幕末の城下描いた画集と散策/キリシタン悲話の現場も残る/津和野町
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★城郭 津和野城
津和野百景図という画集がある。江戸時代にこの地を治めていた大名家亀井家の当主が、明治になって領地の様子を残しておこうと藩士だった絵師に描かせたものだ。
その名の通り城下を中心に百の情景が描かれている。江戸期の城絵図は多いが、城下の風景をこれだけ網羅的に描いたものは珍しい。幕末ごろの地方城下町の様子を知る資料として極めて重要だ。
このため、文化庁が定める日本遺産に認定され、城下の中心部に立派な日本遺産センターがある。城下を巡るなら、ここで「津和野百景」のパンフレットをもらってから行くといい。描かれた絵と現在の場所がよくわかる。
そうして歩いて驚くのは、今の景色と当時の絵とが、頭の中で違和感なく繋がることだ。そびえ立つ青野山や鷲原八幡宮の大杉などの自然が変わらないのはわかるとして、津和野には往時の風情がしっかり残っているということか。
有名な奇祭、鷺舞などは今の絵と言われてもわからないだろう。津和野踊りなどの衣装も同様だ。城山での松茸採りや、川での鮎採りなど、当時の生活の様子が描かれているのも面白い。もちろん異なっている点も多い。白壁の土蔵や武家屋敷などはほとんど残っていない。そちらは逆に「ここにあったのか」と想像する楽しみがある。
森鴎外(もり おうがい)や西周(にし あまね)など、津和野では明治の知の巨人が生まれて、その生家も残っている。二人がこんな風景の中を歩いたのか、と感慨に浸れる道もたどれるし、通った藩校の養老館も残っている。
西周旧居
もう半世紀にもなろうかというディスカバージャパンキャンペーン以来、津和野といえばある種憧れの観光地というイメージだが、実は宿泊客は意外
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