振尾 出 切子

「フリオ・デ・キリコ」と読みます。集中力の無さには自信があります。だから書きかけの企画…

振尾 出 切子

「フリオ・デ・キリコ」と読みます。集中力の無さには自信があります。だから書きかけの企画ばかり。

最近の記事

袴田事件の無罪判決に寄せて

「袴田巖さんの再審で、9月26日、静岡地裁が無罪判決を出しました。判決では捜査機関による証拠のねつ造も認定されました。事件を担当した静岡県警の元捜査員は記者の問いかけに自宅のドアを閉ざし、何も語りませんでした」 こういう追跡取材、すっごく大事だと思う。戦犯や元内務官僚や特高にもこういうことが出来ていたら、首相を含むのちの自民党議員は誕生しなかった可能性がある。中にはそのまま世襲議員になる例もあり、戦前の旧悪は現在にも影を落としているのではないかな。 戦後の悪事で孫を殺された

    • 僕たちの腐敗のカタチ

      https://jidounten-lab.com/u_46830 どうして真っ先に日の丸が出てくるのかよく分からない記事だが、要はギグワーク肯定推進の立場であることがわかる。 「豪州・ニュージーランド・アメリカの3カ国における「柔軟な働き⽅が損なわれたらドライバーを継続しないと答えた割合」が紹介されている。豪州とニュージーランドは91%、アメリカは86%で、シフト制がいかに運転手にとってストレスかが分かる」 添付資料の「ライドシェアと自由な働き方について」だが、現在の法的

      • 35年越しの嘘・消費税

        http://www.zsk.ne.jp/zeikei601/ronbun.html  現在「STOP!インボイス」でもご活躍されている湖東京至先生がまだ消費税が5%だった頃に書かれたもの。  個人的に一番ヤベーと思うのは 「消費税の基本的欠陥その2 消費税は間接税ではないという欠陥」 だと思う。  2020年度、コロナ禍で殆どの産業が大きなダメージを受け、所得税の税収額は下がり、ついに消費税が最大の費目になった。 「間税会」という実態不明の秘密結社的民間団体によって義務

        • フードロスって何だろう?

          先日とある事情から、友人と中1になる息子さんと『呪術廻戦』というアニメを見ていた。 その時の話をかいつまんで説明すると、 ・少しウザいぐらいに人懐っこい高校生の主人公(♂)の中学時代の同級生(♀)が登場する。 当時の彼女は大柄でふくよかな体型で自分に自信を持てず、自分の存在感を薄めて「それなり」の学生ライフを波風立てる事なく送っていたが、ある日男子同士の「クラスの女子の誰がいいか」という他愛無い会話を立ち聞きしてしまう。そして「強いて挙げれば」とせがまれた主人公が自分の名前を

        袴田事件の無罪判決に寄せて

          街の記録とタイムラグ

           仕事仲間から勧められてお借りした『竹中直人の恋のバカンス』を見ている。  竹中直人の鋭利な人間観察と理解力、その情報を整頓してショーとして成立させる構成力、そのイメージを的確に具現化する表現力と運動神経が余すところなく発揮されている。  ただしこれらはTV番組のショートコントという性質上、その時代の視聴者の感覚を映してしまう。現在では見る側の知識と時間感覚が当時と合致しないため、2000年代生まれの人が見て彼の才気に圧倒される事はあっても、素直に笑えるかは微妙だと思う。  

          街の記録とタイムラグ

          高松熟睡ノ記

           最近ライターで漫画家の村田らむさんの怖い話に触発されて自分もなんか怖い話あったかしら?と連日つらつらと記憶を探っていたのです。  とはいえ無風のありふれた氷河期非正規ライフを漂流してきた名もなき私にそんな際立ったエピソードなんて…。  あ。あった。  最近齢のせいか物忘れが激しくなってきたんでちょっくら書いて置きますね。  皆さん!  徳島と言えば?「自衛官」ですよね!  愛媛と言えば?「刑務所」ですよね!  高知と言えば?「白バイ」ですよね!  公権力だ!暴力装置だ!隠

          高松熟睡ノ記

          倒錯と装飾のあいだ

          渋谷区が世界に放つ超弩級怒涛観光施設、ステルストイレ(失敗)に行ってきましたたた。 誰でも思い浮かべるリスクを犯して見えてる地雷を積極的に踏みに行くスタイルはまさに新自由主義の鑑。 近付くとなにやら注意書きが。 これさえなければただの「オシャレトイレ」で済むものを…。 さらに付近には別の立て札が。 これさえなければ余計な疑問を抱かせずに済むものを…。 やらんでもいいことをやった末にやらかしてしまった証拠をきっちり保存するスタイルはまさに新自由主義の鑑。(類例/『コロナ対策の一

          倒錯と装飾のあいだ

          『空と山のあいだ 岩木山遭難・大館鳳鳴高校生の五日間』

           東京オリンピックを9か月後に控えた1964年1月、年明けの岩木山に登った5人の高校生の遭難と、彼らの捜索に尽力した人々の記録。 登山がまだレジャーとして普及していなかった頃、子供たちは子供たちなりの覚悟で冬山に立ち向かったもののやはり思慮不足、準備不足であった。  では何故彼らは顧問に嘘をついてまで冒険したがったのか。著者はまえがきで戦後期から経済成長期に突入した当時の世相と若者のエネルギーの発揚を記す。これは以前読んだ「ディアトロフ峠事件」の真相に迫った『死に山』と同様で

