【読むミニドラマ】ヨシコトヨヒコ その4
第4話「ラブレターフロム・新潟」
トヨヒコにラブレターが届いた。
正確にはラブレターの添えられた大きな段ボールが。クール便で。
「ばあちゃんからだ」
故郷の新潟からである。
「別便で米も送ったってよ」
ヨシコが荷物を受け取った。トヨヒコが仕事でいない時間だったからだ。
ふたりでダンボールを囲む。
「クール便って何かなぁ?」
トヨヒコが厳重に貼られたガムテープを剥がす。ベリベリ。
さらに発泡スチロールの箱が現れた。
「マトリョーシカみたいだな」
そこにも厳重に貼られている。ベリベリベリ。
やっと中身が発掘された。
「笹団子だ!」
緑色の笹に包まれた団子。ヨシコはトヨヒコと知り合って初めて食べたが好物になった。たくさん入っている。
それをどけるとジプロックが見えた。緑色の何かがぎっしり詰まっている。
「枝豆!」
トヨヒコの祖母は高齢だが畑を耕していた。枝豆はたくさん穫れるので茹でてから冷凍保存するという。
「ヨシコさんとふたりでどうぞ…って大量過ぎんだろ」
この量はうちの冷凍庫に入りきらない。
「よし!枝豆パーティーだ!」
あいつら呼ぼうぜ。
ヨシコも誰か呼びな。
トヨヒコは楽しげにスマホを取り出した。