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初のオリジナル富士見ポイントは荒川区
「東京、びっくり富士見ポイント」記事一覧
地図で探索、検討 現地調査で諦めず発見
今回の富士見ポイントは、私にとってかなり感慨深いポイントです。これまでご紹介してきた富士見ポイントは、いずれもそれまでに誰かが「富士山が見える」と認識してきた場所です。目次ページで触れている、昨年亡くなられた展望研究家の田代博さんの著作などを参考にした場所が一番多く、有名でないポイントでも、記事に書いてきたように、現地に行くと「富士山が見えます」などと書いてある場所ばかりでした。
しかし今回のポイントは違います。調べた限り、どこにも視認情報が乗っていません。それもそのはず、今回のポイントは、私が地図と睨めっこしながら「見えるのでは」と推測して調査したポイントだからです。そして実際に見えたのですが、予想ポイントの見え方は貧弱で、「これは紹介できないかな」と思って諦めかけたのを思い直し、周囲を歩き回って見つけたポイントなので、「頑張ってよかった」と喜びもひとしおなのです! たかが富士山が見えるだけで気張ってすいません!(笑)。
さてポイント紹介の前に、富士見ポイント調査でどのように地図が使えるかをお話しします。関東の人は富士山が好きで、特に最近は富士山頂に陽が沈む「ダイヤモンド富士」の撮影がブームです。必要があれば応える人あり。国土交通省が、絶好な場所を紹介した「ダイヤモンド富士」(https://www.ktr.mlit.go.jp/honkyoku/kikaku/fuji100/highlight/diamond.htm)というサイトを公開しているなんてのは序の口で、「富士山とともに」(https://fujisantotomoni.jp/app/map/)というサイトでは、任意の日に、どこでダイヤモンド富士が見られるかを瞬時に表示してくれます。
また「富士山ココ」(https://info.jmc.or.jp/fujisankoko/#7/35.361/138.727)というページでは、ある場所で富士山が見えるかどうかを、一辺10メートルのメッシュで表示してくれます。さらにスマホやタブレットで使う地図アプリの「スーパー地形」では、地図上の任意の2か所で見通しが利くか調べられます。一方に富士山頂を指定すれば、任意の場所から富士山が見えるかをすぐに判定できます。
ただし、これらは地表面からの話。つまり建物の影響は分かりません。実は23区内は先ほどの「富士山ココ」などによるとほとんどの場所で富士山が見えることになっています。実際にはビルなどに遮られて富士山は見えないところばかりです。だからこそこういうマガジンを書いているわけです。
「スーパー地形」では都心の一部で建物の3D情報も入っており、ビル陰で見えるか見えないかなどの予想ができますが、地域が極めて限られている上、移り変わりの激しい都心でどこまで新築ビル情報が更新されているかは分かりません。
しかし既知の富士見ポイントでもこうした地図サイトを使って調査することで、どのビルの近くに富士山が見えるか、手前の山地との関係はどうなるのか、などが分かります。
そしてこうしたサイト等を駆使して、未知の富士見ポイントがないか、探してみようと思いました。それには地形図などとにらめっこすることも必要です。東京から見て富士山はだいたい西南西に位置します。ですからその方向に深い谷があったり、そちら側が開けた高台、空き地があると、富士山が見える可能性は高くなります。
候補地を選んだら富士山頂と線で結び、間に邪魔になるビルがないか確認します。しかしなかなかいいポイントはありません。
そうした中で「ここはいけるのでは」と思わせたのが今回のポイント、南千住です。JRや東京メトロの南千住駅のそばには、広大なJR貨物の隅田川駅があります。敷地はちょうど富士山が見える方向に長く、空中写真で見てもほとんど建物がありません。さらに東側には広い道路があり、そこに面した出入り口はかなり広く、富士山が見通せそうです。
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さすがにストリートビューなどでは富士山方向の空を確認することは難しいので、ある冬空の早朝、確認に行ってきました。
しかし行ってみると、貨物駅西側の旧日光街道沿いや土手通り沿いに意外と高層ビルが多く、どうも視界が利きそうにありませんでした。手前に見えるはずの丹沢の黒い山塊すらチラリとも見えません。
結局当初期待したポイントでは全く富士山は見えませんでした。がっかりしましたが、地図上に引いた富士山が見える視線上をまずは遠ざかって確認してみました。そこにはちょうど道が伸びており、両側は高層マンションです。しかし見えません。さらに後退して広い幼稚園の敷地脇の縁石に登ってみましたがやはり見えません。
諦めかけた時に、道路の反対側に渡って富士山がある方向を見たときに、なにやら白いものが遠くのマンションの上に見えました。肉眼でははっきり分かりません。こんな時のために双眼鏡を用意しています。ハンディタイプの7倍です。このくらいでかなりはっきり富士山は見えます。
幸い、その白いものは富士山でした! そこで望遠レンズで撮ったのが下の写真です。
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うーーん。しょぼいですね、確かに富士山で、見えているのは頂上部分なので私の基準には合致していますが、こんなに小さくてはちょっと記事として紹介はできないかなあ、と思いました。
まあしゃあないか、と帰りかけて、「念の為、隅田川駅沿いの道を歩いて確認してみよう」と、ふと思いました。えらいぞ自分! これが大正解。隅田川駅と道路を挟んで反対側のマンション沿いを歩いていると、ある場所だけ駅の周囲の木がV字状に低くなっている場所があり、なんとそこから美しい富士の斜面が見えるではありませんか!
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しかしその範囲は歩道沿いの数メートル程度。これは気がつかない人がほとんどでしょう。我ながらよく見つけたと思います。右にある高いビルは「都営南千住2丁目アパート」と書いてあります。都バスの南千住車庫上のマンションです。富士山は頂上の右端が少し隠れているようですが、ほとんど見えています。左の裾野がきれいです。隅田川駅構内の照明塔がちょっと邪魔ですが。遠くの建物は東京メトロ三ノ輪駅あたりのビルです。
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いやあ諦めないで頑張る、大事ですねえ。 スポ根漫画みたいな締めで恐縮です。
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