          『空と山のあいだ 岩木山遭難・大館鳳鳴高校生の五日間』

          寿司ロマンの果て

           大手回転寿司チェーン店において迷惑行為を働き動画を投稿した客が逮捕された事件。  そういえば寿司の大規模チェーン店って自発的に食いに行くことが無い。ウーバーイーツ配達でピックアップしに行く事しか接点が無い。  寿司をわざわざぎゃあぎゃあ煩い環境で食わなければいけない理由を咀嚼できない。これは高い個人店、安いチェーン店といった問題ではなく、安物ならスーパーの見切り品を自宅で食うし、それならしょっちゅうやっている。  そういやそもそも寿司屋で寿司を食う事が無い事に気づく。  

          寿司ロマンの果て

          秘境・野毛山動物園の麓に幻のテレビマンを見た!

           桜木町近辺で昼食を食べる事になった。  駅近くのちょっとした店は主に寿町の表玄関、野毛に集中している。  場外馬券売り場のエクステエリアであるおっちゃんたちが猛暑日の陽を避けて木陰に寄り添っているのを横目に、思いがけず瀟洒なたたずまいのイタリアンレストランに到着した。ドアには「予約の方以外ご入店をお断りしております」とプレートがかかっている。  もちろん事前に予約を済ませてある。ランチ3000円、ディナー7000円と、庶民にとってはそれなりのお値段のお店である。一人だったら

          秘境・野毛山動物園の麓に幻のテレビマンを見た!

          『ドキュメント生還-山岳遭難からの救出』

          飛行機に乗らないのに飛行機事故の動画を見るのが好きです。 山に登らないのに遭難の話を読むのが好きです。 登山といえば「山と渓谷」。安定のブランド、ヤマケイ文庫の鉄板遭難ドキュメントがこちらになります。 https://www.yamakei.co.jp/products/2812120101%20.html 3000メートル級の冬山から、秋のファミリーハイキングまで。 大量のビールをあおって沢を下っちゃったおっちゃんから、立ちくらみで斜面を落下し開放骨折の傷口に…という

          『ドキュメント生還-山岳遭難からの救出』

          ブッダマシーンとは何か

           Twitterで相互フォーローの方から「ブッダマシーン」というものの存在を教えていただきました。なんでもその方がこの度入手されたブッダマシーンは初の国産品だとか。  オリジナルブッダマシーン(電子念仏機)「天界」https://www.fashionsnap.com/article/2021-02-06/buddha-machine/ 「ブッダマシーンは、中国を中心としたアジア各国の念仏や仏教ソング、民謡などを収録したジュークボックス。日本では楽曲性の高さからアーティスト

          ブッダマシーンとは何か

          過去から来る恐怖について

           ドン・キホーテが長崎屋であることを最近知った。  確かに公式サイトを見ると一目瞭然である。 https://www.nagasakiya.co.jp/    しかしそもそもドンキほとんど利用しない。やむを得ない事情があって行ったとしても「ジャングル」を謳い密集して陳列された商品を落とさないよう、他の買い物客と接触しないように気を使うので、自分にとってこのブランドは興味の外であった。  それだけに世間一般では周知の事実かもしれないが自分にとっては新鮮な事実であった。  だ

          過去から来る恐怖について

          現代遺構の継承者たち

           この「男性向けグラビア」という踏み込みの浅い表現に公器としてのメディアの限界を感じる。  2001年9月に発生した歌舞伎町ビル火災事故において被害に遭った女性たちを「飲食店従業員」と報じたような歯がゆさがある。  あえていかがわしい表現をするとこのチラシの画像は最近の「エロ本」っぽくない。意図の有無はわからないが極めて的確に「ビニ本」っぽい。 『南☆十字星』 などといった内容と無関係な当たり障りのないタイトルの、コンパニオンもののコンセプトだと思う。前近代の文字に残らぬ民

          現代遺構の継承者たち

          喜びも悲しみも幾コマンドー

          『コマンドー』を見た。 どうにもできない巨大な反省と教訓ばかりが降り積もっていく、重圧と無力感に苛まれる日々の中で、何もかも忘れたかったから。 2人の男が箱乗りした清掃車が早朝の高級住宅街を進んでいくオープニングをすっかり忘れていた。 この後「おおい、待ってくれ!」と慌ててゴミ出しに訪れた男を、箱乗り'sがマシンガンで蜂の巣にするのだが、出てこなかったらどうするつもりだったのか。杜撰にも程がある。 このオープニングを忘れていたのは私の過失ではない。元から忘れてもいいようなエ

          喜びも悲しみも幾コマンドー

          ジョニィとマリーのディスタンス

          最近、高橋真梨子さんのベスト盤を聴いている。 この人の代表曲を年代順で追っていくと、男性から見下されていた女性の立ち位置がグングン上がっていく様子が見て取れる。 ペドロ&カプリシャス時代の「ジョニィへの伝言」(1973)は、別れの席に来なかった恋人ジョニィへの伝言を彼の友達に託す、という内容。 マリーは2時間も待たされた挙句「割と元気に出ていった」と伝えて欲しいと頼み「根っから陽気に出来てるの」「踊り子だし、次の町に行くわー」と宣言する。(多分それらは嘘なのだろう) いわば

          ジョニィとマリーのディスタンス