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未来のUIは、待機画面が主役? “待ち時間”をデザインする発想


ある朝、コーヒーを待ちながら

ある朝、コーヒーメーカーのスイッチを押して、コーヒーが出来上がるのをじっと見つめていたんです。待ち時間はせいぜい数十秒なのに、意外と長く感じる。なんとなくスマホを見たら、ちょうどアプリがローディング中でクルクルしていて、「ああ、こっちも待ち時間だなあ」なんて。

そのときふと思ったんですよ。「もしこの待ち時間が退屈じゃなくて、むしろワクワクするものだったらどうなるんだろう?」って。UXの勉強をしている身としては、この“わずかな待機時間”をもっと面白く演出できないかと妄想が膨らんでしまい、この記事を書いてみることにしました

なぜ“待ち時間”をデザインするのか

アプリやWebサイトで、ローディング中は当たり前に「ちょっと待ってね」的な画面が出ますよね。あの数秒、意外と記憶に残ると思いませんか?

たとえば、SNSを開いたときに「○○さんの投稿を読み込んでいます…」みたいに出てくると、「なんかワクワクする!」とまではいかないけど、そのタイミングで画面にちょっとした遊びがあったらどうでしょう。プログレスバーがダンスを始めたり、何か可愛いイラストが動いたり、「この豆知識知ってる?」的なトリビアが表示されたり。数秒とはいえ、人間にとって待つ時間は意外と長く感じるからこそ、そこにポジティブな体験が差し込めれば、“嫌な待ち時間”を“次への期待感”に変えられるんじゃないかと。

短縮するだけが能じゃない。 もちろん、処理速度が速いに越したことはないけれど、もし待ち時間がどうしても必要なら、その「アイドル状態」をエンターテインメントに変えるチャンスにする。これが今回のテーマです

アイドル状態はエンタメの宝庫

ふと昔のゲームを思い出すんですよ。読み込みに時間がかかるRPGとかでは、待ってる間にキャラクターの小芝居があったり、画面に意味深なヒントが出たり。ああいうのって妙に印象に残ってません? あの“チラ見せ”が、むしろプレイヤーのワクワクを高めていたような気がして。

たとえば、ロード画面で「次に訪れる街には○○がいるらしい…」みたいな情報が表示されるだけで、「早くロード終わらないかな!」と気持ちが盛り上がるんですよね。これはゲームに限らず、日常のアプリでも応用できるのでは? “最短でロードが終わる”というのも美徳だけれど、それでも1秒や2秒は待ちが発生する。だったらそこをユーザーが楽しめる“ミニコンテンツ”にできれば、退屈な時間がちょっとしたエンタメに化けますよね。そういった工夫が、アプリの設計において、大事だなと最近思うようになりました。

こんな“待ち時間エンタメ”があったら面白いかも

具体的にどんな演出が考えられるのか、私の妄想を幾つか挙げてみます。

  1. 豆知識や質問表示

    • ロード中にワンポイントの豆知識や、ユーザーに問いかけるクイズを表示。回答をタップできるようにしておくと、結果を見たいがために“もうちょっと待ちたい”気分になるかも。

  2. 進捗バーを使ったミニゲーム

    • ただのゲージではなく、タップやスワイプでゲージが走ったり、キャラクターが駆け抜けたりするようにして、ユーザーが画面を触るとちょっとした動きが起きる。終わると同時にロード完了、みたいな演出。

  3. チラ見せプレビュー

    • 次に表示されるコンテンツの一部を先行公開。「この続きをすぐ見たい!」と思わせる構成にすることで、待ち時間の数秒がむしろ期待感を盛り上げる時間になる。

  4. アプリの使い方やヒントを表示

    • 新機能の簡単なチュートリアルや、ちょっとした操作のコツを紹介する。待っている間に自然と学べるので、ロード完了後のアクションがスムーズになる。

  5. カスタマイズ可能な待機画面

    • 好きなイラストやキャラクターを待機画面に設定できるようにしておく。ユーザー自身が“待ち時間”を好きなものに変えられるというのも楽しそう。

こんなふうに、少し工夫するだけで、待ち時間がちょっとしたエンタメタイムに変わります。もちろん実装コストやユーザーの好みに合うかどうかなど、クリアすべき課題はありますが、そこを攻めるだけの価値は十分あると思います。

まとめ:余白を活かすことでUIはもっと豊かになる

私たちは時間をできるだけ無駄にしたくない生き物です。でも“待ち時間”はある程度必ず発生するもの。そこで、できるだけ短くする努力も大切ですが、それと同じくらい「待つことを楽しみに変える」工夫も重要なのではないでしょうか。

実は、ちょっとした余白やインターバルの使い方こそが、そのサービスの印象を大きく変える鍵になったりします。ロード時間があっという間に感じる仕掛けがあれば、ユーザーはストレスよりも楽しさや期待感を覚えますし、その数秒が「これから始まるコンテンツ」へのワクワクを高める時間にもなる。

もしUIデザインをする機会があったら、“待たせる”というネガティブな要素を“待っている間も楽しい”ポジティブな要素に変えられないか、ぜひ考えてみると面白いはずです。もしかすると、そんな細やかな気づかいがユーザーの心に深く響き、他のサービスとの差別化にもつながっていくかもしれません。

これからは、処理の速さだけを追求するのではなく、処理中にも楽しませる。そんなデザインのあり方がどんどん進化していくはず。
コーヒーが落ちるのを待ちながら、そんな未来を想像してみるのも悪くないですよね。

以上、UX学習中の私が、朝の一杯のコーヒーから気づいた「待ち時間のデザイン」について、あれこれと考えてみました。少しでも皆さんのアイデアのヒントになればうれしいです。

それでは!


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