞】
本シナリオのMAPはネヤ=サンが作成したテンプレートを使用しています。
【NJRPG-2ND/プレイエイド】ネヤ式カスタムキャラクターシートV2ND-1.2.0|ネヤ (note.com)
こちらのキャラクターシートにデータを入力し、MAPの右側にある「キャラシURL」の欄にURLを入力すると自動的にデータを入力してくれます。