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ゲームキャスターが見たGeoGuessrとワールドカップ
「海老江さん、『GeoGuessr』っていうゲーム、ご存知ですか?」
私のGeoGuessrワールドカップは2023年9月某日に掛かってきた一本のお電話からスタートしました。
ちょうど今年の8月にQuizKnockのゲーム企画「ジモゲッサー」(出演者の地元を対象としたGeoGuessrプレイ)を視聴したことから興味を持ち、少し勉強をしていたタイミングだったので、「はい、存じております!」と回答。
その電話を機に、あれよあれよと話が進みまして、いきなり世界最高峰の舞台での実況(という名の素人目線語り役)に任命されることに。
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結論から言うと、とても面白く、そして将来や未来を色濃く感じるゲームタイトルでした。
今回はそのお話を書きたいと思います。
・GeoGuessrとは
GoogleストリートビューAPIを使用した2013年リリースの場所当てブラウザゲーム。
プレイヤーはランダムに選ばれた世界中のとある地点からスタートして、その地点が世界地図上のどのポイントにあるかを様々な情報から推測し、制限時間内に実際の地点へとできるだけ近づけることを目標とする。
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元々は自身の知識量を楽しみながら高められるような自己研鑽系の1人用ゲームだったのだが、「デュエル」(等しい条件下にて1対1で競い合うゲームモード)の実装、そしてそれに伴い競技化の動きが加速し、遂にGeoGuessrリリース10周年の今年、世界中から自他共に認める猛者達を集めて初のワールドカップが開催された。
『GeoGuessr』は下記リンクからプレイできます。
・ゲームキャスターから見たGeoGuessrの魅力
実際にGeoGuessrを体験してみると、様々なゲームとしての魅力を持っていることに気付くことができました。
主観ではありますが書き記していきます。
① 分かり易さ
GeoGuessrは前述した通り、ルールがとてもシンプルかつ直感的で、誰でも1度遊んでみたり、観戦するだけでゲーム内容を理解することができます。
これはゲームのエンターテインメント化において非常に重要な要素で、全てのゲームタイトルが抱えている課題でもあるのですが、GeoGuessrはこの部分をゲームの構造的にクリアしやすくなっているという稀有なゲームです。
またプレイ中の操作についても、
・景色を見る
・移動して再度景色を見る
・そこだと思う地点について制限時間内に地図をクリックしてピンを打つ
・その地点でよければ確定(Guess)ボタンを押す
と、かなり簡便ということも大きなメリットとして存在しています。
② ユーザーのプレイ持続性
出題範囲が世界中、ということで、同じ景色ばかりを見ることが無い=マンネリ化しにくい点は、各々のゲームタイトルが持つ課題の一つである「繰り返し遊ぶことができるか」ということの解決に繋がります。
個人的にはこのゲームの出題のランダム性の部分が最も面白い、人を惹き付けるポイントになっていると感じました。
というのも、偶然自分の良く知っている地域が出た場合や、どの地域か気付けた時の快感、これが物凄いんです!
