45歳のオッサンをプロデュースしようと思ったワケ

ダメになったらやり直せないのだろうか。

そんなことを考えていた。

7年前。 両親と絶縁しタコ部屋に転がり込み、パチプロを名乗って生きることが嫌になって作家になろうと決めた。

安定した生き方をしていた自分が無頼を名乗り、非正規雇用で働きながら書き殴ったものを3年位公募に出し続けた。 作家の世界は甘くない。 ぽっと出の奴が認められるなんて稀だ。 

自分が描いた世界を映像にして見せようと考えた。 借金をして機材を揃え、役者とスタッフを集め、自らが指揮を採って映画監督になった。物作り以外の気遣いに疲れてしまい、残ったのは関係者にも見せられない駄作と100万を超える借金だけだ。

一度ダメと言われたら死ぬまでダメなのだろうか。 周りの創作関係の友人もそんなことを漏らすからか、その思いが強くなっていた。

そんな折にモンキーと親しくなった。 職場の先輩だが、私語を交わしたのは入社1年目を過ぎたあたりだったか。 ある日、仕事帰りに彼と新宿のベローチェで珈琲を飲んだ。 静かな職場で溜まった内省からストレスは激しくて、一方的に自分がやってきたことと現状をまくしたてた。

彼は相槌を入れながら、Mサイズのホットコーヒーに尋常じゃないほどのミルクと砂糖を入れていた。 それが異様に見えてモンキーに興味が湧いたことを覚えている。 興味が趣くままに尋ねてみた。

彼は45歳で元芸人。 今の職場で7年位勤めている。 そして、莫大な借金があり差し押さえをされて給料から毎月9万ほど払っている。 生活が出来ないから、土日も働いている。彼の言葉には力がなく人生への諦観が滲んでいた。 

ダメになったらダメのまま人生が加速するのだろうか。 ボクは「今、したいこととか目標とかありますか?」と聞いてみた。 彼は「やっぱりね、テレビに出たい。 売れたい」と少し照れたように、けれども力強く言った。

なんだ、一緒じゃないか。 

ボクはテレビに出たいと思ってはいないが、造り手として売れたいとは思っている。 だから彼と組むことにした。 

実生活に影響が出るとまずいからって、ダイソーで売っていた猿のお面を被らせて、 EOS70Dのレンズに向かって喋ってもらった。 ボクもキリンのマスクを被ってソイツを聞いていた。 

全然面白くない。だけど、これで良い。 何もしないダメから、一歩行動を起こしたダメに変わったはずだ。 


 オッサンZOOで「ダメ人間がダメ人間のまま生活できれば、ある意味パンクミュージックだ」って夢を抱いた。 今やこれが目標だ。 視聴者様や読者様から指摘や意見をもらい、ボクらは互いに学んで成長していく。

アラフォーとアラフィフが奏でる『オッサンZOO』という名のパンクミュージックをどうぞよろしく。

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