旅はどうですか〜美術館さんぽ8/16〜
「生誕100年 山下清展 百年目の大回想」SOMPO美術館
リュックサックを背負ったランニング姿。
大きなおむすびを片手に放浪している。
♪野に咲く〜花のよ〜うに〜♪
彼の後ろにはこんなBGMまで流れている。
これはドラマで見た「裸の大将」のテンプレートだ。
本展は「芸術家 山下清」にスポットを当てる。ドラマでは細部まで描かれなかった生い立ちや、放浪の経緯。作品の制作工程など。
彼には吃音があった。
それは幼少期の病気による後遺症だという。
学校に馴染めなかったため、養護学校で生活することになった。
そこで出会った貼り絵が、彼の人生を大きく変えたのだ。
遠くから見ると油彩画のよう。
顔を近づければ画面が緻密なパーツで敷き詰められていることを知る。
細かくちぎられた紙片を貼り合わせ、ひとつの面にしていく。目も疲れるし肩も凝るだろう。見つめる先にあるのは、彼が訪れた旅の風景だ。
だがしかし。
親族の証言で衝撃の事実を知る。
え?
ドラマでは描いてたのに!
そんな彼の旅の荷物はこちら。
これらがリュックサックに入っていた。
ホントだ…画材はない。
護身用の石ころが彼らしい。ナイフでもピストルでもなく、石ころ。
当てどころによっては破壊力もありそうだ。
画材もカメラもなしに、彼はどうやって旅の風景を残していたのだろう。
並外れた記憶力。
さまよいながら見つけた景色を彼は自身に閉じ込めた。
それを大事に持ち帰って、自宅や学園で描いたのだった。
旅は美しい景色を「ぼんやり」見るもの。
あくせくせずに流れるように。
ただ、自由に。
これが旅のスタイルをあらわしている。
求めないけど引き寄せられる。
フラットな心が彼を良いところへ連れて行ってくれたのかもしれない。
超絶技巧とも称される作品は見事だった。
時系列で並んでいるから、技術の進歩もうかがえる。
より緻密に。色彩豊かに。深みを増して浮き上がるように。
繊細でナイーヴな芸術家。
大好きな花火を楽しみにしながら早世したひと。作品はもちろん、彼の足跡をたどる時間だった。
ミュージアムショップで友達と合流し、ランチを食べに都庁の食堂へ。
受付で手続きをし、QRコードを発行。エレベーターで高層階に上がった。
食券を買いジャンル別にブースに並ぶ。
都庁職員はもちろん、一般客も利用できるのだ。メニューも豊富でお安い。
ただし14時きっかりで閉まる。
それ以降は打ち合わせなどに使われるようだ。やむなく移動。
書店が入ってるので寄ってみた。
さすが都庁。
雑誌や漫画も置いてあるが、専門書が充実。
公務員関連が多い。資格試験とか法律とか。
都民には無料配布される「東京防災」を140円くらいで購入。これも都庁みやげ。