![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79709355/rectangle_large_type_2_5bc799644869b5305fa663a8ea2fd630.png?width=1200)
TRPGシナリオ創作論 -5- あなたは彼女を殺してもいいし、情けをかけてもいい
はじめに
こんにちは、黒崎江治です。最近はソード・ワールド2.5のキャンペーンにプレイヤーとして参加したり、新クトゥルフ神話TRPGのジャズエイジシナリオを作っていたりします。
「記事を書いて自作の宣伝をしてえ……」という動機を元に、今回はシナリオの自由度をテーマに書いていきたいと思います。
最近プレイしているソード・ワールド2.5と新クトゥルフ神話TRPGを念頭に置いて書きますが、固有のルールを応用するわけでもないので、多分、ほかのシステムにも当てはまるでしょう。
とりあえず自由度の定義
そんなに大それた話ではなくて、「あくまでも本記事ではこういうものを自由度として進めますよ」というぐらいもの。自由度の定義については日々いろいろなところで議論が交わされていると思うので、深くは突っ込まず、ひとまず断定的に行きます。
自由度とはなんですか。それはチョイスとコントロールの感覚。
ある状況において判断や選択をおこなえる。場に影響力を及ぼせる。プレイヤーがその感覚を抱けるシナリオが、自由度の高いシナリオだ。
ここで感覚という言葉を使ったのは、たとえば判断や行動が結果(エンディング)に影響しなくてもいいんじゃない? と思うからですね。真実そうじゃなくてもいい。感覚を持ってもらえればいい。
そのことを踏まえて、プレイヤーにチョイスとコントロールの感覚を持ってもらうにはどうするか。ここではたくさんの方法をあげつらうのではなく、ひとつのアイデアを述べるに留めます。
以下はシナリオを書くときの配慮として理解してもらってもいいですし、GMの裁量でこうすればいいんだな、という風に読んでもらってもいいです。
生殺与奪の権を握らせろ
大人気漫画・アニメ『○○の○』ではないですが。
要するに敵対NPCの処遇を任せることにしてはどうか? というアイデアですね。記事のタイトルに繋がります。あなたは彼女を殺してもいいし、情けをかけてもいい。GMとして言ったのは2年ぐらい前だったような気がします。そのとき、「彼女」は結構非道なことをしてましたが、冒険者たちは情けをかけました。
舞台が現代日本かそれに近い場所だと、殺す殺さないの話にはなりにくいですが、結果として死ぬよう仕向けるとか、社会的に殺す、力を奪う、みたいな選択はあり得るんじゃないかと思います。
黒幕でも、小狡い妨害者でも、同情すべき敵の協力者でも、物語上必須の役割を終えたあとは、プレイヤーキャラクターたちに処遇を任せる。
シナリオの大筋やエンディングに影響がなくても、たとえ雑魚であっても、大抵の世界観では、人の生き死にがまあまあなインパクトを持つはずです。
自分たちがそれに影響を及ぼせた。チョイスとコントロールの感覚。なかなか自由度が高かったなこのシナリオは、となってくれれば万々歳。
人の生き死にではない、もう少しインパクトの弱いバリエーションとしては、手に入れた魔導書を焼くか、持ち帰るか。ダンジョンに落ちていた婚約指輪を売却するか、死体に供えるか、とかもありですね。
生かすか殺すかは結構プレイヤーによる
あとはちょっと余談的に。GMやKPの経験が多い人は頷いてもらえると思うんですけど、めちゃくちゃ悪いことした敵にプレイヤーが同情的で、なんか命を助けようとしてる……あまつさえ駆け落ちしようとしてる……みたいな展開、それなりに発生します。
そういうときにどっちかの選択を強制されると、プレイヤーの満足度がぐっと下がってしまう可能性がある。もちろん、死なないと話がはじまらんとか、生かしとかないと今後に差し支えるとか、仕方ないケースもあるんですが。
でもシナリオライター・GMは、「プレイヤーがこいつを生かしたがったら/殺したがったらどうしよう?」ということは考えておかないといけないと思います。判断を強制するにしても、ちょっとゴネられそうな気配がしたとき、どう納得してもらうかは事前に考えておいた方がよいでしょう。
まとめ
・自由度が高いシナリオとは、プレイヤーがチョイスとコントロールの感覚を持てるシナリオ(ひとつの定義)。
・シナリオの自由度を高めるためのワンアイデア。それはプレイヤーキャラクターにNPCの生殺与奪の権を握らせること。
自由度に特に気をつけて書いた……というわけではないですが、以下新作シナリオ『頭は最後まで残しておけ』の宣伝。新クトゥルフ神話TRPGの基本的な部分と、ジャズエイジの雰囲気と、原作の世界観に触れられるのがウリかなと思っています。遊んでみてね。
![](https://assets.st-note.com/img/1645525650397-NXPOXJejYe.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1645525659742-HoegoQe6IA.png?width=1200)
あと小説とかも書いてます。