豊かな水と朝市が楽しめる/樺太まで開拓した先進藩の足跡/大野市
★「日本の城下町を愉しむ」一覧
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★都道府県 福井県
★城郭 越前大野城
大野市は福井平野の東、山あいの道をすり抜けてトンネルを出ると、突然広がる盆地の小宇宙だ。北アメリカプレートが北アルプスを東からギュウギュウ押して大地にシワが寄った窪地に、九頭竜川などが運んだ土砂が堆積してできている。そして周辺は豪雪地帯。必然的に地下水が豊富になる。
あまりに地下水が豊富なため、水は湧き水や井戸などという大きさではなく、あちこちに池となって出現する。それを大野の人たちは昔から利用してきた。
代表的なのは名水百選にも選ばれている「御清水(おしょうず)」だ。1576年に金森長近が大野城と城下町を整備した際に造られた、殿様も使う水場だった。城の堀のように石垣でしっかりと囲み、屋根がかかり、湧き口から順に飲料用、野菜洗い用、洗濯用と分かれている。道を挟んで無料の休憩所もあって、水を飲んで休憩するのにちょうどいい。
この水場には本願清水という水源があり、そちらはもっと広い。しかも淡水型イトヨという、産卵期に巣を作る珍しい魚が生息している。近年生息域が減って絶滅危惧種となり、この場所は国の天然記念物に指定されている。池に面して「イトヨの里」という施設も整備され、水面下のイトヨの巣作りなどが観察できる。
さらに南に行くと篠座神社(しのくらじんじゃ)の御霊泉があり、水がボコボコと音を立てて吹き上がっている。古来眼病に効くとされる。織田信長に敗れた朝倉義景の墓も近くにあるが、そこにもイトヨの棲む池がある。
市街にも五番清水、七間清水、新堀清水、芹川清水など多くの湧き水があり、町の人たちが水を汲みにきている。名水を飲み歩くと自然と城下巡りに
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