脳内 某所にて
時を遡ること約二か月前
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「では2019年7月18日、第7908163回 脳内会議を始める」
「議長、noteにアカウント登録しようと思っています」
「どうした、藪から棒に」
「我々がFacebookにて記事を投稿しだしたのが今から約三年前です」
「もうそんなに経つのか、あっという間だったな」
「友人達も我々なんかが書き連ねる駄文を読んでくれて、感想なんかも寄せてくれたりもしました」
「まぁ、大半が『長くね?wwww』という感想だったが、概ね好評ではあったように思えるな」
「そこで、です。もう一歩外界に向けて踏み出したいと思うようになりました」
「なるほど、それでnote進出か。Twitterも嫌いじゃないが、如何せん140文字の制限は我々には些か窮屈だしなぁ」
「そうなんです。幸い、友人達はほとんどnoteはやっておりません。アウェイで一から再出発してみませんか、議長」
「面白そうだな。よし、やってみるか」
「ありがとうございます。それではまず最初にいろいろ決めないといけない事があります」
「武器か?だったら私は大剣だな」
「違います、議長。モンハン始めるんじゃないんだから」
「そういうのじゃないの?じゃあ何を決めんの?」
「アカウント名です。いわばペンネームですね」
「うーん、じゃあ本名をカタカナ表記にしてみるのはどうだろう?」
「“サトウ ユウタ”ですか…ちょっと弱いですね、パンチがないというか、当たり障りがないというか。なんなら名前だけでも覚えていってほしいのに、それでは論外です。クソ以下です」
「君、自分の名前をよくそんな風に言えるな…」
「もっとインパクトのある名前にしましょう」
「えーと、じゃあ“ゆぅたん☆彡”なんてのはどうだろう」
「00年代か。昔のインターネット臭がすごいよ。議長、忘れてほしくないのですが、我々はもういい大人なのです。鏡を見てください。それは果たして“ゆぅたん☆彡”ですか?」
「…違うな。そうだった、すまん」
「細心の注意を払ってください。通報されたら即逮捕案件ですよ」
「なんで逮捕されるんだよ…。じゃあこれなんてどうだ?“恐れ妻 ダメ夫”」
「情けないよ。なんだ、おそれづま だめお って。家庭でのパワーバランスがなんとなく見えてきちゃうよ。自己紹介するときのテンションに困る名前は辞めましょう」
「バレたらどえらい目に遭うしな。うーん、難しいなぁ」
「却ってあまり考え過ぎない方がいいのかもしれませんね、こういうのは」
「インスピレーションが大事ってことか。あっ、じゃあ“サトーショコラ”とか可愛くない?ガトーショコラみたいで。うふふ」
「あ、ごめんなさい。深く考えましょう。やっぱ思いつきはダメだ。考え過ぎるくらいにしてください」
「んー、深くね。むむむむ、じゃあ“年金だって大丈夫大丈夫と言っておきながら結局支給は難しそうだし、かと言って老後までに2000万円貯めるのはなかなか至難の業だし、車のローンはまだまだあるし、ノートパソコンのモニター割っちゃったからそれの修理費もある、住居だって今の所のままだと子供が大きくなってくるにつれて段々狭くなってくるし、でもマイホーム立てるのも固定資産税とか鬱陶しいしマンションとかに引っ越すとなると出来ればペット可の物件がいいし、仕事面でも役職貰ったはいいけど人員や数字の管理に追われて頭は痛いし、痛いと言えば最近腰痛も酷くなってきたし病院行かなきゃ、あ、そういえば会社の健康診断の予約もまだだったな、早くしないと本社からまた電話がかかってきて挙句始末書なんか書かされちゃうし、でもまぁそんな毎日ですが日々小さな幸せを見つけながら、ひとまずなんとか笑顔で生きてます。そんな僕がお送りします、読んでください…、佐藤”」
「長ぇー!!長すぎるだろ!深く考えろとは言ったけども!途中からこっちまで気が滅入ってきたよ!というか、もはや記事じゃねーかこれ」
「というか、君はどうなんだ」
「何がですか」
「私にばかり考えさせて君はさっきからツッコミに夢中になってるけど、ヨダレだらだらで」
「垂らしてねーよ」
「そもそも君が発案者なんだから責任もってペンネームも考えればいいじゃないか」
「…まぁ、確かに。そうですね…、もうこうなったら、逆に“佐藤”なんてどうですか?」
「え、どういうこと?」
「佐藤という名字は日本で最も多い名字の一つでしょう?おそらく多くの人がペンネームを決める際にそこはまず除外すると思うのです。」
「なるほど、まぁ珍しい名前の方が印象に残りやすいしな」
「そうです。むしろそこを残す人は少ないと思うんです。それを逆手に取って、もう逆に“佐藤”にしたら意外とインパクトありませんか?」
「言われてみればそうだな…、いいかもしれない!」
「ありがとうございます!」
「よし、じゃあ早速アカウント登録だ!!これは楽しくなってきたぞ!」
「宜しくお願いします!議長!」
「よし、出来た!」
「そういう事じゃねーよ」