観察力を磨くためのデザインアプローチ
デザインは観察からはじまる。と言われています。
それは、ユーザーの行動やニーズはもちろんのこと、クライアントのおかれている環境、新製品のこと、製造方法や素材のことなど、商品のまわりにあることまでしっかり観察することで、様々な状況や特徴を理解することができるからです。
観察力とは
観察力とは、周囲の状況や対象物に対して敏感に注意を払い、細部や変化に気づく能力です。
観察する対象は、様々ありますが、私は、モノ(商品)のデザイン・設計を行っているので、おおきく「人」と「モノ」を観察します。
人を観察するポイント
観察する対象に集中し、細部や変化に敏感になることが重要です。特に商品をつかうときの言動(掛け声やふとでるつぶやき)や仕草、表情、環境などを注視し、情報を収集します。
言葉だけでなく、ボディランゲージや表情、声のトーンなどの非言語的な要素にも注意を払います。これにより、より深い洞察や感情を捉えることができます。
ちょっとした置き方、どこを持つか、体全体とのバランスなど使い慣れていない人、使い慣れている人など対象をかえながら観察をします。
モノを観察するポイント
まず、「使い手視点」で、モノのカタチや質を詳細に観察します。サイズ、色、質感、デザインの特徴など、視覚的な要素に注目します。
モノがどのような機能を持ち、どのような目的のために使われるモノかを観察し、触ってみます。モノの使用方法や機能の特徴を観察し、目的に対する適合性を評価します。ユーザーがモノを使う際の経験や感情を観察します。ユーザビリティ、使いやすさ、快適さ、満足度などを考慮します。
次に、「作り手視点」で、モノの構造や素材を観察します。部品や組み立て方法、素材の耐久性や柔軟性などを確認します。
モノの製造、使用、廃棄などが環境に与える影響を観察します。環境への配慮や持続可能性について考えます。
最後に、モノと人との関係性を観察します
モノが人々とどのような関係を築いているのかを観察します。モノが提供する利便性、快適さ、喜び、情報の伝達などを考えます。
観察するときには
観察するときには、メモや記録を取ることが役立ちます。映像での記録は見直しとしては役に立ちますが、観察した情報や感想、気づいたことを記録しておくことで、後で振り返りや分析に役立ちます。空気感のようなものは映像には残らないので、自分のその時に気づいたことなどを積極的にメモします。
また、観察対象の人に対してフィードバックを求めることで、より深い洞察を得ることができます。質問をする、意見を尋ねるなど、相手との対話を通じて情報を得ることができます。
観察力向上の秘訣は積極的な観察にあり
観察の方法やアプローチは、観察する対象や目的によって異なる場合があります。研究やデザインなど特定の目的を持った観察では、より体系的な方法やプロトコルを用いることもあります。
観察力は経験や訓練によって向上するため、積極的に観察することでスキルを磨くことができます。
日常の生活の中でも、様々な「観察」ができます。私は、歩きながら、電車の中で、そして、身の回りのモノなど、積極的に観察することが、発想の源になっています。