ひと夏のチートデイを君と(小川彩_1話完結)
※小川彩ちゃんの選抜入り記念作品です。チートデイの歌詞を参考に作ってみました。もしよろしければ、全国ツアーの空き時間などにどうぞ※
高校3年生の夏休みも終わりに近づき、進学校に通う井上〇〇は、受験勉強に追われる日々を過ごしていた。恋人の小川彩もまた、勉強に集中していたが、どこか心が晴れない様子だった。
二人は付き合い始めてからもう一年近く経つが、忙しさから一緒に過ごす時間は少なくなっていた。
ある日、〇〇は自習室で勉強していると、ふと彩のことが頭をよぎった。
〇〇「もう夏終わっちゃうな…」
とぼんやり考えていると、急に彩との特別な思い出を作りたい気持ちが湧き上がり、〇〇は受験講座を抜け出すことを決めた。
その日の午後、〇〇は彩の元へ駆けつけた。自習している彼女に〇〇「ねえ、ちょっと抜け出さない?」と小声で話しかけた。
彩は驚きながらも「どうしたの、急に?」と聞きつつ、少しニヤリと笑って
彩「〇〇くん、まさか私のことサボらせようとしてる?」
と冗談めかして答えた。
〇〇「いや、彩がいないと勉強なんて手につかないんだよ。だから、海に行こうよ。どうせならさ、思い出作りに」
と軽く笑い返した。彩は目を輝かせ、
彩「えー、じゃあ行く!でも、ちゃんと〇〇くん、私をエスコートしてね?」
と甘えるように言った。
二人は〇〇の自転車に乗り、〇〇が前、彩が後ろに座る形で海へと向かうことにした。自転車の2人乗りは久しぶりで、彩が〇〇の背中にそっと腕を回すと、
彩「ねぇ、もっとスピード出してよ。ドキドキしちゃうの、嫌いじゃないからさ」
と、わざといたずらっぽくささやいた。
〇〇は少し困ったように
〇〇「もう、彩、調子に乗るなよ。でも…俺も嫌いじゃないかも」
と返し、二人は少しだけスピードを上げた。
彩は「ひゃっ!」と楽しそうに笑いながら、〇〇の背中にさらにしっかりとしがみついた。
やがて二人は海辺に到着し、自転車を降りて波打ち際を歩き始めた。彩は砂浜を歩きながら、
彩「〇〇くん、これからどうする?砂のお城でも作っちゃう?」
と、無邪気に提案した。
〇〇は笑いながら
〇〇「いいよ。でも、彩が手伝ってくれるならな」
と答えると、彩はすかさず
彩「もちろん!でも、ちゃんと褒めてくれなきゃ嫌だからね」
と、少し甘えた声で返した。
その後、二人は砂浜で遊び、海を眺めながらこれまでの思い出やこれからのことを話し合った。彩は普段の真面目な顔から離れて、〇〇といるときの素の自分を存分に見せていた。
日が沈む頃、二人は再び自転車に乗り、帰路についた。彩は、今度は少し静かになり、〇〇の背中に顔を寄せながら
彩「ねぇ、またこうしてどこか行こうね」
とささやいた。
〇〇「もちろん。彩が行きたいところ、どこへでも連れて行くよ」
と〇〇は答えた。
彩は満足そうに微笑みながら、
彩「ありがと、〇〇くん。今日、ほんとに楽しかったよ」
と彼の背中にさらにしがみついた。
こうして、二人の高校最後の夏休みは、特別な思い出として心に深く刻まれた。受験のプレッシャーの中で見つけた、かけがえのない一日のチートデイが、二人の絆をさらに強くしてくれた。