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スピイベント潜入記③【2020年10月6日、7日「シンデレラ・プロジェクト」】


(②はこちらから)

◇◇

■「ありまぁーーーす!」

ねえ、今まで見てきたじゃん? 素人さんたちのステージ。
それはもういいんだよ。こんな感じって大体は予想できてたから。
でも次のステージは度肝抜かれたね。

「協賛ステージ」
happy様による関連企業の宣伝を出す3つのステージだ。ひとつにつき15~20分ほどだろうか。

「自分がきちんと使っている宣伝したい商品。自分が心からいいですよって言いたい企業。自分の主宰で自分の会社に協賛してもらう」とhappy。
お前、もう予定時間から50分も遅れとんねん!
まいてけまいてけ、そんなもん!

まずは新たに立ち上げた化粧品ブランドのプロモーション。
「静かな場所で入れてください」と社長さんが言ったそうだ。それなのにさっきまで安室と浜崎と松田聖子に強引にトランスフォームしたおば様たちがはしゃいでいた場所で始めちゃう。やさしいね。

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暗転。舞台だけ照らされ、拍手の中、社長の男性が笑顔で登場。
「プリンセスプロジェクト」と言ってしまったのはご愛敬。
スクリーンでスライドを使ってシルクロードの解説から入り、happyブランドの化粧品に使われてる絹(シルク)のことをしっかりと説明してくださる。
ふむふむ。ほう、なんと4週間で目尻の小皺が! 確かな根拠! なるほどなるほど、そういう効能ならそれは
……じゃ、ないんだよ。これ、ただのセミナーじゃねえか!

さっきまでのステージで盛り上がっていた感情をどこに持っていけばいいんだよ。(盛り上がってなかったくせに)

スライド説明を終えると、happyをまじえて83歳の会長のおばあ様も登場して対談開始。すごく温和で優しそうで人がよさそうだ。怪しいところが感じられない。
対談の中で「猛烈なオファーをさせてもらった」と語るhappy。怪しいのはお前だけだ。

happyは「外部契約をしたことがないのに(自分の)熱意が伝わってご縁をいただいた。大企業のオファーもあるけど理念のないところと組まない姿勢も大好きだったので是非ともという形で」とのこと。
これさ、子宮委員長八木さやが化粧品を出した時もほぼ同じようなことを言っていたんだよ。
本当だとしたら、なんでちゃんとした大企業を全部断ってスピリチュアルな教祖様にはつくんだよ。
バスケット部辞めて不良グループに入るんかよ。大人になれよ、メーカー…。

化粧品はいよいよこのイベント後に発売とのことでした!
はいはい!楽しみね!はいのはい!

もういいっ! 次だ!
happyの大親友である脚本家・旺季志ずか氏(吉本興業所属)のステージ。ご自身の小説のプロモーションのための演劇とのこと。
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あ、すんません嘘です。リンクなんか貼りませーん。


演劇は、白衣を着た方々の「モテ薬」開発の記者会見の場という設定。
プロの役者さんたちを使っているようだ。罪は全くない。仕事だ。

ショーを盛り上げるための真面目なセリフの後のガヤの「モテ薬! モテ薬! 世界を変える、モテ薬!」「モテ薬! モテ薬! 世紀の発見、モテ薬!」という謎のかけ声がやけにツボってしまい、「あかん……堪えろ……」と思わず拳を握り込む。

マウスの実験でメスがオスに殺到して血の海になった、とか。
「血の海だ! 血の海だ! モテ薬は血の海を呼ぶ!」
分かった分かった。分かったよ、もう。

出演者たちの黒い感情の去来を示したいのか謎の白黒衣装のダンサーが、照明もそこそこに一人で不穏な踊りをしている。(ステージで最後までずっと激しくいろいろ舞っているだけ)

最後はなんやかんや記者役に追及され、教授役の男性が死んでしまう。
「誰だ! 誰だ! 殺したのは誰だ! 誰だ! 誰だ! 嘘つきは誰だ!」などという大勢のざわつく演出や、疑われた研究者の男性の「私にとって教授は大学の階段を上る踏み台だぞ!殺すわけがない!」などのセリフに、「っぐうう……」と歯を食いしばり思わず拳を握r

