ちゃんと教育して叱ってくれ
僕には二十四歳になる部下がいる。
(↓こちらを参照)
同じ現場で働いている、所謂「直属の部下」というやつだ。
年齢はちょうど一回り下(干支が同じ)だが、向こうも気兼ねなく話をしてくるし、僕としてもそれなりに可愛がっている。
ちょっと能天気で軽薄な印象はあるが、心根の優しい良い奴である。
仕事も出来る。頭の回転も早い方だと思う。
ただ、ものすごく馬鹿だ。
ちゃんと裏はとってないので、いい加減な事は言えないが、多分ほい卒だと思う。(※ 最終学歴が保育園の人)
ちょくちょくビックリするような事を言い出したりする。
日頃、雑談をしながら、
「もしかしたら、これはネタになるかもしれない」
と思い、幾つか奇天烈発言をメモっていたのだが、この度めでたくnote一本分くらい溜まってしまった。
思ったよりもずっと早く溜まってしまったのが嬉しいやら情けないやらで、なんとも言えない気持ちにはなったが、せっかくなので僕のツッコミと共に書き記しておこうと思う。
*
“田中圭と同い年なんすね!すげぇ!”
すごくないよ。別に。
俺、何もしてないよ。
しかも調べたら同い年じゃないし。
この感情をどこに着地させたらいいのよ。
もう、どうしたらいいのかわかんないよ。
生まれて初めてなんだよ。この感情。
“そんなの余裕っすよ、俺を誰だと思ってんすか?俊足 光ですよ”
誰だよ。そいつ。
お前「俊足 光」じゃないだろ。
なんだそのコロコロコミック連載作の主人公みたいな名前。安っぽいな。
確実に一番速い奴じゃん。
ちょっと面白そうだよ。読みたいよ。
“無理は沈没ですからね”
沈んじゃったよオイ。
それを言うなら「禁物」だろうが。
何がすごいって、笑わせようとわざと言ってんじゃなくて、ガチで間違えて覚えていたのがすごいよ。
日常でもまぁまぁ使う言い回しなのに、誰からも指摘されなかったのが不思議で仕方無いよ。
“マジっすか!それ、ヤバスティック・パイナポーっすね!”
流行ってんのか?それ。
お前から二回くらい聞いたけど。
「一応調べておくか」
と、ググってみたら全然ヒットしねーでやんの。
作ったのか。
流行らせたいのか。
無謀だぞ、それは。
“ちょっと、お高いスーパーあるじゃないですか、あの、キジョ―イシイ?でしたっけ?あ、違った。成城石井だ”
どういう覚え方してんだ。
頭ん中、ソレばっかか。
中学生か。中学生の休み時間か。
『ワイマール憲法』と『ヴェルサイユ条約』の年号だけ覚えてる中学時代の俺か。(※ どちらも、1919年)
“え、マジで言ってんの?ウケんだけど!”
おい、友達か。
上司だぞ、俺は。
確かにフランクに接し過ぎた感は否めない。
でも、社歴や年齢の差で変な壁は作りたくないし、
委縮させて言う事を聞かせたり、言いたい事も言えずに不満を溜め込ませる環境は良くないと思ってやってたんだよ。
そしたらこれだよ。
こわいよ。若者の距離感の詰め方マジでえぐいよ。マジで俊足 光だよ。
……まぁ、これは普通に怒ったけど。(結果、委縮してたけど)
“何聴いてんすか?…あ、それ知ってますよ。今売れてるやつでしょ。白目でしたっけ?”
『白日』だよ。マジかお前。
久々に「膝から崩れ落ちる」を体験したよ。
ファンに殺されるぞ。
どうせYouTubeのサムネイルをチラ見しただけだろ。だから勘違いするんだよ。さらっと生きるな。スライムみたいにネバネバ生きろ。いちいち、くっ付け。ちょっと目を離した隙に子供の前髪にくっ付け。そして前髪ぱっつんにするしかない状況になれ。俺が言いたいのはそれだけだ。
“俺の中で裕らくさんは、こんな大人になったら終わりランキング一位です”
お前にだけは言われたくないよ。
俺ね、音楽やってたときの師匠がいて。
その人の事尊敬してたし、今もしてるけど
「こんな大人になったら終わりだな…」
って常日頃から思ってたよ。
でも悲しい哉、今けっこうその人みたいになってるんだよ。
だからお前もこうなるよ。多分。
シンパシーを感じるってそういうこと。残念だったな。
“…あんた、ろくな死に方しねーっすよ”
悪かったよ。
嫌いな取引先のおじさん(やけに高圧的)の物真似を悪意たっぷりでやってたのは、確かに俺が悪かったよ。
でも一番最初にやったのお前だからな。
どうかしたら、俺はそのときのお前の物真似の物真似して笑ってるだけだからな。お前もろくな死に方しないし、きっと天国には行けないぞ。そしたら地獄でまた会おうな。地獄で一緒にどうぶつの森やろうな。
*
世は大変な事になっている。
当たり前に来ると思っていた明日が。
当たり前に続くと思っていた日常が。
もしかしたら、やって来ないかもしれない。
そんな中に僕たちは居る。
閉塞感と不安感にどうしようもなくなる瞬間もあるかもしれない。
しかし、その一方でこんなくだらないやり取りをしている馬鹿二人も同じ時間軸の同じ世界線に居る事を忘れないで欲しい。
ほんの少しだけ気持ちが軽くならないだろうか。
……ならないよね。
まぁ、とにかく。
うがい、手洗い等の予防は勿論。
人混みはなるべく避け、不要不急の外出は控える。
自分と大切な人を守る為にも。
そして、何よりも。
しっかり食べて、しっかり寝て。
そして、ほんのひとときでも、しっかり笑おう。
その為ならなんだってする。出来る限りで、だけど。
とっておきの、すべらない話が幾つかあるよ。ほとんど下ネタだけど。
そんな感じで。
明日も生き抜こう。
あ、でも、無理は沈没だよ。