黒井ハト

黒い鳩がこの世にいることの証明。 甘い物と考えることが好き。

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最近の記事

犠牲が正当化される事由について<反出生主義>

反出生主義について考える時、個人における反出生主義と社会における反出生義の二つの議論の土俵がある様に思われる。 前者においては「生誕害悪論」と「QOLの議論」が焦点となり、後者においては「功利主義」や「義務論」が焦点になるものと思われる(実際の議論は複合的に入り混じっている)。 特に反出生主義における実際の議論の中心は前者、すなわち「生まれてくることは当人にとって良いことか?」という議論である。焦点となっているベネターの非対称性論証に対する議論などはまさにコレだ。ベネターはそ

    • 反出生主義の実現と実践

      「反出生主義の実現は不可能だから無意味。」 「反出生主義の実現性」に基づくそんな感じの論調を、反出生主義というワードで検索してツイッターを眺めてるとたびたび目に入る気がする。 まぁ実現は難しいわなぁと思いつつ、今回はそのことについて簡単に。雑文だけど修正する気力がない。 1.反出生主義の実現「反出生主義の実現」という言葉が意味するのは、恐らく「この世の一切の人間(有感生物、生命)の消滅」を指すのだと思う。もっとわかりやすく言うなら、「誰も子供を新たに生み出さない社会の実現

      • “良さ”の3次元

        「○○は良い」「○○は悪い」 そんな当たり前に使われる「良い、悪い」という言葉。 何かを考える時、主張する時、説明する時、説得する時、私たちは「こっちが良くてそっちは悪い」の様にとにかくこの言葉を使う。 しかし、そんな「良い、悪い」という話が、人と一致しないことが多々ある。その理由は大抵「価値観が違うから」という一言で片づけられてしまう。 また、自分の中でも「良かれと思って」選択した事が「実は悪かった」という事も起こりえる。なんでこんなことが起きてしまうのか。 私はその理

        • 反出生主義者は不幸か

          ※この記事では「反出生主義」の言葉の意味を説明しません。 ※この記事では「反出生主義者」に対する考察であり、「反出生主義」そのものについて考察するものではありません。 「反出生主義者ってさ、ただの不幸な人たちでしょ」 そんな「反出生主義者」についての憶測。SNSで「反出生主義」と検索するとそんな感じの「反出生主義者=不幸」といった類の発言がよく目に入る。 これについて、「それは偏見だ」と思う人もいれば「確かにそうだ」と思う人もいるだろう。 「反出生主義者は不幸なのか」

          「子供作らなければ良かったじゃん」について

          「そんなに子育て辛いならさ、産まなきゃ良かったじゃん」 子育てに悩む世のお母様方に投げられるそんなストレートな正論。 その球は何も母親だけでなく、妊娠している女性のお腹にも当たりかねないし、その球の存在が若い人をフリーチャイルドへと導くだろう。 SNSで子育ての愚痴や弱音を吐いたら、どこかからそんな球が飛んで来たという経験の人も多いと思う。 そうでなくとも、世間からの「だって好きで産んだんでしょ?」という無言でもない圧力を、母親は誰しも感じたことがあるのではないだろうか。

          「子供作らなければ良かったじゃん」について

          反出生主義は淘汰されるか

          「反出生主義者って子供作らないんでしょ?じゃあ反出生主義は1代で途切れる訳で、自然淘汰されるじゃん」 「反出生主義」について、そんな感じの見解がずっと前から存在している。 「反出生主義は淘汰されるのか」 今回はそれをテーマに自分なりに書いてみようと思う。 1.反出生主義は自然淘汰されない私見として、結論から言うならば、「現在の社会体制において、反出生主義は社会から自然に淘汰されることはない」と思われる(ただしこれは、潮流が途切れることがないという意味ではなく、主義そのもの

          反出生主義は淘汰されるか

          反出生主義は人類にとってのアレルギー反応の一つなのかもしれない

          タイトルを見て、まず感じられたであろうこの記事のイメージに対して、先に弁明しておきますが、この記事は「反出生主義はアレルギー反応だ!間違ってる!」の様な安直な批判をする為に書いたものではありません。 むしろ私自身は反出生主義に対して哲学的にも実存的にも強い興味関心を抱いており、よりこれに関する議論が活発化することを望む態度をとっている者です。いわゆる、“アンチ”ではありません。というか、今のところ、倫理的に反出生主義は正しいという判断です。むしろ反出生主義者です。 さらに予防

          反出生主義は人類にとってのアレルギー反応の一つなのかもしれない

          反出生主義とヴィーガニズム

          反出生主義(はんしゅっしょうしゅぎ、英: Antinatalism)とは、子供を持つことに対して否定的な意見を持つ哲学的な立場である。 反出生主義 - Wikipedia ヴィーガニズム(英: veganism)は動物に対する搾取と残酷行為を可能で実践できる限り無くしていこうという倫理的立場。 ヴィーガニズム - Wikipedia 反出生主義ーアンチナタリズム 完全菜食主義ーヴィーガニズム 近年世間に広く普及している印象の二つのこの主義。 そしてこれらどちらか一方の思想

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