で、最後は女性研究者(主役)にスポットライト。
悲劇的な演技で手を伸ばしながら唐突に叫ぶ。

「モテ薬はありまぁーーーす!」


ドーンと暗転フィニッシュ。

これさあ……。ダウンタウンの年末特番で、やけに豪華キャストの寸劇をメンバーが並んで座って無理やり見せられてるやつじゃないんだよ。(ででーん、黒猫アウトー)
まあいいや、終わったことだ。

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明転してマイクを持って現れた旺季氏(ピンク色の髪をかわゆくアップにしてかわゆい肩出し衣装)は、「“スタップ細胞”を3年の歳月をかけて取材、エンタメのミステリー小説にした。女性に力を取り戻す本」とPR。
ようやるなあ。あの件ってマジで一人亡くなってるんやぞ。

なんかそのままの流れで旺季氏の舞台のメッセージ・オラクルカードや、「周波数」で体を整えてオーラが見える機器の宣伝。
キャストの紹介をして、舞台にセリフなしで大勢出ていたガヤの方々が自分の演劇スクールの生徒だと披露した。
「フィクションだけど、取材からインスピレーションを得て、めっちゃエロい、めっちゃおもろい話。女の人には絶対に読んでもらいたい」と最後まで力強い旺季センセでした。
ご興味のある方はぜひ、その興味を失ったとしても別に個人の自由だと思います。


はいはい。どうもね。宣伝ステージの最後ですよん。
しかしまあ、もう開始から4時間だよ。
終わってんねん、当初の予定時間では!

まーたファッションショー始まったよ! 飽きたって!
ものすごく派手目だが信者さんに普段使いしてもらいたいっぽいパーカーやジャケットなどを着たモデルさんが登場。

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最後はhappyの側近であるデザイナー成りたてのご夫婦が先頭で現れ、感無量の様子でステージ上でハイタッチを繰り返して一礼。

このご夫婦はhappyの広報誌のような自費出版ムックを以前つくっていたのでよく覚えている。数千万円売り上げたとか。信者マジすごい。

その件は私の連載でも取り上げたことがある。
→ 「スピリチュアルから「目が覚めた」――元happy信者の告白」


今回この側近のご夫妻のショーもhappyが持ち上げ、「色々ストーリーがある。農協とかのデザインをしていたのに(いいじゃねえか別に)それがこんなかっこいいブランドを自分達で……」と苦労話を振ると、奥様は泣いて声にならない。
「しゃべれない…。ありがとう本当に…」

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第1回シンプロではオーディションを経てモデルをしていたという。
それが今はこのショーのモデルをオーディションで選ぶ立場に、と。
本当に出世したなあ。信者はみんなこういうサクセスストーリーに憧れるのだろう。
いかに特殊技能を持って教祖のお気に入りのお友達になれるかがカギなのだ。
私も専属ライターやらせてくれねえか。50兆円くれるなら考えてやってもいいぞ。ボロクソ書くけど。


■「やりやがったな」

「私に時間ちょーだい」ステージだそうだ。
ここはかなりでかい問題だ。

まずは劇団四季のミュージカル「CATS」。
マジでどうやって許可とったんだろうなあ(棒読み)

CATS募集


「生まれたのか 闇の中に」で始まる「ジェリクルソング」でダンスする素人たち。
それなりにしっかりとCATSの猫化粧をしているが、その中にはエヴァやキティちゃんのコスプレをしているふざけた奴もいる。

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みんな練習したのだろうが、ヘラヘラしながらでキレはない。
浅利慶太氏も草葉の陰でキレるだろう。

続けて、ダンサーが全員入れ替わり、今度は赤い衣装を着た大勢のおば様たち。ミッキーマウスの「君ほどのスターはいない」という歌に乗せたダンス。
こちらの歌詞がうしろのスクリーンに表示されるのだが、「ミッキーマウス」と歌う時だけ明らかに歌詞が表示されない。
って、ことは確信犯だろ!
やりやがったな。強く怒られろ。