これは一度体験すると病み付きになるレベルで、もう一度その快感を得るためにまたプレイしてみたくなります。
そして観戦者においても同様の現象が起こると、私自身ワールドカップ中に身をもって体験することとなり、このゲームのポテンシャルを思い知らされました。
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最初の内は精度を出すのは難しくはあるのですが、チュートリアルもきちんと段階を踏んだものになっている親切設計で、その後も出題範囲を可変させたりと自由にカスタマイズを行うことができ、遊び方の幅も豊富です。
是非皆様も、自分好みのやり方でGeoGuessrをお楽しみいただければと思います。
③ 知識獲得欲の刺激
詳しくは後述しますが、このゲームの攻略方法は一目瞭然です。
それは知識の獲得です。
出題範囲が世界中ということは、世界中の地理、構造物、植生、言語等を覚えれば良いわけです。
勿論、これは「言うは易し行うは難し」ではあるのですが、このゲームがきっかけとなり、様々なものに興味を持ち、プレイヤーの知識獲得欲が刺激されればそれはとても素晴らしいことです。
GeoGuessrというゲームは、ゲームを通じてこの世界というものを知ることができ、そして自分自身の視野拡大にも繋がるポテンシャルを持っています。
今後は、新たな教育ツールとしての役割も担ってくれるはず、と私はGeoGuessrに期待しています。
④ 偉大なる先人達の存在
このゲームが10年かけてここまでの規模になってきたのは、間違いなく熱狂的にこのゲームに向き合ってきた先人たちの存在が大きいでしょう。
彼らは研鑽を積むと共に、世界へ向けて情報発信を積極的に行ってきました。
彼らのプレイアーカイブは、動画サイトに多数保存されています。
観るコンテンツとしても、そして自身のプレイヤーとしての勉強の素材や目標としても、そういったものが充実しているか否かは実はとても大きな差です。
そして、彼らのこの功績によって、参加するコンテンツ、観るコンテンツの最高峰であるワールドカップが開催されたと考えると、この足跡、歴史こそが最も大きなGeoGuessrの魅力かもしれません。
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・GeoGuessrワールドカップとその見どころ
この項では10月に開催されたワールドカップについて、簡単にですがご紹介したいと思います。
ワールドカップ出場者
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今大会には世界各地の精力的に活動している動画クリエイターや配信者、そして予選を突破したプレイヤー達が出場しました。
特に参加選手達の地域に関してはかなり意識的に幅広く選出が行われたようです。
日本からはしいな選手が参戦し、今大会のオープニングマッチを見事、勝利で飾りました。
ワールドカップ試合ルール
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今大会は「デュエル」モードの以下の設定にて実施されました。
グループステージ:2セット先取
決勝ステージ:3セット先取
1セットは最大10ラウンドで競われる
先に相手のヘルス(体力)を0にするか10ラウンド終了時にヘルスが多いプレイヤーがセット勝利となる
各セットでプレイヤーに与えられるヘルスは6000ポイント
各ラウンドで獲得したポイントの差分がダメージとしてヘルスから引かれる
ラウンドが進むごとに差分に特定の倍率がかけられていくため、後半になればなるほどミスが大きく響く形式
各ラウンドの制限時間は60秒
ただし対戦相手が45秒以内に地点を確定すると制限時間は強制的に15秒に短縮される
マップはワールドカップ専用のものを採用
グループステージのセットは、「移動可」、「移動不可」、「移動・カメラ操作不可」の順で行われる
決勝ステージのセットは、「移動可」、「移動不可」、「移動可」、「移動不可」、「移動・カメラ操作不可」の順で行われる
制限時間60秒以内に地点を特定するという条件や、基本的には移動して位置を特定するゲームなのにセットによっては移動やカメラ操作もできないという、素人目線では到底考えられない驚きのルールだったのですが、解説のDaig_Oさんにそのことを聞くと、「まあ、可もなく不可もなく」ということを言っていました。いや、マジか。
ですが、試合が始まるとDaig_Oさんの言っていたことがすぐ理解できるようになりました。このレベルの選手達にとって、このルールはそれなりに乗り越えられるものだと、素晴らしいプレイの数々によって証明してくれたからです。
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地点特定のための要素
選手達は目に映る様々な情報から目標とする地点を導き出します。
この項では、大会中に見られたプレイから選手達がどのような要素に着目していたかを抜粋してご紹介します。
交通インフラストラクチャ―
Googleストリートビューは道に沿って撮影を行う関係上、交通インフラに関する情報が多く手に入ります
地域によって道路に引かれた線や標識、電信柱等の形状が違うため、それをとっかかりにして地域特定を進めるのがまずは基本となるようです
また、道に存在する自動車のナンバーについても各地域で違いがあるため大きなヒントとなります
植生
地域によっては道の舗装や整備をされていない地点も多く存在するため、周辺に生息する植物の種別も大まかな地域の特定に寄与してくれます
言語・電話番号
市街地には看板が多く設置されているため、そこに記されている言語や電話番号によって地域の特定が可能となります
特に今大会はインド地域の出題も多く、広大な国土ゆえ、正確に場所を特定するためにインドの地域ごとで使用される言語の違いを認識しているかどうかが大きく結果に表れるシーンも見られました
※参考 しいな選手のインド言語識別Guess
※参考 Blinky選手の鬼怒川看板発見栃木Guess
Googleカー
場合によってはGoogleカー(ストリートビュー撮影のための車)の姿が画像内に残っているため、その車の特徴から地域を絞ることができます(?)
