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島根県奥出雲町の冬、小さな奇跡



#灯火物語杯


ふたりだけのクリスマスイブ
 雪化粧の奥出雲町。家の灯りが、降り積もった雪に反射し、幻想的な輝きを放っています。裕二と咲子は、古民家を改装した小さな咲子の祖母の家に引っ越したばかりです。

 出産予定日が迫り、静かで落ち着いた環境を求めてこの地を訪れました。
裕二は、咲子のふっくらとしたお腹を優しくさすりながら、
「もうすぐだね。どんな顔をしているんだろう」とつぶやきます。
咲子は微笑み、「きっと、裕ちゃんに似てるかな」と答えます。

二人は東京で暮らしていた会社員。

都会の喧騒から離れ、静かな場所で子どもを迎えたいという願いから、この咲子の祖母の町にたどり着きました。

出産の夜
 クリスマスイブの夜、咲子の陣痛が始まりました。
雪が降りしきる中、裕二は慌てて助産師さんを呼びに行きます。
古民家の薪ストーブには、パチパチと薪が燃え、部屋の中はあたたかい。

咲子は深呼吸をしながら、側に居る裕二の両腕を握りしめる。
初めは手を握ってたから裕二の指の骨を折りそうになった。

爪も立てていた。

一度なぜか裕二の指に噛みついて、助産師にタオル咥えさせられた。
裕二の手を握りしめます。
痛みと闘いながらも、もうすぐ会える我が子への期待で胸がいっぱいでした。
そして、静かな夜空を見上げているような、そんな穏やかな表情で、小さな命が誕生しました。

奥出雲町の冬、小さな奇跡
 生まれてきたのは、大きな泣き声をあげる女の子。
裕二と咲子は、我が子を抱きしめ、涙を流します。

助産師さんは、「なんて素敵なクリスマスね」と微笑みます。

雪が降りしきる冬の夜、この小さな町で生まれた女の子。
その誕生は、まるでベツレヘムの馬小屋で生まれたイエス様の誕生のようでした。

裕二と咲子にとって、この子はかけがえのない宝物。

そして、この小さな命の誕生は、二人にとって、そしてこの町の人々にとっても、忘れられないクリスマスの思い出となりました。

クリスマスの普遍性
 ヨセフとマリア、そして裕二と咲子。
時代や場所、状況は違えども、二組の夫婦には共通点があります。
それは、愛する我が子を迎え入れる喜び、そして、その誕生に奇跡を感じることです。

イエス生誕の物語は、特別な出来事ではなく、すべての人の誕生が奇跡であることを教えてくれます。

裕二と咲子の物語もまた、そのことを私たちに教えてくれるのではないでしょうか。

奥出雲町の冬、そして未来へ
 奥出雲町の冬は厳しい寒さですが、人々の心はあたたかです。

裕二と咲子の新しい家族の誕生は、この小さな町に、さらに大きな喜びをもたらしました。

雪解けとともに、新しい命が芽吹くように、この子もすくすくと成長していくでしょう。

そして、いつかこの子も、自分の子供を産み、この物語を語り継いでいくかもしれません。

クリスマスの夜に生まれた小さな命は、この町の未来を照らす、希望の灯となることでしょう。


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