名もなき病(やまい) №4
夕飯の支度をしていると、義父がすっと台所に入って来た。
「かあさん、アルミホイルどこかな?」
「ああ、ここですよ。はい。」
手渡すと嬉しそうに
「ちょっと使うからね。」
そう言って出て行った。
しばらくするとホイルを返しに戻って来た。
「ちょっと使いすぎちゃったかもしれないな。」
「大丈夫ですよ。買い置きありますから。」
良かった、と嬉しそうに笑った義父は80代だ。
耳が遠いため会話は大変だが、今の私の返事はすぐ聞き取れたようだった。
「アルミホイルでね、財布を包んできた