Googleカメラ
撮影時期によってGoogleストリートビューを撮影する「カメラ」が変わるため、その画質から特定の地域に関しては地点の精査が可能となります(??)
丸暗記
地点を特定するためのとっかかりとなるものが少なかったり、特徴的な地域に関しては、選手によっては丸暗記での対応をするとのこと
今大会では、アイスランドの道を丸暗記している選手同士の対決も準々決勝で見られました(???)
※参考 Consus選手 vs Lennli選手 共にアイスランド”移動せず”満点特定
※参考 GameKnack 武蔵さんのマダガスカル挑戦集
選手達のワールドカップにかける想い
今大会に出場した選手達にとって、このワールドカップは特別な舞台だったのだと感じられるシーンがいくつも見られました。
思い通りのプレイができず自身への怒りをあらわにする選手や敗退一歩手前にまで追いつめられ涙をこぼす選手、そして勝って力いっぱいのガッツポーズを見せる選手達。
それらはこれまでのGeoGuessrの世界では無縁の光景だったかもしれませんし、見る人によっては異様に感じたかもしれません。
ですが、彼らのこの反応こそが、この舞台が極限の勝負の場であったことを物語っています。
勝利を勝ち取ることの難しさ、そして競い合うことの、勝負の尊さを選手達は見事に体現してくれました。
ゲーム内容だけでなく、画面に映る人の魅力やそこで生まれたドラマを映像から感じ取れたのならば、みなさんの中のGeoGuessrが間違いなくこれまでとは一つ違う次元のエンターテインメントへと昇華した何よりの証跡かと思います。
・ワールドカップは”2023”から”2024”へ
数々のスーパープレイや選手達の熱い想い、そして今大会を目の当たりにした観客達の熱狂的な反応を受けて、11月10日にはGeoGuessrワールドカップ2024のロードマップが発表となりました。
1月のオンライン予選、そして春夏の各地域決勝を経て、秋にワールドカップ本戦が開幕となります。
全世界の熱意あるプレイヤー達は本戦に向けて、そして私は2024年もワールドカップの実況ができることを夢見て、関わる方全員で2024年シーズンも実りあるものにしていきましょう!
The World Cup is coming back in 2024, bigger & better!
— GeoGuessr (@geoguessr) November 10, 2023
The journey isn't a sprint; it's a marathon.
We're going to crown three regional champions along the way and let players from all around the world battle it out to secure spots for the grande finale in the fall of 2024. pic.twitter.com/QAs9KhuAQA
・地上波でも『GeoGuessr』!
そんな今とてもHOTなGeoGuessrですが、なんとこの記事が投稿される日に、TBSテレビ「ジロジロ有吉」にてGeoGuessr特集回が放送されます。
ご興味ある方は是非ご視聴を宜しくお願い致します。
放送日時、12/2 (土) 24:58 ~ 25:28(土曜日の夜・日曜日の午前1時頃)
・締めと御礼
今回、ワールドカップ実況という大役を任せていただき、改めて関係者の皆様に感謝申し上げます。
視聴者の皆様にも、2日間とても暖かく見守っていただきました。誠にありがとうございました。
この記事で、少しでも皆様に恩返しできれば幸いです。
今回の記事を執筆するにあたり、GeoGuessr公式Xアカウントから画像を、Daig_Oさんの動画からリンクやスクリーンショットを多数使用させていただきました。ありがとうございます。
そして、最後までお読みくださった皆様、ありがとうございました。
それでは、また次の記事、放送、配信、現場でお会いしましょう!