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最初に片足義足のおばさまが一人でランウェーへ。(ちょっと意図は分からなかった)
そのあと、「脱毛」と書いた半紙を持ったよく分からない獣みたいなコスプレの人と入れ替わる。
だから内輪ネタやめろっつってんだろ!何も分からへんねんこっちは!(潜入しといてブチギレ)

そのままCATS班と合流し、ディズニーメドレーでダンス。マジに怒られろ。
何をやりきった顔してんねん。

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司会の鯨井さん「素晴らしかったですよ」と言うと、集団の中からゴージャスなピンクドレスのhappy登場。ダンスの最後にちゃっかり入っていたらしい。またお前かよ。

鯨井さん「ネズミと猫だよね。いいのかな……」
ステージの演者、ドカーン大うけ。
言ってもらいたかったんだろうね。はいはい。

happy「ディズニーランドと、劇団四季の」
鯨井さん「言っちゃったねえ、い、いいの? いろいろ問題とかあると思うけど……」
happy「大丈夫大丈夫(ヘラヘラ)」。絶対に怒られろ。


なんと元・劇団四季の人もいるとか。四季に入る夢は叶えたがCATSに出ることは叶わず、ここで夢が叶えられたことを振られると、ステージと会場からも大拍手。
いいのかそれで。「ありがとうhappyちゃん…」。
いいんだな。はいはい。

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happy「四季でCATSに出ていたら言う通りにやらなきゃいけないわけじゃん。ここならリーダーだもん」
そらそうだろ。何言ってんだてめー。


はい次が一日目ラストです。(やっとか)
「フェアリーフラワーコレクション」

なんと浜崎あゆみや島谷ひとみの衣装のデザインも手掛けたことがあるデザイナーの方によるファッションショーだと。またファッションショー……。

みんなでhappyとリハーサルなどして苦労している映像が流れ、一緒に涙も流しつつみたいな。BGMは「Progress」(スガシカオ、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」のテーマ)
はあ……なんでもかんでもお前らは本当に……。

頭にでかいお花をつけた24人の女性たちがでてくる。
灰色や茶、薄い単色などの割とシンプルなデザイン。みんな長めのスカートをひらひらさせ、いい笑顔。
モデルさん達の年齢層はおそらく今までで一番若く、「へえ」と思うような美人さんも何人かいた。

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最後は女性デザイナーさんが登場し、happyと熱い抱擁。今まで一番の大号泣をしていらっしゃる。
happyがその理由を明かす。浜崎あゆみの衣装などを手掛けていたが病気と家庭の事情などで田舎に戻っていたそうだ。

3年ぶりに、かつてチームを組んでいた職人さん達もここに集結したとのこと。ステージ上のモデルさんには闘病中の方もいた。…とかいう感動話を畳みかけて来る。ちょっと責められん。

でも申し訳ないけれど、正直言って嫌だ。こういうの。
実はこのレポートではちょっと省いていたが、全体を通じて所々でこういう病気や辛い境遇などの「感動話」があった。
どうとらえるかは人それぞれだろうが、私は嫌だった。本人は責められないだけに。


初日フィナーレ。
happyは司会の鯨井さんに第1回シンプロからの苦労話などをしつつ「優しいみんながいるから成立する」などと語る。

最後はランウェーを一人で歩きながら、下の観客に向け「楽しかった?」「明日までいっぱい思い出つくりましょうね?」「あ、うちわ持ってる人がいる」「あ、あなた明日カラオケあるよね?頑張ってね」などと声をかけていくようにして去って行った。
うーむ、余裕の振る舞いがすごい。さすがだ。

一日目が終わった。
驚愕! 終了予定時間からなななんと80分押し!!
どこの世界にそんなイベントがあんだよ!

不思議だったのは帰り道、海浜幕張駅までお客さんみんな無言で早足。
考えてみるとそれもそうだ。みんな独りで寂しく帰っている。
仲の良い人がいたり、所属グループ? 班?を得たりした信者ならば今日のステージに出ているはずなんだ。
「いつかは私もあの舞台に……!」
そう強く思っていた人ばかりなのだろうか。

なんかすごく、辛いな。


― 続く ―

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黒猫ドラネコ
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